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変化球男子

M.G.ヘネシー『変化球男子』
『変化球男子』
M ・G ・ヘネシー/作 杉田七重/訳
鈴木出版
2018

『変化球男子』(読み物)をおすすめします。

シェーンは、女性の体をもって生まれたが自分は男性だと思い、男子として転校してきた今の学校では野球のピッチャーとして活躍している。だがある日、転校前は女子だったことがばれそうになる。シェーンを敵視するニコや、無理解な父親がつくる壁も厚い。でも親友のジョシュがいつも隣にいるし、母親は理解しようと努力してくれるし、トランスジェンダーの先輩アレハンドラは励ましてくれる。自分の存在に違和感を持つ子どもが、試練をのりこえていく様子が生き生きと描かれている。

原作:アメリカ/10歳から/野球 トランスジェンダー 親

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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ジョージと秘密のメリッサ

アレックス・ジーノ『ジョージと秘密のメリッサ』
『ジョージと秘密のメリッサ』
アレックス・ジーノ/作 島村浩子 訳
偕成社
2016.12

『ジョージと秘密のメリッサ』をおすすめします

4年生のジョージは、体は男の子でも自分は女の子(メリッサ)なのだと感じている。しかし、学校でも家でもそのことは秘密にしている。学年で『シャーロットのおくりもの』の劇を上演することになっても、ジョージがやりたいシャーロットの役は、女子の役という理由でやらせてもらえない。

でも、やがて親友のケリーが、あるがままのジョージを受け入れて、午後の部の役をひそかに代わってくれたり、女の子同士の楽しい時間を設けたりしてくれる。家族も徐々にジョージを理解するようになる。

自らもトランスジェンダーである作家が書いただけに、「男の子のふりをするのは、ほんとうに苦しいんだ」というジョージの叫びも心理描写もリアルだ。

(朝日新聞「子どもの本棚」2017年1月28日掲載)