『“少女神”第9号』
フランチェスカ・リア・ブロック/著 金原瑞人/訳
理論社
2000.01
原題:GIRL GODDESS #9 by Francesca Lia Block, 1996(アメリカ)

<版元語録>ポップで、リアルで、ファンタスティックなスタイルで、今の若者の姿を描き出す、アメリカ・ヤングアダルト小説の第一人者ブロックの短編集。すべての少女に捧げる、現代版「ナイン・ストーリーズ」。

H:これ、初版限定プレミアム・バージョンは、刷色が7色に変化する特殊印刷。原書は、色刷じゃなくて、日本語版のみのサービスなんだよ。フランチェスカ・リア・ブロックは不思議な作家で、雰囲気で読ませるって感じだから、こういうのもいいかと思って……。でも、老人に、白内障の目にはきついと言われましたね。

ウォンバット:私は、好きな作品だった。今は亡き雑誌「オリーブ」の、創刊すぐのころの愛読者「オリーブ少女」たちが好きそうな感じ。「ノンノ」じゃなくて、80年代の「オリーブ」。ちょっと主流からずれたところのカッコよさというのかな。とくに印象的だったのは「マンハッタンのドラゴン」。

モモンガ:「全米ティーンに人気爆発」って書いてあるんだけど、音楽とか、今のアメリカの流行に詳しくないもので、味わいが薄れちゃったような気がして、その点ちょっと残念。女の子があっけらかんとしてるとこなんか、好きな感じだった。それにしても、まばゆい本ね。印刷もそうだけど、紙がすっごく光るの。

オカリナ:この本のつくり方は、おもしろかった。なんだかあっけらかんとしてて、熱がない感じ。今流行の踊りパラパラも、無表情で、のってないようでのってるっていうような、熱のない踊り方がいんでしょ。この本も、それにちょっと似た感じ。私はのれる話と、のれない話と、差があったんだけど、その差はどこから来るんだろ?

H:話のできの善し悪しにもよるからね。たしかに、ばらつきがあるかもしれない。今の若い子がかっこいいと思う文体って、あんまりきゃぴきゃぴじゃなくて、ちょっとおさえめな感じだと思うんだよね。だからそれを目指してるんだけど。あと、内容は実はちょっと古い。ややバブリーのり。

ひるね:花の名前とか、ハーブの名前とかたくさん出てくるところも、好き。名前の魅力、言葉の魅力というのかしら。刷色を変えてるのも、明るくてきらきらしてていいわね。マーブルチョコみたい。ストーリー性のあるものが、とくにおもしろかった。「マンハッタンのドラゴン」とかね。おとぎ話みたいで。

:とーっても好きな作品。カラーもお話も好き。私は著者と同い年だから、なおさらよくわかるんだと思う。好きなものに囲まれている女の子たちのことが、だんだん寂しく感じられちゃって……。まわりに好きなものをいっぱいおいて、好きなもので埋めつくしてるんだけど、そこにある寂しさっていうのかな。

H:ぼくも、最初の「トゥイーティー・スイートピー」は好きなんだけど、最後の「オルフェウス」は、つらくなっちゃうんだよな。

(2000年07月の「子どもの本で言いたい放題」の記録)