カテゴリー: 翻訳・絵本

アフリカの大きな木 バオバブ

ミリアム・モス文 エイドリアン・ケナウェイ絵『アフリカの大きな木バオバブ』さくまゆみこ訳
『アフリカの大きな木 バオバブ』
原題:THIS IS THE TREE by Miriam Moss & Adrienne Kennaway, 2000
ミリアム・モス文 エイドリアン・ケナウェイ絵 さくまゆみこ訳
アートン
2006.08

ノンフィクション絵本。アフリカの大地にどっしりと根をおろし、空に向かって枝をひろげ、何千年も生きつづけるバオバブ。バオバブという木のふしぎと、サバンナに生きる動物たちの生き生きとした表情が楽しめる科学絵本です。アートンのアフリカの絵本第2弾!
(装丁:長友啓典さん+徐仁珠さん 編集:細江幸世さん+佐川祥子さん+船渡川由夏さん)

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<訳者あとがき>

私が最初にバオバブという木があることを知ったのは、サン=テグジュペリの『星の王子さま』を読んだときでした。バオバブという言葉のひびきがとてもおもしろくて記憶に残ったのですが、同時にこの物語には、バオバブはとても悪い木だと書かれていました。毒気を発してはびこり、しまいには星を破裂させるというのです。だから芽が出ているのを見つけしだいひっこ抜かなければいけないのだ、と。

その後私は、ナイジェリアの北部でバオバブの木を実際に見る機会にめぐまれました。そのときは乾季だったので、バオバブはすっかり葉を落としていました。ちょっと見ただけでは枯れているように見えるのですが、近づいて見ると太い幹からはしっかりとした生命力が感じられ、ふしぎな思いに打たれたものです。

東アフリカに行ったときには、バオバブの繊維でつくったバッグを手に入れ、もっといろいろ知りたくなって調べてみると、バオバブは悪い木であるどころか、とても役に立つすばらあしい木だということがわかってきました。バオバブには年輪がないので樹齢を調べるのはむずかしいのですが、2000年以上生きていると信じられている木もあるようです。この絵本を見ていただけばわかりますが、どっしりと立って、まわりの人間や動物に憩いの場や、子育ての場や、住まいを提供し、食べ物や生活の道具をもたらしてくれる木、それがバオバブだったのです。とくにバオバブの巨樹は、神聖な木とみなされたり、村人たちの集会の場となったりしています。西アフリカのセネガルのように、バオバブを国の木と制定して大事にしている国もあります。

バオバブは世界に10種類以上あって、アフリカ大陸のほかにマダガスカル島やオーストラリアにも自生していますが、この絵本に描かれているのはアフリカ大陸に育つバオバブ(学名でいうとアダンソニア・ディギタータ)です。

さくまゆみこ


いちばんのなかよし〜タンザニアのおはなし

ジョン・キラカ『いちばんのなかよし:タンザニアのおはなし』さくまゆみこ訳
『いちばんのなかよし〜タンザニアのおはなし』
原題:GUTE FREUNDE by John Kilaka, 2004
ジョン・キラカ作 さくまゆみこ訳
アートン
2006.07

タンザニアのティンガティンガ派の画家による、楽しい絵本です。親友だったゾウとネズミ(ずいぶんと体の大きさが違うのに!)が、とっても愉快な絵を通して、本当の友情について教えてくれます。ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞受賞作品。(装丁:長友啓典さん+徐仁珠さん 編集:細江幸世さん+佐川祥子さん)

ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞受賞

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<訳者あとがき>

ボローニャ国際児童図書展でラガッツィ賞を受賞したこの絵本は、タンザニアの絵本作家ジョン・キラカが出版した2冊目の絵本です。この独特な趣のあるゆかいな絵は、ティンガティンガ派とよばれるタンザニアの画家たちの流れから生まれました。

この流派の始祖はエドワード・サイディ・ティンガティンガという1932年生まれのユニークな人で、農夫、庭師、八百屋、刺繡屋、ペンキ屋、ミュージシャンなどの仕事をしながら、絵も描いていました。最初は自転車にぬるペンキで、合板に描いていたといいます。タンザニアの動物や自然や人々の暮らしを描くその絵は、しだいに評判になり、観光客にも人気が出て売れるようになったため、ティンガティンガは親戚や友人の若者たちに教えるようになります。こうして画家のグループができたのですが、彼自身は1972年に友人たちと乗っていた車が盗難車とまちがえられて(あるいはティンガティンガが知っていたかどうかは別として、実際に盗難車だったという説もあります)パトカーに追跡され、警官に撃たれて不慮の死をとげました。

しかしティンガティンガの死後も弟子たちは活動をつづけ、今は画家たちがたがいに技をみがきあったり助け合ったりしています。ティンガティンガ派の画家の中には、観光客向けのきまりきった絵を描く人もいますが、この絵本の作者ジョン・キラカのように、豊かな独創性をもって新たな世界を切りひらいていく画家も生まれてきています。

タンザニアだけでなくアフリカ大陸はおもしろい昔話の宝庫で、動物を主人公にした昔話もたくさんあります。人間を主人公にすると、自分の悪口をいっているのではないかと勘ぐる人も出てきます。社会に波風が立つことにもなりかねないので、動物を主人公にして語ることが多いのです。

この物語は、そうした豊かな昔話にもとづいてそこにオリジナルな味わいをつけくわえたものだと思われますが、最初に本にしたのはスイスの出版社でした。私は、キラカさんが書いた英語の文章と、スイスで出版されたドイツ語の文章の両方を参照しながら、日本語に翻訳しました。

この絵本の舞台になっているタンザニアは、東アフリカにあります。赤道が近いので、季節が日本のように四つあるのではなく、雨季と乾季に分かれています。農業は今でも天候に左右される部分が大きく、雨がふるはずの雨季に日照りがつづくと、この絵本にあるように、みんなが食べるものに困るということになります。

絵本の中でバッファローやサイやシマウマが身につけているのは、カンガというきれいな布です。カンガは、巻きスカートにしたり、赤ちゃんをおぶうのに使ったり、テーブルクロスに使われたりと、暮らしの中でさまざまに用いられています。

また21ページには、果物や木の実を入れておくかご、土を焼いてつくるつぼ、ヒョウタンでつくったひしゃくなど生活の道具が描かれていますし、23ページには、板にくぼみを彫って、そこに小石や豆などを入れてあそぶバオとよばれるゲーム盤が描かれています。絵本に登場するのは動物たちですが、タンザニアの人々の暮らしぶりがわかる絵になっているのですね。

