『スタンプにきた手紙〜チュウチュウ通り10番地』
エミリー・ロッダ/著 さくまゆみこ/訳 たしろちさと/絵
あすなろ書房
2011
原題:BEN THE POST-MOUSE by Emily Rodda, 2006

版元語録:ハツカネズミのすむネコイラン町にはチュウチュウ通りというすてきな通りがあります。その10番地にすむのは、ゆうびん屋さんのスタンプ。毎日たくさんの手紙を配達するスタンプは、実は自分あての手紙をもらったことがありません。そこで、思いついたのは…。

たんぽぽ:チュウチュウ通りのシリーズは、おすすめのシリーズです。どの巻からも楽しめまて、それぞれがおもしろいです。本が苦手な子も全巻読んで達成感を味わうことができます。対象年齢も、幼児から小学生高学年まで幅広いかと思います。娘の子が幼稚園の時、ひとりで、「クツカタッポと三つのねがいごと」を読んでいました。読み終わってから私に「おばあちゃん若くなりたい?」と聞くのです。私は 「おばあちゃんは、あなたに会えたからもう若くならなくてもいいわ 」と答えました。すると小さい人は「ぼくは、おばあちゃんの若い時をみたいな」と言ってくれました。孫との会話、心に残っています。

Ajian:10巻のシリーズですが、どの巻から読んでもいいと思いました。2番目のクツカタッポの話がとくに好きです。足るを知るという感じで……。絵も話にぴったりで、ふんだんに入っていて、贅沢なつくりだなという印象。お話のバリエーションもあるし、うちの子どもが大きくなったらぜひ読ませたいと思っています。

優李:好きなシリーズです。字の大きさ、絵、本の厚さ、体裁、中身どれも低学年の児童が読みすすめやすい。私も、2巻目の「クツカタッポ」が好きです。お金は欲しくない、というところで、子どもたちが「え〜、なんで?」と声を出すのだけれど、その後の意外な理由に「なるほどね」と納得させるのがすごい。読んだ子が友だちにすすめるのに「地味だけど、あったかいし、おもしろいし」と言っているのをきいて、思わずニコニコしてしまいました。

わらびもち:この作家のは、ローワン、デルトラ、フェアリーレルムなど楽しく読ませて頂いています。このお話の主人公は、手紙というコミュニケーションにおいて自分と人と比べ、広告を出すという行動に出るんですね。自分で自分の首をしめてますけど、普段のコミュニケーションによってたくさんの人に助けられ、ことなきを得る。手紙というものは、特別な祝い事や距離がない限り普段会って会話をしている人には送らないものだと思います。スタンプは仕事として手紙を届けながら色々な人と会うことが出来て、手紙かそれ以上のコミュニケーションがとれているのでとても羨ましいなと感じました。個人的には、ローワンのような自然があふれるような世界観のほうが好きだけど。ネコイラン町やクツカタッポなど、ネーミングがとてもおもしろくていいな、と感じました。絵もとってもかわいらしくて素敵だと思います。

トム:シリーズを通して、子どもの好きなものが話のあちこちにちりばめられていて目が離せない感じ。子どもはお話を楽しんだら、必ずその後、遊びの中で自分がその主人公になったり、楽しかった場面を表現してお話の世界に自分をすうっとすべりこませるでしょう。手紙や郵便屋さんも子どもたちの憧れ! 例えば、保育の場なら お話を発展させてチュウチュウ通りを空き箱で作ったり、大型積み木で町を作って自分の好きなチュウチュウ通りの住人になって遊ぶのもとても楽しそう。新しい住人を考えだす子も出るかもしれない。チュウチュウ通り・スタンプ・クツカタッポなど名前が一つのお話になっていてスッと心に入ってきます。10番地では、スタンプの正直な人柄が友だちを呼んでいるよう。

ルパン:クツカタッポのお話には感動しました。スタンプの巻もよかったです。小さいころ、私は手紙を書くのが好きで、出す相手を探していたことを思い出しました。このお話しを読んで、また手紙を書きたくなりました。うちの文庫の、幼稚園くらいの子どもたちに読んであげたいです。

けろけろ:今回、みんなで読む本になったので、1巻から10巻まで読んで楽しみました。お話のバランスや体裁もとても良いと思った。手軽に楽しめるのだけれど、そうきたかという意外な展開が用意されていていいですね。6年生の子どももおもしろがって読んでいて、さすがエミリー・ロッダさんだなと思いました。チーチュウカイという海が出てきたり、翻訳の苦労話を聞きたいと思った。ひとつ、不可解だったのは、9巻目の島においてあった靴。どうしてこんな大きな靴が小さな島にあるのか、読んでいるうちにわかるかと思ったけれど、わからなくて残念でした。

うさこ:ネコイラン町のチューチュー通りに暮らすねずみさんたちのお話!という設定がシンプルで、低学年の子が手にとりやすいシリーズだと思います。1巻ごとに男児と読んだのですが、小さい判型の本のなかで、小さくてかわいいねずみたちのいろいろなドラマが展開されている。それが、どれも楽しく、次々にチューチュー通りのお宅に邪魔している感覚で読める。田代さんの絵もとても良いですね。物語を読むのに不慣れな年齢の子どもが読むのにお薦めのシリーズだと思います。1巻のゴインキョの話が特に好き!

サンザシ:このシリーズは、短い分量の中でまとまりもあるし、意外性もあるので私は大好きです。幼年童話なのに、作者がこれまで生きてきたなかで獲得した人生のスパイスが入ってるんですね。絵は、原書だと味気ないのですが、たしろさんが描いて、とても楽しくなりましたね。

三酉:良い本ですね。手紙のことは笑わせられます。みんなさびしいんですねえと、しみじみさせられる。

プルメリア:手にとりやすいサイズ、また作品の中の町名、通りの名、登場人物の名前がおもしろくシリーズの出版を楽しみにしながら読みました。勤務している小学校には1、2話が入っていますが、人気があり戻ってきてもすぐ貸し出しになる本です。1話では「チーズって、ねずみにとっては大切なものでとってもおいしいんだね。」と子どもが言っています。この巻では、手紙を出しきれなくなって周りの人が助けてくれる心温まるような終わり方が良いですよね。登場人物と題名をあてっこするゲームにするのもおもしろいかな。

(「子どもの本で言いたい放題」2011年9月の記録)