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草原が大好き ダリアちゃん

『草原が大好きダリアちゃん』表紙
『草原が大好き ダリアちゃん』
長倉洋海/文・写真
アリス館
2023.01

『草原が大好き ダリアちゃん』をおすすめします。

世界のさまざまな地域の文化を、そこで生きる子どもを主人公にして紹介する写真絵本シリーズの一冊。今回の主人公は、味噌っ歯の5歳の少女ダリアちゃん。冬はマイナス40度にもなるロシアのシベリアで、家族とトナカイたちに囲まれて暮らす。自然の中にあってほとんどが手づくりという日常の衣食住を伝える写真からは、8か月も雪におおわれている厳しさも、広い草原を走り回ったりベリーやキノコを摘んだりする楽しさも、そしてダリアちゃんの「ここが大好き」という思いも、伝わってくる。小学校低学年から(さくま)

(朝日新聞「子どもの本棚」2023年2月25日掲載)

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チャンス〜はてしない戦争をのがれて

『チャンス』表紙
『チャンス〜はてしない戦争をのがれて』
ユリ・シュルヴィッツ/作、原田勝/訳
小学館
2022.09

『チャンス〜はてしない戦争をのがれて』をおすすめします。

ポーランドに生まれアメリカで絵本作家になったシュルヴィッツは、幼い頃ワルシャワにあった家をドイツ軍の爆撃で失い、家族とともに旧ソ連国内、後にはヨーロッパを転々とさまよう。文章と絵からは、その旅が戦争、飢え、病、寒さ、迫害の連続で、死と隣り合わせだったことが伝わってくる。「おとうさんのちず」に描かれていた家族関係も詳細に語られているし、様々な困難を乗りこえてきたからこそ「よあけ」のようなさわやかで美しい絵本を描けるようになったことも、うかがい知れる。
思えば、ガアグ、センダック、レイ夫妻、八島太郎、そして彼のような海外にルーツをもつ画家が、アメリカの絵本の豊かな多様性を生み出してきたのだ。小学校高学年から(さくま)

(朝日新聞「子どもの本棚」2022年10月29日掲載)

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わたしは反対〜社会をかえたアメリカ最高裁判事RBG(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)

『わたしは反対!』表紙
『わたしは反対〜社会をかえたアメリカ最高裁判事RBG(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)』
デビー・リヴィ/文 エリザベス・バドリー/絵 さくまゆみこ/訳
子どもの未来社
2022.11

アメリカの絵本。かなり強いタイトルですが、長いものに巻かれたり、上の方々の言いなりになるのではなく、考えが違う場合は、はっきりそう言いましょう、という思いでつけています。

幼いころ、「犬とユダヤ人はおことわり」という立て札を見て、そのときの嫌な気持ちを忘れずにいました。そして、時代遅れの考え方や、不公平や、不平等や、弱者が虐げられたのを見ると、反対したり、意義を唱えたりしました。それは、最高裁の判事になっても変わりませんでした。

「ルース・ベイダー・ギンズバーグをもっと知るために」という後書きには、その生涯がもう少し詳しく書かれています。また編集の方で用意してくださった「RGBの生きた時代とアメリカの女性に関する主なできごと」という年表もついています。

原書には書き文字がついていて、それが日本語でうまく表現できるかどうか心配だったのですが、デザインの方がうまく処理してくださいました。

(編集:二宮直子さん デザイン:藤本孝明さん、藤本有香さん)

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マリー・キュリー

デミ作『マリー・キュリー』表紙
『マリー・キュリー』
デミ/作 さくまゆみこ/訳
光村教育図書
2022.10

アメリカの絵本。二度もノーベル賞を受賞した女性科学者の伝記です。ポーランドのワルシャワに生まれ、フランスのソルボンヌ大学に学び、フランス人科学者のピエールと結婚し、二人の娘を育てながら研究に邁進したマリーですが、最近のアメリカの伝記絵本は、人間を偉人というよりひとりの人間として描こうとしているように思います。夫のピエールは放射性物質への被曝のせいで体が弱っていたせいもあり、通りを渡ろうとして馬車にひかれて亡くなります。マリーも、被曝障害で亡くなります。

「ラジウムから出る放射線は、病気の治療に役立つこともあれば、人を殺すこともあるのです。科学者たちは放射性物質をつかうときは体を保護するようになりました。しかし、長年のあいだ被曝しつづけていたマリーは、すでに健康をそこなっていました」と本書は述べています。また時計の文字盤などにラジウム入りの夜光塗料を塗る仕事をして健康をそこねた「ラジウム・ガールズ」についても言及しています。

こういうのを訳すときは、一応テキストを訳してしまってから、一般書の伝記を何冊か読みます。そして疑問のある部分を書き出して、さらに調べるようにしています。異論がいくつかあるときは、原書の文章を活かしますが、原書が大きく間違っていることもあるので、要注意です。

彼女についての最近の伝記は「マリ・キュリー」と書いてあるのが多いかもしれません。フランス風の現地音主義をとればマリになります。でも、現地音主義にこだわると、「マリ・キュリ」になります。それはちょっとおかしいかも、と編集の方と相談して、このようなタイトルになりました。