さくまゆみこ


おとうとは青がすき〜アフリカの色のお話

イフェオマ・オニェフル『おとうとは青がすき:アフリカの色のお話』さくまゆみこ訳
『おとうとは青がすき〜アフリカの色のお話』
原題:CHIDI ONLY LIKES BLUE: AN AFRICAN BOOK OF COLOURS by Ifeoma Onyefulu, 1997
イフェオマ・オニェフル作・写真 さくまゆみこ訳
偕成社
2006.06

写真絵本。赤は大おじさんの帽子の色、緑はヤシの葉っぱの色、金色はお母さんのネックレスの色…..。お姉さんのンネカが、「青がすき」という小さな弟のチディに、ほかにもすてきな色があるんだよ、と教えてあげます。ページをめくるたびに鮮やかな色が目に飛びこんできて、楽しみながらアフリカの文化に親しむことができます。ナイジェリア出身の著者がアフリカの暮らしや文化を楽しく伝える写真絵本シリーズの1冊。
(編集:和田知子さん)

 

 


ひみつのもり

ジーニー・ベイカー『ひみつのもり』さくまゆみこ訳
『ひみつのもり』
原題:THE HIDDEN FOREST by Jeannie Baker, 2000
ジーニー・ベイカー作 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2006.06

海の中に存在する神秘的な森を、美しいコラージュで表現しました。最初は小さな魚の死など気にしなかった少年が、その森の神秘にふれることによって、変わっていきます。海辺や海の中の表現がとてもすてきです。

ジーニー・ベイカーは、イギリスに生まれますが、オーストラリアに移住してから自然や環境問題をテーマに、精巧なコラージュを使った絵本をたくさん出しています。どれも、私は大好きです。最近の作品は、環境だけでなく社会全体に目を向けて作品をつくっているように思います。
(装丁:則武 弥さん 編集:相馬 徹さん)

オーストラリア原生自然保護協会賞受賞


ゆきがふったら

レベッカ・ボンド『ゆきがふったら』さくまゆみこ訳 偕成社
『ゆきがふったら』
原題:THIS PLACE IN THE SNOW by Rebecca Bond, 2004
レベッカ・ボンド作 さくまゆみこ訳
偕成社
2005.11

『あかちゃんのゆりかご』の作者による新しい作品です。雪が降って除雪車が大きな山をつくったのを見て、子どもたちは大喜び。その雪の山にトンネルを掘り、滑り台や地下室もつくり…。作者自身の子ども時代の体験を描いた絵本で、楽しさが伝わってきます。(装丁:渋川育由さん 編集:和田知子さん)

・日本子どもの本研究会選定図書
・全国学校図書館協議会・選定図書
・日本図書館協会選定図書

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<紹介記事>

・「保育ステップアップマガジン ポット」2017年1月号

一晩中降った雪を除雪車が押して、小山に積み上げていきます。起きた子どもたちは大急ぎで雪の小山に登り、知恵を出し合って、すてきな遊び場を作ります。さあ、いったいどのような遊び場なのでしょうか。
読み聞かせのポイント:夜中に雪が降り積もり、朝には一面真っ白な世界! 子どもたちは雪山にかけ登り遊び始めます。画面いっぱいに躍動する雪遊びの楽しさが伝わってきます。臨場感のある絵をゆっくり見せたいですね。

・「edu」2015年5/6月号ふろく「子どもに読みつがせたい絵本最新定番50」

雪の日に子どもがしてみたいこと、すべてが描かれたような絵本。こんなことも、あんなことも! できたらいいね、楽しいね。そんな気持ちでゆっくり絵を見せ、リズミカルに読みます。読後、裏表紙を開いて見せると喜びますよ。


オスカーとフー いつまでも

『オスカーとフー いつまでも』
原題:OSCAR AND HOO FOREVER by Theo and Michael Dudok de Wit, 2004
テオ文 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット絵 さくまゆみこ訳
評論社
2005.10

2004年に出た『オスカーとフー』の続編です。少年オスカーについてきた雲のフーが、ホームシックになります。オスカーは自分の夢の中にフーを連れていき、そこでフーは雲の家族と再会します。誰かの夢の中に入るって、『トムは真夜中の庭で』みたいですね。色がきれいです。
(編集:吉村弘幸さん)


マックスとたんじょうびケーキ

ローズマリー・ウェルズ『マックスとたんじょうびケーキ』さくまゆみこ訳
『マックスとたんじょうびケーキ』
原題:BUNNY CAKES by Rosemary Wells, 1997
ローズマリー・ウェルズ作 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2005.09

アメリカの絵本。うさぎの姉弟ルビーとマックスが活躍します。おばあちゃんのお誕生日にあげるケーキをつくっているルビーは、弟が邪魔ばかりするのでキッチンから閉め出してしまいます。でも弟のマックスは、とってもすてきなケーキを自分でもつくるのです。二つのケーキをもらったおばあちゃんの反応がすばらしい!
(装丁・描き文字:森枝雄司さん 編集:鈴木真紀さん)


たのしいなつ

ロイス・レンスキー『たのしいなつ』さくまゆみこ訳
『たのしいなつ』 (ロイス・レンスキーの四季の絵本)

原題:ON A SUMMER DAY by Lois Lenski, 1953
ロイス・レンスキー作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2005.06

アメリカの絵本。レンスキーの四季の絵本は、この巻で4冊(ほかに『はるがきた』『いまはあき』『ふゆがすき』)そろいました。ままごと、探検ごっご、汽車ごっこ、プール遊びなど、夏のあいだの子どもたちの遊びが楽しく紹介されています。歌もついていますよ。
(編集:山浦真一さん、草野浩子さん 装丁:桂川潤さん)


ぼくとくまさん

ユリ・シュルヴィッツ『ぼくとくまさん』さくまゆみこ訳
『ぼくとくまさん』
原題:THE MOON IN MY ROOM by Uri Shulevitz, 1963
ユリ・シュルヴィッツ作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2005.05

『ゆき』や『よあけ』で有名なシュルヴィッツのデビュー作です。今の画風とはだいぶん趣が違いますが、デザインや空間に対するとぎすまされた感覚は共通しています。24歳でアメリカにやってきたシュルヴィッツは、自分の絵を持って出版社をまわりました。イラストレーションの仕事がほしかったからです。そして苦労してこの作品をつくりあげました。
(編集:山浦真一さん 装丁:桂川潤さん)

