ルーシー・ホーキング/作 さくまゆみこ/訳
岩崎書店
2020.09
ホーキング博士のスペースアドベンチャーシリーズの、いよいよこれが最終巻です。これまでの巻にはスティーヴン・ホーキング博士も原稿を寄せたり、たぶんプロットにアドバイスをしたりしてかかわっておいででしたが、博士は2018年3月に亡くなられたので、この巻は娘のルーシーさんがひとりで(といっても博士のお弟子さんたちにはアドバイスを受けているかと思いますが)書いています。
それでじつは、私も読み始める前はあまり期待していなかったのですが(これまでの巻でのホーキング博士が書かれたものがとてもおもしろかったので)、読んでみて「ああ、おもしろい。もしかするとシリーズ中でも特におもしろいと言えるかも」と思いました。
本書は、何よりも今の時代にコミットしています。このままいくと未来はユートピアなのかディストピアなのかという問題、パンデミックの問題、専制君主がいた場合の身の処し方、気候変動の問題、AIと人間の共存の問題など、いろいろな点について、私たちに考えるきっかけを提供してくれています。
そして、「足元ばかりを見るのではなく、星空を見ることを忘れないようにしよう」というホーキング博士の言葉でしめくくられています。
シリーズを通しての主人公ジョージは、この巻でも大活躍しますし、親友のアニーもこれまでとは違う、びっくりの姿で登場してきます。トランプそっくりのダンプという為政者も登場してきます。
科学エッセイ(最新の科学理論)には、以下のものが収録されています。
・タイムトラベルと移動する時計の不思議
・気候変動——わたしたちには何ができる?
・未来の食べ物
・感染症、パンデミック、地球の健康
・50年後の戦争
・未来の政治
・未来の都市
・人工知能(AI)
・ロボットをめぐるモラル
・インターネットについて
(日本語版監修:佐藤勝彦先生 装画・挿画:牧野千穂さん 編集:松岡由紀さん 装丁:坂川栄治さん+鳴田小夜子さん 科学コラムの事実確認など:平木敬さん+平野照幸さん)
キーワード:宇宙、時間、感染症、未来、宇宙船、冒険 ディストピア