『魔法使いはだれだ(大魔法使いクレストマンシー)』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作 野口絵美/訳 佐竹美保/画
徳間書店
2001.08
原題:WITCH WEEK by Diana Wynne Jones, 1982(イギリス)

<版元語録>「このクラスに魔法使いがいる」謎のメモに寄宿学校は大騒ぎ。魔法は厳しく禁じられ、見つかれば火あぶりなのに! 続いて、様々な魔法が学校を襲う。魔法使いだと疑われた少女ナンたちは、古くから伝わる、助けを呼ぶ呪文を唱えた。「クレストマンシー!」すると現れたのは…? 『ファンタジーの女王』『英国の宝』と評される著者の代表連作。

ブラックペッパー:今ひとつ……でした。ここが笑わせどころなんだろうな、と思われるところがいろいろあるんだけど、それがいちいち復讐など、心の暗い部分から出てくるせいか陰湿な感じになっちゃって、おどろおどろしい印象。寒々しい気持ちになっちゃいました。上手な作家とは思うけどねー。登場人物が自分中心な人ばかりというのもちょっと・・・。どうしてもいやだったのは、食べ物の描写。p37でもう、ずりずりと後ずさりしちゃった。あと、日本語の問題ですが、「大きなスパイクシューズ」は、ちょっと変な感じ。p55の本物の男の子、女の子の描写はいいと思った。

ウェンディ:とびとびで読んだのですが、子ども同士の人間関係にひきつけて、何かを象徴しているのかなと思いつつ、そうやって読みたくもなく・・・。ひっぱられたというより、気になりながら読んだけど、心地よくなかった。

すあま:彼女の作品は、これと一つ前の作品からおもしろくなくなっちゃった。ごちゃごちゃした印象がするんですよ。誰か一人でも登場人物が好きになれれば、くっついて読めていいんだけど。前は、もうちょっとシンプルでおもしろい話を書いていたような気がするんだけどな。登場人物が多くて、混乱してしまった。

トチ:学園物と魔術物を合体させて書いたのね。パラレルワールドの片っぽから入っていくんだけど、それがわかりにくい。もう一つわかりにくい理由は『ティーパーティーの謎』(E.L.カニグズバーグ作 小島 希里訳 岩波少年文庫)といっしょで、登場人物がたくさん出てくるところ。この作者はヘンな人で、感覚的にもヘンで、私はそこがおもしろくて好きなんだけど、この作品は難しいわね。理解しにくいのは、翻訳にも問題があるんじゃないかな。急いで出したと思えなくもない。p22で鳥が教室に飛びこんできた場面で、「残りの時間は〜することで終わってしまった」というところ。そこで終わってしまったのかと思ったけど、本当はまだ終わってはいないのよね。はぐらかされる。

:どうしてこんなに読みにくいのかと不安になった。人物描写が深くないので、ひたすら退屈。後半、パラレルワールドが出てきてから、ああこういうのを書きたかったんだなあとわかったけど。

ねむりねずみ:この人の短編集を読んだことがあって、変な味の人だなあ、なんか人間離れしていて、でも発想はすごいなあと思っていたのだけれど、これもやっぱりあまり人間くさくない。それにこの作品は、糸がゆるいというか、全体の構造がぐらぐらしている感じ。必然性をあまり感じないし、どこかに妙な味が残るし、個人的に好きじゃない。ぐーっと押してくる感じがないんですね。でも最後の、パラレルワールドのねじれをサイモンにかけられた変な魔法を利用して直すあたりは、この人らしいというか、なるほど、やるなあって思いました。フィリップ・プルマンみたいにどっしりしているわけでもなく、あまり好きじゃありませんでした。

:私も進まなくて。

アカシア:仕掛け方とかイマジネーションはおもしろいと思うけど、エンターテイメントだったらスピードに乗せるのが大事なのに、翻訳のせいか、そのスピードが出てきてないのが残念ね。これは、真面目に訳しただけじゃおもしろさが出ないストーリーなんだろうな。

:「これ、本当に徳間の本なの?」と思っちゃった。

紙魚:私も、今まで読書会の課題の本は必ず最後まで読んできたのに、この本は、なぜか読み進められなくて、ショック。登場人物も、ぞれぞれがうかびあがらないから、何度も人物紹介ページを見ちゃって、それでもわかりにくいし、物語もどこを頼りに読んでいけばいいのか全然つかめない。

愁童:ほんと、読みにくいよね。文をもっと短くするとか、もうちょっと日本語、工夫してほしいよね。中学生くらいに読ませようと思っているんだろうけど。

(2001年12月の「子どもの本で言いたい放題」の記録)