その時のことが『シュルヴィッツの絵本論』(未訳)に書いてあるのでちょっとご紹介しておきますね。

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 最初に出会った編集者は、幸運なことにスーザン・ハーシュマン(当時はハーパー・アンド・ロウ社勤務)だった。出版社を訪れたのは挿絵の仕事をもらえないかと思ってのことだった。彼女は私の作品を見て気に入ってくれたが、絵をつけるべき原稿は持ち合わせないので、自分で文章も書いて絵本をつくったらどうかと提案してくれた。私はふるえあがった。
自分で物語を書く? そんなことできるはずがない。私は画家で、作家ではない。やってみたいことはいろいろあったが、文章を書くなどという大それたことは考えてもいなかった。文章を書くということは、言葉の魔術師にこそふさわしい神秘的な行為だと思っていた。私にとって言葉を用いるということは、野生のトラを調教するようなものだった。
「どう書いていいか、わかりません」と、私は言った。
「やってみれば?」と、彼女は言う。
「でも」と私は言って、乗り越えがたい障害を思った。「私は英語を話すようになってから、まだ4年もたっていないのです」
「心配ないわ。変なところがあったら直せるから」と、彼女は請け合った。
そうまで言われれば、試みるしかない。私は何度も書いてみては、へたな文章をスーザン・ハーシュマンに見せにいく、ということを何ヶ月もつづけた。彼女の批評や提案を得て修行し、何度も失敗したあげく私はついに1冊の絵本をつくりだした。わずかな変更ののち、最初の絵本『ぼくとくまさん』The Moon in My Roomが生まれた。試行錯誤の繰り返しがなかったら、きっとつくれなかった絵本だと思う。

 

Comment

はるがきた

ロイス・レンスキー『はるがきた』さくまゆみこ訳
『はるがきた』 (ロイス・レンスキーの四季の絵本)

原題:SPRING IS HERE by Lois Lenski, 1945
ロイス・レンスキー作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2005.03

アメリカの絵本。「はなの かおりを はこぶ かぜ。あっちも こっちも はるの いろ。」レンスキーの四季の絵本の春の巻。春の風にのって、小鳥や子どもたちの歌が聞こえてくるような、春色の絵本です。もともとのオリジナルは1945年刊。その頃は、花粉症もなかったんですよね。
(装丁:桂川潤さん 編集:山浦真一さん+草野浩子さん)


かわっちゃうの?

アンソニー・ブラウン『かわっちゃうの?』さくまゆみこ訳
『かわっちゃうの?』
原題:CHANGES by Anthony Browne, 1990
アンソニー・ブラウン作 さくまゆみこ訳
評論社
2005.03

イギリスの絵本。「これからは、いろんなことがかわるんだよ」とお父さんがジョーゼフに言い置いて出かけていきます。一体、何が変わるの? どんなふうに変わるの? 自分の下に赤ちゃんが生まれることになった男の子の不安をこれほど見事に描いた絵本はないと、私は思っています。ページを追うごとに何かが変わっていきますが、何が変わっていくのかを発見する楽しみもあります。アンソニー・ブラウンの作品にしては、人間もリアルに描けています。ゴリラの絵はもちろん秀逸です。
私はこの表紙ではなく、もっと魅力的なペーパーバックの表紙を日本語版では使ってほしいとお願いしたのですが、なぜかハードカバーの原書の表紙がそのまま使われてしまっていました。
(編集:吉村弘幸さん)


ふゆがすき

ロイス・レンスキー『ふゆがすき』さくまゆみこ訳
『ふゆがすき』 (ロイス・レンスキーの四季の絵本)

原題:I LIKE WINTER by Lois Lenski, 1950
ロイス・レンスキー作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2004.11

アメリカの絵本。そりすべり、雪だるまに雪合戦、アイススケート、クリスマスとサンタクロース、バレンタイン……と、寒いけど冬は楽しい季節。「ふゆが すき。ゆきが すき。つめたい かぜも なんのその。ひらひら ゆきが まいおりて あたり いちめん ぎんせかい」歌の楽譜もついています。
(装丁:桂川潤さん 編集:山浦真一さん、草野浩子さん)


いまはあき

ロイス・レンスキー『いまはあき』さくまゆみこ訳
『いまはあき』 (ロイス・レンスキーの四季の絵本)

原題:NOW IT'S FALL by Lois Lenski, 1948
ロイス・レンスキー作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2004.11

風に舞う木の葉、落ち葉のじゅうたん、りんごの収穫、木の実拾い、渡り鳥、ハロウィーン……レンスキーが秋の楽しさを描いたかわいい絵本です。サイズも、持ち歩きにちょうどいい大きさ(148ミリX 126ミリ)。もう何年も前にアメリカに行ったときに見つけた絵本です。
(装丁:桂川潤さん 編集:山浦真一さん、草野浩子さん)


いのり〜聖なる場所

『いのり〜聖なる場所』
原題:SACRED PLACES by Philemon Sturges & Giles Laroche, 2000
フィリモン・スタージス文 ジャイルズ・ラロッシュ絵 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2004.09

アメリカのノンフィクション絵本。イスタンブールのブルーモスク、ガンジス川の水あび場、フランスのシャルトル大聖堂・・・世界各地にある28箇所の「聖なる場所」を精巧なペーパークラフトで再現した美しい絵本です。キリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教、ヒンズー教について、そして祈りについて、宗教にまつわるさまざまなことを考えさせてくれます。
(装丁:桂川潤さん 編集:鈴木真紀さん)


オスカーとフー

『オスカーとフー』
原題:OSCAR AND HOO by Theo & Michael Dudok de Wit, 2002
テオ文 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット絵 さくまゆみこ訳
評論社
2004.07

オランダ生まれのアニメーション作家とフランス生まれのテレビ番組制作者がつくった絵本。砂漠で迷子になった男の子オスカーが小さな雲フーと出会って、友情をはぐくむ物語。この夏、来日した二人に会いました。とてもいい人たちでした。(編集:竹下純子さん)


なんだってしてあげるよ

ジョン・ウォレス文 ハリー・ホース絵『なんだってしてあげるよ』さくまゆみこ訳
『なんだってしてあげるよ』
原題:ANYTHING FOR YOU by John Wallace & Harry Horse, 2003
ジョン・ウォレス文 ハリー・ホース絵 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2004.03

