『気むずかしやの伯爵夫人』
サリー・ガードナー/作 村上利佳/訳
偕成社
2007
原題:THE COUNTESS’S CALAMITY by Sally Gardner, 2003

版元語録:捨てられた人形たちにとって、外の世界は不思議なことだらけ! でもわがままな伯爵夫人の行動で、みんなに危険がせまります……。

セシ:この本はちょっと苦手でした。お話はわかるんだけど……。途中で苦手と思ってしまったのがいけないのか……。お話はわかるんだけど、だからどうなのって気がして、自分がひかれるところが見つけられなかったんです。こういうお話も、中学年にありだなと思って読んだんだけど、心をひかれませんでした。

ハリネズミ:私はおもしろく読みました。伯爵夫人が心を入れ替えるところは、人形作りの親方がハート形の心臓を物理的にも入れ替えてくれるのよね。そこを読んで、ああそうか、と思いました。最初のほうは、みんながいっしょうけんめい仲間に入れてあげようと努力しているのに、伯爵夫人があまりにもとんでもないことを言ったりしたりするんで、反感をもってたんですけどね。絵も、顔の描き方が違って、雑多な人形が集まってる感じがよく出てますよね。写真と合わせたコラージュもよかった。絵がたくさん入っているので、3、4年生でも読みやすいんじゃないかな。

ショコラ:最初本を手にとったとき、絵と写真が合成になっていたりして、おもしろいつくりだなと思いました。いろんな国のお人形が登場し、性格もそれぞれ違っています。ねずみ夫婦がお互いを気遣う場面もよかったです。チンタンには「ハンドメイド」、伯爵夫人には「デリケート」の洗濯表示のタグがありますよね。「ハンドメイド」と「デリケート」の表示で伯爵夫人が格をあげているこだわりがおもしろかったです。伯爵夫人の中身がごわごわしたおがくずだったのが、こわれたため中身を直すときに綿とハートをいれてもらって性格が変わったところも、おもしろいなと思いました。伯爵夫人は性格が悪くてわがままなんだけど、汚れてみずぼらしくなった挿絵を見て、私はいたいたしさを感じて同情してしまいました。ミスター・ウルフはこわそうですが、いろいろな悩みごとを解決してくれる神様みたいな存在なんですね。最後の場面で、体がやわらかくなり性格も変わった伯爵夫人が戻ってきたので、幸せな終わり方でほっとしました。

カワセミ:私も、最初に登場人物の紹介があることや、各見開きに挿絵が入っているなど、子どもが読みやすいつくりになっていることに、まず好感を持ちました。お話も、1つの小さなお人形の家の中の出来事というんじゃなくて、広い公園に置き去りにされるっていうのが変わっているし、いろいろ危険な目にあうけど、最後はきっとうまくいくんだろうなって安心して読める1冊。お人形たちだけじゃなくて、ねずみ夫婦がとてもユーモラスに描かれているのも楽しかったですね。セシさんは、どういうところが好きになれなかったの?

セシ:この伯爵夫人のキャラクターに、ついていこうという気になれなかったからかな。いやな性格だし、この絵の顔も好きになれなかったし。

カワセミ:でも、この本は文字組もゆったりしていて(みんなで『かりんちゃん』と比べてみると、字の大きさは同じようだが、ページあたりの行数があちらは14行、こちらは12行だとわかって納得)、この年齢の子には読みやすいわよね。

ショコラ:私も、ぜひうちの小学校の図書室に入れたいと思いました。

(「子どもの本で言いたい放題」2009年3月の記録)