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さがす

長倉洋海『さがす』表紙
『さがす』
長倉洋海/写真・文
アリス館
2020

『さがす』(NF写真絵本)をおすすめします。

作者は、世界各地の子どもたちの写真を撮りながら、「人はなんのために生まれてきたのか」「自分の居場所はどこなのだろう」「生きる意味とは何なのだろう」と考え続けてきた。その答えを探して弾丸の飛び交うアフガニスタンやコソボ、極寒のグリーンランド、灼熱のアラビア半島など、さまざまな環境のなかでさまざまな生き方をしている人びとに出会ってきた。その旅路の果てに、「さがしていたものは、いま、自分の手の中にある」と語る。心にひびく写真と言葉を味わいながら、読者も一緒に考えることができる写真絵本。

9歳から/世界 幸せ 生きる意味

 

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Photojournalist Nagakura has taken photos of children the world over while asking, “Why were humans born?” “Where do we belong?” “What is the meaning in living?” He has asked these questions in places where bullets fly, such as Afghanistan and Kosovo; in a refugee camp in El Salvador; in Greenland with its extreme cold; and on the Arabian Peninsula with its scorching heat. He has met all kinds of people living in different ways in contrasting environments. Now, Nagakura says, what he was searching for is in his own hands. This picture book invites us to experience touching photos and text and to think together with the author. (Sakuma)

  • text/photos: Nagakura, Hiromi
  • Alice-kan
  • 2020
  • 40 pages
  • 26×20
  • ISBN 9784752009375
  • Age 9 +

World, Happiness, Meaning in life

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

 

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さがす

長倉洋海『さがす』表紙
『さがす』
長倉洋海/著
アリス館
2020.05

『さがす』をおすすめします。

著者がこれまで撮りためてきた世界各地の子どもたちの写真に、自分自身の来し方を重ねた写真絵本。「自分の場所」はどこなのか? 「生きる意味」は何なのか? 今年68歳になる著者は、それをさがして、弾丸のとびかうアフガニスタンやコソボ、極寒のグリーンランド、灼熱(しゃくねつ)のアラビア半島など、さまざまな環境の中でさまざまな生き方をしている人々に出会ってきた。そして今、ようやくその答えを見つけ、「さがしていたものは、いま、自分の手の中にある」と語る。世界を駆けめぐってきた写真家ならではの、その答えとはどういうものなのか? 心にひびく写真の一枚一枚、言葉の一つ一つを味わいながら、読者も一緒に考えてみてほしい。(小学校中学年から)

(朝日新聞「子どもの本棚」2020年8月29日掲載)

キーワード:写真、世界、さがしもの

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メリークリスマス〜世界の子どものクリスマス(改訂版)

市川里美画 ウィルソン文『メリークリスマス〜世界の子どものクリスマス』さくまゆみこ訳 BL出版
『メリークリスマス〜世界の子どものクリスマス(改訂版)』
市川里美/画 R.B.ウィルソン/文 さくまゆみこ/訳
BL出版
2018.10

世界の子どもたちが、それぞれにクリスマスを楽しんでいる様子を紹介した絵本です。以前、冨山房から出ていたもの(1983)に、加筆・訂正して復刊されました。市川さんの絵も少し追加されています。

冨山房版が出たとき、私は冨山房の編集者でした。この絵本はもともと矢川澄子さんに翻訳を依頼しようと予定していたのです。当時は、印刷は4色のフィルムを取り寄せ、日本の印刷所で版を作り直して行っていました。クリスマスの絵本は、少なくとも11月初旬にはできていないと店頭に並ばないのですが、この絵本のフィルムはなかなか来ませんでした。夏を過ぎたころようやく届いたので矢川さんにご連絡すると、「今はほかにも仕事がいろいろあって、すぐには取りかかれない」とおっしゃるのです。社内の会議でそれを伝えると、「せっかくフィルムが来てるんだ。それなら、さくまが訳せ」と副社長のツルの一声。