イギリスの絵本。小さなクマのチャーリーと大きなクマのジンジャーが登場する愛の物語。原書では両方ともheですが、この2匹はどういう関係なのでしょう。お父さんと息子? それともおじいちゃんと孫かな? それとも年の離れた友だち? もしかするとチャーリーはみなしご? いろいろに想像できます。おやすみなさいの絵本でもあります。
(装丁:田辺卓さん 編集:山浦真一さん)


せかいいちゆうかんなうさぎラベンダー

ポージー・シモンズ『せかいいちゆうかんなうさぎラベンダー』さくまゆみこ訳
『せかいいちゆうかんなうさぎラベンダー』
原題:LAVENDER by Posy Simmonds, 2003
ポージー・シモンズ作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2004.02

イギリスの絵本。ラベンダーは内気でおとなしい慎重派。お兄さんやお姉さんが危なっかしい遊びをするので、いつもハラハラしています。ピザやドーナツが好きな町のキツネが遊びにやってきても、用心して近寄りません。「よわむし!」「おくびょうもの!」と言われたラベンダーが、どうやって世界一勇敢なウサギと言われるようになったのか……まあ、読んでみてください。
(装丁:桂川潤さん 編集:山浦真一さん)


おいしそうなバレエ

ジェイムズ・マーシャル文 モーリス・センダック絵『おいしそうなバレエ』さくまゆみこ訳
『おいしそうなバレエ』
原題:SWINE LAKE by James Marshall & Maurice Sendak 1999
ジェイムズ・マーシャル文 モーリス・センダック絵 さくまゆみこ訳
徳間書店
2003.10

さえないオオカミがブタの街に迷いこみました。見ると劇場があって、看板には、おいしそうなころころ太ったブタが! しめしめ、とオオカミは劇場に入っていきますが、見ているうちにバレエの素晴らしさにすっかり魅せられてしまいます。親友だったマーシャル亡きあと、残された原稿にセンダックが絵を描きました。とにかく笑えるし、二人の友情にもホロリとさせられます。
(装丁&描き文字:森枝雄司さん 編集:米田佳代子さん)

*SLA「よい絵本」選定


北の魔女ロウヒ

バーバラ・クーニー絵『北の魔女ロウヒ』さくまゆみこ訳
『北の魔女ロウヒ』
原題:LOUHI, WITCH OF NORTH FARM illustrated by Barbara Cooney, 1986
バーバラ・クーニー絵 トニ・デ・ゲレツ原文 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2003.01

フィンランドに伝わる民族叙事詩カレワラを下敷きにした絵本です。東京の洋書屋さんで見かけて、クーニーの絵にほれこみました。文章は、クーニーの絵を見ながら、カレワラを参考にして書き直しました。ロウヒが太陽を山の奥深くに閉じ込めたため、あたりは真っ暗に。また太陽が空に上がるまでの、天照大神の話にも似た物語です。とにかく絵がすてき。
(装丁:桂川潤さん 編集:山浦真一さん)


クリスマスのちいさな木

e.e.カミングズ文 クリス・ラシュカ絵『クリスマスのちいさな木』さくまゆみこ訳
『クリスマスのちいさな木』
原題:LITTLE TREE by Chris Raschka, 2001
クリス・ラシュカ作 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2002.11

クリスマスの絵本。e.e.カミングズのクリスマスの詩をもとにしています。森の中の小さな木が、都会に出てクリスマス・ツリーになる夢を見ていると、ある日、その夢がかなって、小さな家の小さな家族にクリスマス・ツリーとして迎えられます。ラシュカの独特な絵が、あたたかい雰囲気をかもしだしています。
(装丁:桂川潤さん 編集:鈴木真紀さん)


サバンナのともだち

『サバンナのともだち』
原題:THE TIME OF THE LION by Caroline Pitcher & Jackie Morris, 1998
キャロライン・ピッチャー文 ジャッキー・モリス絵 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2002.09

アフリカのサバンナでジョゼフ少年と金色のたてがみのライオンが友だちになります。けれどジョゼフはライオンをお父さんが商人に売り渡すのではないかと心配に。 広いサバンナと星空と、村の風景が美しく表現されています。
(装丁:渋川育由さん 編集:鈴木真紀さん)


おかあさんともりへ

『おかあさんともりへ』
原題:BABOON by Georg Hallensleben & Kate Banks, 1994
ゲオルク・ハレンスレーベン絵 ケイト・バンクス文 さくまゆみこ訳
講談社
2002.03

舞台はアフリカ。ヒヒの赤ちゃんが、お母さんと一緒に森に出かけ、いろいろな動物と出会います。そしてヒヒの赤ちゃんは、この世界がさまざまな特徴をもっていることを知るのです。『おつきさまはきっと』で好評のハレンスレーベンの絵本。
(装丁:田中久子さん 編集:塩見亮さん)


あかちゃんのゆりかご

レベッカ・ボンド『あかちゃんのゆりかご』さくまゆみこ訳
『あかちゃんのゆりかご』
原題:JUST LIKE A BABY by Rebecca Bond, 1999
レベッカ・ボンド作 さくまゆみこ訳
偕成社
2002.01

赤ちゃんが生まれてくるのを知って大喜びの家族。お父さんは、海で静かに揺れる船や、巣の中で静かに揺れる小鳥たちのことを考えながら、ゆりかごをつくります。おじいちゃんは、同じ地球に暮らすほかの動物たちのことを考えながら、ゆりかごに魚や動物の絵を描きます。おばあちゃんは、家族や親戚のことを一人一人思い出しながら、端切れを縫ってベッドカバーを作ります。お兄ちゃんは、早くいっしょに遊びたいなと思いながら、ベッドにつけるモビールをつくります。そして、お母さんはそのゆりかごを、窓辺に持って行って「そとを みながら、やわらかな つきのひかりや すがすがしい あさひのことを かんがえました。よぞらのほしや ひんやりした よるのくうきのことも かんがえました」。
やがて生まれてきた赤ちゃんが大泣きしても、だいじょうぶ。家族のそれぞれが思いをこめながら完成させたゆりかごに寝かせると、赤ちゃんは安心して、すやすや眠るのです。どの見開きにも、黒い犬が登場しています。犬も見守っているのですね。
(装丁:渋川育由さん 編集:和田知子さん)

