『マンマルさん』
マック・バーネット/文 ジョン・クラッセン/絵 長谷川義史/訳
クレヨンハウス
2019.05
マック・バーネット/文 ジョン・クラッセン/絵 長谷川義史/訳
クレヨンハウス
2019.05
『マンマルさん』をおすすめします。
抽象的な図形マンマルさんが、シカクさん、サンカクさんとかくれんぼをする絵本。黒いキャラクターが暗い洞穴に入ると、そこには正体不明のものがいるという設定なので、いささか怖いのだが、訳者のユーモラスでリズミカルな関西弁がその不気味さを中和している。真っ暗闇の中での黒いキャラクターの気持ちを、目の動きだけで表現している絵もいい。
マンマルさんは、ぞっとして洞穴からあわてて逃げ出したけれど、あれはいい者だったかもしれないと思い直す。そして、「さあ いっしょに め つぶってみ。どんなん みえる?」と、読者にも想像を促す。哲学的な絵本とも言えるが、子どもは子どもなりにおもしろさを味わえる。
(産経新聞「産経児童出版文化賞・翻訳絵本賞選評」2020年5月5日掲載)
キーワード:洞穴、形、謎、哲学、絵本