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ちいさなタグボートのバラード

『ちいさなタグボートのバラード』表紙
『ちいさなタグボートのバラード』
ヨシフ・ブロツキー/文 イーゴリ・オレイニコフ/絵 沼野恭子/訳
東京外国語大学出版会
2019

『ちいさなタグボートのバラード』(絵本)をおすすめします。

ノーベル文学賞を受賞した詩人がソ連の児童向け雑誌に発表した詩を、国際アンデルセン賞を受けた画家が絵本に仕立てた作品。港で他の船の水先案内をしなければならないタグボートが主人公。外国から来る船を見て、どこか遠くへ行きたい願望はつのるものの、自分は港にとどまって役目を果たさなくてはならないという切ない思いをうたっている。絵の構図や場面ごとの変化、想像が豊かにはばたいていく展開に、画家の力量が発揮されている。中高生が読めば、もう一段深い味わい方もできるだろう。

原作:ロシア/8歳から/タグボート 海 あこがれ

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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ちいさなタグはおおいそがし

スティーヴン・サヴェッジ『ちいさなタグはおおいそがし』さくまゆみこ訳
『ちいさなタグはおおいそがし』
スティーヴン・サヴェッジ作 さくまゆみこ訳
講談社
2014.06

アメリカの絵本。小さなタグボートが主人公です。タグボートというのは、港でほかの船を引いたり押したりして助ける船です。めだつ船ではありませんが、小回りがきき、強力なエンジンをもっています。

タグは大忙しで活躍していますが、夜になるとさすがにつかれてきます。そうすると、こんどは仲間の船がやさしくいたわってくれます。

作者のサヴェッジさんは、この絵本について、「自分に子どもが生まれて生活が変化したころ、アトリエから港を見おろしているうちにアイデアがうかんだのです」と語っています。

私はタグボートの絵本をもう1冊訳しています。『さあ、ひっぱるぞ!』(ケイト・マクマラン&ジム・マクマラン作 評論社)です。タグボートは小さいわりには力持ちなので、子どもに好かれるのかもしれません。
(編集:小川淳子さん 装丁:田中久子さん)

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さあ、ひっぱるぞ!

ケイト&ジム・マクマラン『さあ、ひっぱるぞ!』さくまゆみこ訳
『さあ、ひっぱるぞ!』
ケイト・マクマラン/文 ジム・マクマラン/絵 さくまゆみこ/訳
評論社
2010.06

体は小さいながら、大きな港で毎日大活躍するタグボートを主人公にしたゆかいな絵本です。『さあ、食べてやる!』で、目立たないけどなくてはならないゴミ収集車の絵本を出版したコンビが、今度は目立たないけどなくてはならない船を主人公にしました。
(編集:吉村弘幸さん)