・全国学校図書館協議会・選定図書
・社会保障審議会推薦文化財
・日本子どもの本研究会選定図書
・日本図書館協会選定図書

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<紹介記事>

・「おさなご」(長野県市立幼稚園協会編)2012.03

文字がわからない子どもたちにも温かい絵柄と色彩で楽しめる1冊。赤ちゃんが生まれてくるとわかった時の家族の喜びは誰も同じ気持ち。お父さんはゆりかご作りに取り掛かり、おじいちゃんはそのゆりかごにペンキを塗ります。おばあちゃんはベッドカバーを作り、お兄ちゃんはおもちゃを作りました。赤ちゃんに注がれるやさしい家族の眼差しに、心が温かくなります。

・「紀伊民報」2017年4月7日

もうすぐ赤ちゃんが生まれます。家族は手を取りあって、大喜び。
お父さんは、すべすべにかんなをかけた板でゆりかごを組み立てました。おじいちゃんは、そのゆりかごにペンキを塗って、青い海や空を飛ぶ大きな鳥を描きました。おばあちゃんは、小さな布を縫い合わせてベッドカバーを作りました。お兄ちゃんは、赤ちゃんが楽しめるように、モビールをゆりかごに付けました。
家族の一人一人が、赤ちゃんが生まれてきてからの新しい世界をうっとりと思い浮かべながら、リレーのようにゆりかごを作り上げていきます。その様子を、そっと見守るお母さん。赤ちゃんがお母さんのおなかで育っていく間に、足りないところはひとつもないすてきなゆりかごが、出来上がりました!
絵本全体に、新しい命を迎える喜びがあふれています。この絵本を読みながら、お子さんがおなかにいたときのことや、赤ちゃんのときのことを一緒にお話ししてみるのもいいですね。自分が生まれてきたときのことを家族から聞くことで、自分がどれだけ大事にされているのかを、実感できるのではないでしょうか。この4月から、新しい環境に飛び込んだ子どもたちも多いと思います。自分が大事にされているという実感は、きっと、子どもたちの背中を後押ししてくれるでしょう。(県立紀南図書館)

・「月刊リトル・ママ」〜妊婦さんにおすすめの本〜 2018年10月15日号

お父さんが作ったゆりかごにおじいちゃんが色を塗り、おばあちゃんがベッドカバーを縫い、お兄ちゃんがモビールを作って・・・と、赤ちゃんが待ちきれない一家のお話。赤ちゃんが少し大きくなってから、「こんなふうに待っていたんだよ」と読んであげてもいいですよ。

・「RADIANT」(立命館大学研究部)2018年3月号〜年代を超えて、心に働きかける絵本〜

お母さんは妊娠中。お父さんがゆりかごを作ると、おじいちゃんとおばあちゃん、そしてお兄ちゃんは赤ちゃんのためにゆりかごを飾り、赤ちゃんがやってくるのを待っている。家族の温かさと赤ちゃんを待つ喜びを感じさせる絵本。


AはアフリカのA〜アルファベットでたどるアフリカのくらし

イフェオマ・オニェフル『AはアフリカのA:アルファベットでたどるアフリカのくらし』さくまゆみこ訳
『AはアフリカのA〜アルファベットでたどるアフリカのくらし』
原題:A IS FOR AFRICA:AN ALPHABET IN WORDS AND PICTURES by Ifeoma Onyefulu, 1993
イフェオマ・オニェフル作・写真 さくまゆみこ訳
偕成社
2001.09

「AはアフリカのA アフリカ大陸には、たくさんの国があって、おおぜいの人がくらしています。着ているものや、話すことばはちがっても、アフリカ大陸は、みんなのふるさとです」「BはビーズのB 女の子は、頭や耳や首をビーズでかざります。・・・」「CはカヌーのC カヌーは、魚をとったり、売るものを市場にはこんだりするのに、つかわれます・・・」AからZまでの文字の一つ一つと共に、アフリカの文化のさまざまな側面が紹介されていきます。作者は、西アフリカのナイジェリア生まれの女性フォトグラファーです。
(編集:西野谷敬子さん)

*産経児童出版文化賞推薦


ふれ、ふれ、あめ

カレン・ヘス文 ジョン・J・ミュース絵『ふれ、ふれ、あめ!』さくまゆみこ訳
『ふれ、ふれ、あめ』
原題:COME ON, RAIN by Karen Hesse & John J. Muth, 1999
カレン・ヘス作 ジョン・J・ミュース絵 さくまゆみこ訳
岩崎書店
2001.07

アメリカの絵本。ニューベリー賞を受賞したヘスの詩的な文章と、緑と光と熱気と雨の表現がすばらしいミュースの絵。暑い暑い夏にぴったりの絵本です。恵みと豊かさをもたらす雨が降ってみんなの気持ちがほどけ、さまざまな肌の色の家族がみんな笑顔になっていく様子がよく表現されています。
(装丁:鈴木康彦さん 編集:河本祐里さん)


かえるだんなの けっこんしき

ジョン・ラングスタッフ文 ロジャンコフスキー絵『かえるだんなのけっこんしき』さくまゆみこ訳
『かえるだんなの けっこんしき』
原題:FROG WENT A-COURTIN' by John Langstaff & Feodor Rojankovsky, 1955
ラングスタッフ再話 ロジャンコフスキー絵 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2001.03

アメリカの絵本。1956年にコルデコット賞を受賞した作品です。もとになっているのは有名な物語唄(もともとは400年前のスコットランドの唄のようです)で、ボブ・ディランやピート・シーガーも録音しています。コルデコット賞の絵本は、日本でもたいてい翻訳されているのですが、これは、韻を踏んでいる唄なので翻訳が難しいため、これまで出ていなかったのだと思います。ロジャンコフスキーはいいですよ。
(装丁:桂川潤さん 編集:鈴木真紀さん)

*コルデコット賞受賞、産経児童出版文化賞受賞


おばあちゃんにおみやげを〜アフリカの数のお話

イフェオマ・オニェフル『おばあちゃんにおみやげを:アフリカの数のお話』さくまゆみこ訳
『おばあちゃんにおみやげを〜アフリカの数のお話』
原題:EMEKA'S GIFT-- An African Counting Story by Ifeoma Onyefulu, 1995
オニェフル作・写真 さくまゆみこ訳
偕成社
2000.10