私は他の本の編集もしながら、この絵本を訳し、この絵本の編集も自分でするという羽目に陥りました。

それで、ようやくなんとか間に合って、その年のクリスマスに並ぶことになったのですが、できあがった絵本を開いてみて「ひやあああ」。ものすごい誤植があったのです。それは、「はじめに」というクリスマスの由来を説明するページでした。「今からおよそ200年前ほど前に、ベツレヘムというところでイエスさまがお生まれになった」と印刷されているではありませんか!! もちろん私の責任です。結局そのページを切って別に印刷したページを貼り付けるという作業をしなくてはなりませんでした。

それ以来、私は、翻訳と編集の一人二役は絶対にやらない、と心に決めています。やっぱりその本を愛してできるだけいい形で出そうと思う人が、最低二人はいないといい本はできないのだと思います。

この絵本には、イギリス、アメリカ合衆国、ドイツ、オランダ、ポーランド、チェコ、スロバキア、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ロシア、フランス、イタリア、ギリシア、メキシコ、インド、日本、オーストラリアの、クリスマスの様子が描かれています。クリスマスのお菓子や飾りの作り方も出てくるし、私たちがよく知っている賛美歌も5つ、楽譜とともにのっています。

(編集:江口和子さん デザイン:細川佳さん)

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◆「日本児童文学」2023年11・12月号に「クリスマスをよむ」という特集があり、編集長の奥山恵さんの依頼で、こんな文章を書きました。

「クリスマスあれこれ」

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よぞらをみあげて

ジョナサン・ビーン『よぞらをみあげて』さくまゆみこ訳
『よぞらをみあげて』
ジョナサン・ビーン作 さくまゆみこ訳
ほるぷ出版
2009.02

アメリカの絵本。女の子が夜の風にさそわれて、ふとんや枕をかかえて屋上に出ていきます。頭上にはひろびろとした空が広がり、女の子はお月様を見上げながら眠りの世界に入っていきます。女の子をそっと見守るお母さんがすてき。
原書は主人公の女の子がsheという三人称でしか出てこなかったのですが、いくら日本語では主語が省略できるといっても、まったく出さないわけにはいきません。子どもの本では「彼女」は使えないので、「この子」?「女の子」?といろいろ考えたのですが、sheと比べると音数も多いし、どうしても硬い感じになってしまいます。そこで作者といろいろ相談して、最終的には許可をいただき一人称で訳しました。
(装丁:羽島一希さん 編集:小山侑希子さん)

ボストングローブ・ホーンブック賞受賞


おつきさまはきっと

ケイト・バンクス文 ゲオルク・ハレンスレーベン絵『おつきさまはきっと』さくまゆみこ訳
『おつきさまはきっと』
ゲオルク・ハレンスレーベン絵 ケイト・バンクス文 さくまゆみこ訳
講談社
2000.03

おやすみなさいの絵本。ホーンブックの書評でピンときて取り寄せてもらいました。その後ホーンブックで最優秀絵本に選ばれたので、わたしの目も節穴ではなかったと自慢してます。窓→お月様→世界という広がりがあります。力強い絵を描くこの画家には注目!
(編集:鳴瀬奈美子さん)

*「ニューヨークタイムズ」最優秀絵本選定、ホーンブック賞受賞


メリークリスマス〜世界の子どものクリスマス

ウィルソン文 市川里美絵『メリークリスマス』さくまゆみこ訳 冨山房
『メリークリスマス〜世界の子どものクリスマス』
R・B・ウィルソン文 市川里美画 さくまゆみこ訳
冨山房
1983.12

イギリスの絵本。市川里美さんの絵がとっても楽しいクリスマス絵本です。最初にクリスマスとはどういうものか、という由来のお話があり、続いて、イギリス、アメリカ、ドイツ、オランダ、ポーランド、チェコ、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ソ連、フランス、イタリア、ギリシア、メキシコ、インド、日本、オーストラリアでは、どんなふうにクリスマスのお祝いが行われているかを紹介しています。「きよしこのよる」「ひいらぎかざろう」などのクリスマスキャロルや、クリスマス飾りやショウガクッキーなどの作り方も載っています。
この絵本は、よんどころない事情があって、ひとりで編集と翻訳をおこないました。これ以降、やっぱりひとり二役はしないほうがいいと考え、どちらかに徹することにしています。
(編集:作間由美子)