アフリカというと「動物がたくさんいる」とか「貧しい」とか「内戦でたいへん」というイメージばかりが伝わっていますが、広いアフリカ大陸には元気な子どももたくさんいます。これは、そんな元気な男の子がおばあちゃんの家に遊びにいきます。西アフリカ・ナイジェリアの人々の日常生活を生き生きと伝える数の絵本です。(編集:西野谷敬子さん)

ナイジェリアの文化を伝える写真絵本。数の絵本にもなっています。著者はナイジェリアで生まれ育った女性フォトグラファー。アフリカというと「動物がたくさんいる」とか「貧しい」とか「内戦でたいへん」というイメージばかりが伝わっていますが、広いアフリカ大陸には元気な子どももたくさんいます。これは、そんな元気な男の子がおばあちゃんの家に遊びにいきます。西アフリカ・ナイジェリアの人々の日常生活を生き生きと伝える数の絵本です。
(編集:西野谷敬子さん)


ひとつ、アフリカにのぼるたいよう

ウェンディ・ハートマン文 ニコラース・マリッツ絵『ひとつ、アフリカにのぼるたいよう』さくまゆみこ訳
『ひとつ、アフリカにのぼるたいよう』
原題:ONE SUN RISES by Wendy Hartmann & Nicolaas Maritz, 1994
ウェンディ・ハートマン文 ニコラース・マリッツ絵 さくまゆみこ訳
文化出版局
2000.10

南アフリカのユニークな数え歌の絵本。1は太陽、2から10まではサバンナの動物、そして太陽が沈んで月が出ます。それからまた10、9、8……と数が下がっていき、最後にまたアフリカの太陽が登場します。
(編集:飯田静さん)

エネルギーのかたまりみたいなマリッツの作品はほかに、『ぼくのアフリカ』という絵本があります。そちらは冨山房の編集者だったとき、渡辺茂夫さんに訳していただいて、私が編集した本です。


おつきさまはきっと

ケイト・バンクス文 ゲオルク・ハレンスレーベン絵『おつきさまはきっと』さくまゆみこ訳
『おつきさまはきっと』
原題:AND IF THE MOON COULD TALK by Georg Hallensleben & Kate Banks, 1998
ゲオルク・ハレンスレーベン絵 ケイト・バンクス文 さくまゆみこ訳
講談社
2000.03

おやすみなさいの絵本。ホーンブックの書評でピンときて取り寄せてもらいました。その後ホーンブックで最優秀絵本に選ばれたので、わたしの目も節穴ではなかったと自慢してます。窓→お月様→世界という広がりがあります。力強い絵を描くこの画家には注目!
(編集:鳴瀬奈美子さん)

*「ニューヨークタイムズ」最優秀絵本選定、ホーンブック賞受賞


サリーとライオン

クレア・ターレー・ニューベリー『サリーとライオン』さくまゆみこ訳
『サリーとライオン』
原題:HERBERT THE LION by Clare Turlay Newberry, 1931
クレア・ターレー・ニューベリー作 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2000.02

アメリカの絵本。小さな女の子のサリーの親友は、なんと本物のライオンのハーバート! でも、ハーバートはやがて大きくなってみんなが怖がるようになり、山の牧場に連れて行かれてしまいます。ハーバートとサリーの友情の深さを思い知った両親の決心がすてきです。ニューベリーのデビュー作。90年近くも前の作品とは思えない斬新なデザインの絵が魅力です。よけいな情報かもしれませんが、ニューベリー賞のジョン・ニューベリーはイギリス人で18世紀の人。こっちのニューベリーは20世紀のアメリカ女性で「猫の画家」として有名になった人です。
(装丁:桂川潤さん 編集:轟雅彦さん 鈴木真紀さん)


おおきなのはら

ジョン・ラングスタッフ文 ロジャンコフスキー絵『おおきなのはら』さくまゆみこ訳
『おおきなのはら』
原題:OVER IN THE MEADOW by John Langstaff & Feodor Rojankovsky, 1957
ラングスタッフ文 ロジャンコフスキー絵 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2000.02

アメリカの絵本。野原にいるいろいろな動物たちが登場してきます。数の絵本にもなっています。光村さんで絵本を出し始めるというので、いろいろ相談した中から生まれてきた絵本です。オリジナル版は1957年。2色刷の見開きと4色刷の見開きが交互にあらわれます。ロジャンコフスキーの絵がすばらしい! 動物や鳥のお母さんと子どものやりとりが楽しいし、見返しがまたとってもいいですよ。
(装丁:桂川潤さん 編集:轟雅彦さん 鈴木真紀さん)


ぼくのいぬがまいごです

エズラ・ジャック・キーツ&パット・シェール『ぼくのいぬがまいごです!』さくまゆみこ訳
『ぼくのいぬがまいごです』
原題:MY DOG IS LOST! by Ezra Jack Keats & Pat Cherr, 1960
エズラ・ジャック・キーツ & パット・シェール作 さくまゆみこ訳
徳間書店
2000.01

アメリカの絵本。プエルトリコからニューヨークにやってきたばかりの少年ホワニートが、いなくなった犬をさがして、街に出ていきます。ホワニートは英語が話せません。でも、肌の色もまちまちな、様々な子どもたちが手を差し伸べ、犬をさがすのを手伝ってくれます。もともとはスペイン語と英語のバイリンガル絵本でした。キーツがどの部分をどこまで担当したのか、調べたけどわかりませんでした。
(編集:星野博美さん)


しろくまポリー

モーリス・プレジャー『しろくまポリー』さくまゆみこ訳
『しろくまポリー』 (ちいさなぼうけんシリーズ)

原題:POLLY POLAR BEAR by Maurice Pledger, 1997
モーリス・プレジャー作 さくまゆみこ訳
メディアファクトリー
1999.11

イギリスの仕掛け絵本。シロクマのポリーがうとうとしていると、鼻にぴしゃっと水がかかります。ポリーは、雪の上の足跡を追って、いたずらっ子をさがしに出かけます。どの見開きにも仕掛けがあって、何よりとっても絵がきれいです。共同出版だととかく印刷や製本が心配ですが、これはとてもていねいに作られていました。
(編集:林千里さん)

Comment

スニッピーとスナッピー

ワンダ・ガアグ『スニッピーとスナッピー』さくまゆみこ訳
『スニッピーとスナッピー』
原題:SNIPPY AND SNAPPY by Wanda Gag, 1931
ワンダ・ガアグ文・絵 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
1999.03

アメリカの絵本。2匹の子ネズミ(スニッピーとスナッピー)が毛糸玉で遊んでいると、その玉が転がってしまい、2匹は追いかけていきます。その先には、大冒険が。この絵本は、以前渡辺茂男さんの訳で他の出版社から出ていました。私は編集者として翻訳者である渡辺茂男さんと出会い、渡辺さんに誘われて、ミネソタ大学のカーラン・コレクション(絵本原画のコレクション)や、ガアグの暮らしていた家を見に行ったことがあります。福本友美子さん、広松由希子さん、竹迫祐子さん、白井澄子さん、谷口由美子さんたちと一緒の、とても楽しい旅でした。そんな渡辺さんが訳されたものを新たに訳すことになり、とても緊張しました。既訳を見たら左右されてしまうと思って、敢えてまったく見ないで訳しました。
(装丁:田辺卓さん 編集:山浦真一さん)


ゆき

ユリ・シュルヴィッツ『ゆき』さくまゆみこ訳
『ゆき』
原題:SNOW by Uri Shulevitz, 1998
ユリ・シュルヴィッツ作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
1998.11

アメリカの絵本。男の子がいちはやく雪が降っているのを見つけますが、大人は大したことがないと取り合いません。でも、そのうち町はいちめんの雪景色に。マザーグースやハンプティダンプティも飛び出してきます。シュルヴィッツの絵本論を読んでいたので、翻訳したいと思った一冊です。子どもにアピールする楽しいところと、大人にアピールするスパイス入りのところが重層的に存在して、含蓄のある絵本。雪国の友だちが、「ほんとにこうなのよねえ」と言ってくれてます。
(装丁:辻村益朗さん 編集:山浦真一さん)

*日本絵本賞翻訳絵本賞受賞
*SLA「よい絵本」選定


こうさぎビリー

モーリス・プレジャー『こうさぎビリー』さくまゆみこ訳
『こうさぎビリー』 (ちいさなぼうけんシリーズ)

原題:BILLY BUNNY by Maurice Pledger,1995
モーリス・プレジャー作 さくまゆみこ訳
メディアファクトリー
1998.09

イギリスの仕掛け絵本。元気なこうさぎのビリーが、ちょうちょをさがして、あっちこっちをさがしまわります。どの見開きにも仕掛けがあって、何よりとっても絵がきれいです。共同出版だととかく印刷や製本が心配ですが、これはとてもていねいに作られていました。
(編集:林千里さん)


ねずみのモーリー

モーリス・プレジャー『ねずみのモーリー』さくまゆみこ訳
『ねずみのモーリー』 (ちいさなぼうけんシリーズ)

原題:MORRIS MOUSE by Maurice Pledger, 1997
モーリス・プレジャー作 さくまゆみこ訳
メディアファクトリー
1998.09

イギリスの仕掛け絵本。小さなカヤネズミのモーリーは、新しいおうちにしようとあっちこっちを探しますが、いいと思ったところには、みんなほかの生き物がすんでいます。どの見開きにも仕掛けがあって、何よりとっても絵がきれいです。共同出版だととかく印刷や製本が心配ですが、これはとてもていねいに作られていました。
(編集:林千里さん)


風が吹くとき

レイモンド・ブリッグズ『風が吹くとき』さくまゆみこ訳
『風が吹くとき』
原題:WHEN THE WIND BLOWS by Raymond Briggs, 1983
レイモンド・ブリッグズ作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
1998.09

これは、もともとイギリスで1982年に出版された作品で、日本語訳は以前別の出版社で出ていましたが、今回翻訳をし直してあらたに出版することになりました。出版当時から、漫画のコマ割りの手法を使ってシリアスな問題を描いた、絵本の常識をくつがえす作品として、大きな評判を呼んだ作品です。それから15年以上たった今、ソ連は崩壊し、米ソ2大国が国際政治を大きく左右していた時代は去って、世界の情勢はもっと複雑になってきているように思えます。しかし、最近のインドやパキスタンの核実験で明らかになったように、核兵器をパワーゲームの切り札とみなす風潮はまだまだ盛んです。そういう意味では、核戦争の脅威は去ったわけではありません。まだ、核は使用しなくても、ジムやヒルダのようなふつうの人たちが犠牲になる戦争は、世界各地で多発しています。レイモンド・ブリッグズがこの絵本で描こうとした状況は、表向きの形は変わっても、今でも存在しているのです。この絵本が、親子いっしょに、もう一度核の問題、そして戦争の問題を考えるきっかけになってくれれば幸いです。
(編集:山浦真一さん)


サンタのなつやすみ

レイモンド・ブリッグズ『サンタのなつやすみ』さくまゆみこ訳
『サンタのなつやすみ』
原題:FATHER CHRISTMAS GOES ON HOLIDAY by Raymond Briggs, 1975
レイモンド・ブリッグズ作 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
1998.05

イギリスの絵本。サンタは夏には何をしているのかな? 以前ほかの出版社で出ていて絶版になっていたのを、山浦さんが探し出してきて出し直すことになりました。以前のは少し訳も違っていたので、全く新たに訳し直しました。『さむがりやのサンタ』の続編です。原著では、このサンタさんはイギリスの労働者階級の言葉を話しているんですよ。サンタがフランスに出かけたり、そりをキャンピングカーに改造したり、プールサイドでのんびりしたり・・・大人が読んでも楽しめます。
(編集:山浦真一さん)


おしゃれなサムとバターになったトラ

ジュリアス・レスター文 ジェリー・ピンクニー絵『おしゃれなサムとバターになったトラ』さくまゆみこ訳
『おしゃれなサムとバターになったトラ』
原題:SAM AND TIGERS by Julius Lester & Jerry Pinkney, 1996
ジュリアス・レスター文 ジェリー・ピンクニー絵 さくまゆみこ訳
ブルース・インターアクションズ
1997.11

アメリカの絵本。『ちびくろさんぼ』に違和感を持っていたアフリカ系作家のジュリアス・レスターとアフリカ系画家のジェリー・ピンクニーが作った絵本です。お話のおもしろさはそのままに、アフリカ系の子どもたちが誇りを持てるように考えられています。ピンクニーも、そのような点を意識して絵を描いています。


はじめてのABCのえほん

マリー・アニエス・ゴドラ文 ティエリー・クルタン絵『はじめてのABCのえほん』さくまゆみこ訳
『はじめてのABCのえほん』
原題:MON PREMIER ALPHABET by Marie-Agnès Gaudrat & Thierry Courtin, 1992
マリー・アニエス・ゴドラ文 ティエリー・クルタン絵 さくまゆみこ訳
小学館
1995.12

アルファベットについてのフランスの絵本。「おおきな A、あしを ひらいて たっている」「ちいさな a、まあるい まどが あいてるよ」というふうに、AaからZzまでを紹介しています。


はじめてのかずのえほん

フランソワーズ・オードリー=イルジック文 ティエリー・クルタン絵『はじめてのかずのえほん』さくまゆみこ訳
『はじめてのかずのえほん』
原題:MES PREMIERS CHIFFRES by Françoise Audry-Iljic & Thierry Courtin, 1993
フランソワーズ・オードリー・イルジック文 ティエリー・クルタン絵 さくまゆみこ訳
小学館
1995.01

数についてのフランスの絵本。0から10までの数字を紹介し、日常のくらしの中で、それぞれの数を楽しんでいきます。


空気

ちきゅうのえほん『空気』さくまゆみこ訳
『空気』 (ちきゅうのえほん1)

原題:AIR (WORLD IN DANGER) by Steve Pollock & Peter Wingham, 1990
スティーヴ・ポロック著 ピーター・ウィンガム絵 さくまゆみこ訳
リブリオ出版
1991.10

イギリスの環境について考えるノンフィクション絵本。著者は動物園や大英博物館に勤務したあと、BBCで科学番組の制作をしていた人です。空気とは何か、大気汚染はいるから始まったのか、排気ガスによる汚染、地球温暖化について、破壊されるオゾン層、酸性雨、原発の危険性、大気汚染をはかる方法などについて伝えています。


森林

ちきゅうのえほん『森林』さくまゆみこ訳
『森林』 (ちきゅうのえほん2)

原題:FOREST (WORLD IN DANGER) by Steve Pollock & Peter Wingham, 1990
スティーヴ・ポロック著 ピーター・ウィンガム絵 さくまゆみこ訳
リブリオ出版
1991.10

環境について考えるイギリスのノンフィクション絵本。著者は動物園や大英博物館に勤務したあと、BBCで科学番組の制作をしていた人です。森林の構造、木のいのち、木はどんなふうに役立っているのか、破壊される熱帯林、森林を破壊するとどうなるのか、森林を守るためにはどうすればいいのか、私たちにできること、などを伝えています。


ちきゅうのえほん『水』さくまゆみこ訳
『水』 (ちきゅうのえほん3)

原題:WATER (WORLD IN DANGER) by Steve Pollock & Peter Wingham, 1990
スティーブ・ポロック著 ピーター・ウィンガム絵 さくまゆみこ訳
リブリオ出版
1991.10

環境について考えるイギリスのノンフィクション絵本。著者は動物園や大英博物館に勤務したあと、BBCで科学番組の制作をしていた人です。水道の水はどんなふうにできているのか、水はどんなふうに循環しているのか、なぜ水が汚染されてしまうのか、海が汚染されてしまうのか、魚の乱獲の問題、水をじょうずに使うためにはどうすればいいのか、私たちには何ができるのか、などを伝えています。


ちきゅうのえほん『土』さくまゆみこ訳
『土』 (ちきゅうのえほん4)

原題:EARTH (WORLD IN DANGER) by Steve Pollock & Peter Wingham, 1991              
スティーヴ・ポロック著 ピーター・ウィンガム絵 さくまゆみこ訳
リブリオ出版
1991.10

環境について考えるイギリスのノンフィクション絵本。著者は動物園や大英博物館に勤務したあと、BBCで科学番組の制作をしていた人です。土はどんなふうにつくられているのか、ダムの害、農薬や化学肥料の害、土地の砂漠化を防ぐ方法などについて述べられています。巻末に用語解説がついています。


野生生物

no image
『野生生物』 (ちきゅうのえほん5)

原題:WILDLIFE (WORLD IN DANGER) by Steve Pollock & Peter Wingham,
スティーヴ・ボロック著 ピーター・ウィンガム絵 さくまゆみこ訳
リブリオ出版
1991.10

環境について考えるイギリスのノンフィクション絵本。著者は動物園や大英博物館に勤務したあと、BBCで科学番組の制作をしていた人です。環境破壊、環境汚染などで絶滅してしまう生物やについて述べたあと、それを食い止めようとする試みも紹介しています。


人間

no image
『人間』 (ちきゅうのえほん6)

原題:PEOPLE (WORLD IN DANGER) by Steve Pollock & Peter Wingham, 1991
スティーヴ・ボロック著 ピーター・ウィンガム絵 さくまゆみこ訳
リブリオ出版
1991.10

環境について考えるイギリスのノンフィクション絵本。著者は動物園や大英博物館に勤務したあと、BBCで科学番組の制作をしていた人です。世界のあちこちで生きている人間が、環境破壊や環境汚染のせいで、危機に瀕していることを伝えています。私たちに今何ができるか、という情報も入っています。


ぞうのまあくん

アロナ・フランケル『ぞうのまあくん』さくまゆみこ訳
『ぞうのまあくん』 (まあくんのバイバイあかちゃんシリーズ4)

原題:THE FAMILY OF TINY WHITE ELEPHANTS by Alona Flankel, 1978
アロナ・フランケル絵・文 さくまゆみこ訳
アリス館
1984.04

イスラエルの絵本。下の子が生まれたときの上の子の葛藤をテーマにした絵本です。ゾウの一家が登場します。赤ちゃんは自分では何もできないので、お父さんもお母さんも赤ちゃんの世話で大忙し。まだ小さいお兄ちゃんのまあくんは、ちっともおもしろくないので、赤ちゃん返りをしたり、文句を言ったりします。最後はお父さんとお母さんが、まあくんの気持ちもわかってくれるので、ホッと安心できます。


ぱくぱくぺろり

アロナ・フランケル『ぱくぱくぺろり』さくまゆみこ訳
『ぱくぱくぺろり』 (まあくんのバイバイあかちゃんシリーズ3)

原題:A BOOK TO EAT by Alona Frakel
アロナ・フランケル/絵・文 さくまゆみこ/訳
アリス館
1984.03

食べ物をテーマにした絵本です。好き嫌いしないでなんでも食べようね、いろいろなものを食べると、それが体の栄養になってどんどん大きくなれるからね、と語りかけています。