(編集:鈴木真紀さん 装丁:森枝雄司さん)

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ダーシェンカ 愛蔵版

『ダーシェンカ』表紙
『ダーシェンカ 愛蔵版』
カレル・チャペック/著 伴田良輔/訳
青土社
2020

『ダーシェンカ 愛蔵版』(NF)をおすすめします。

フォックステリアのダーシェンカが、「片手にひょいと載せられるほどの、白い小さなかたまりだった」時から、歩けるようになっても「足を一本見失ってしまい、四本であることをすわりなおして確認しなくてはならな」かったり、なんでもかんでも手当たり次第にかんでしまったり、おしっこの水たまりをあっちこっちに作ったりしながら成長していく過程を、味のある文章と、愛情あふれる写真と、ゆかいなイラストで描写した本。ヒトラーとナチスを痛烈に批判した作家の、日常生活や人となりを知るうえでもおもしろい。

原作:チェコ/13歳から/犬、ペット

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2021」より)

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ネコとなかよくなろうよ

『ネコとなかよくなろうよ』表紙
『ネコとなかよくなろうよ』
トミー・デ・パオラ/作 福本友美子 訳
光村教育図書
2020

『ネコとなかよくなろうよ』(NF絵本)をおすすめします。

ネコが飼いたいパトリックは、ネコのことならおまかせ、というキララおばさんのところへやってくる。そしてさまざまなネコの種類についての説明を聞き、古代エジプトから現代に至るまでの人びとの、ネコとのつき合い方の変遷を知り、ネコが登場する絵やお話について教えてもらい、ペットとして飼うための秘訣を話してもらう。自分もネコを飼っていた作者が、キララおばさんの姿を借りて、子どもに知っておいてほしいネコについての知識のあれこれを、楽しい絵とともにわかりやすく伝えている絵本。

原作:アメリカ/7歳から/ネコ、古代エジプト

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2021」より)

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戦場の秘密図書館〜シリアに残された希望

『戦場の秘密図書館』表紙
『戦場の秘密図書館〜シリアに残された希望』
マイク・トムソン/著 小国綾子/訳
文溪堂
2019

『戦場の秘密図書館』(NF)をおすすめします。

内戦下のシリア南部にあるダラヤは、政府軍に完全封鎖されて激しい空爆を受け、食料や物資が不足していた。そのなかで、若者たちは破壊された家や瓦礫のなかから本を集めて地下に秘密図書館を作り、人びとの心に希望の灯を点していく。英国人ジャーナリストによるドキュメンタリーを、毎日新聞の記者が子ども向けに編集し訳している。内戦下にあるシリアの状況がリアルに伝わるだけでなく、本や図書館の本質的な役割とはなにかを考えさせてくれる。「頭や心にだって栄養が必要」という言葉がひびく。

原作:イギリス/8歳から/シリア 図書館 内戦 本

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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ミイラ学〜エジプトのミイラ職人の秘密

『ミイラ学』表紙
『ミイラ学〜エジプトのミイラ職人の秘密』
タマラ・バウワー/著・絵 こどもくらぶ/訳・編
今人舎
2019

『ミイラ学』(NF絵本)をおすすめします。

王室御用達のミイラ職人の一家を主人公にして、王妃の父イウヤの遺体をミイラにしていく様を、絵と文章で表現した絵本。どんな材料や器具が使われ、どのような手順でミイラに加工されていったか、葬儀はどのように行われたのか、などがとても具体的に紹介されている。後書きには、ミイラ学の歴史や、イウヤとその妻チュウヤのミイラ(写真もある)が発見されたときの様子などが記されていて、興味深い。発掘調査にかかわる技術画を専門にしていた著者の、古代エジプト風の絵も趣をそえている。

原作:アメリカ/8歳から/古代エジプト ミイラ 葬儀

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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プラスチックプラネット〜今、プラチックが地球をおおっている

『プラスチック プラネット』表紙
『プラスチックプラネット〜今、プラチックが地球をおおっている』
ジョージア・アムソン=ブラッドショー/作 大山泉/訳
評論社
2019

『プラスチックプラネット』(NF絵本)をおすすめします。

身の回りに氾濫するプラスチック製品について考えてみようと呼びかける絵本。プラスチックとはなにか、プラスチックの利点と問題点、暮らしのなかでどう使われているか、どんなふうに普及してきたか、マイクロプラスチックやマイクロビーズについて、プラスチックゴミの野生生物や人体への影響などを、イラストや写真を交えてさまざまな観点から解説し、プラスチックごみがあふれる今、私たちになにができるかという具体的な案も提示している。見開きごとに1トピックになっていて、わかりやすい。

原作:イギリス/8歳から/プラスチック ごみ 地球

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

 

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映画ってどうやってつくるの?

『映画ってどうやってるくるの?』表紙
『映画ってどうやってつくるの?』
フロランス・デュカトー/文 シャンタル・ペタン/絵 野坂悦子/訳 大久保清朗/日本語版監修
西村書店
2019

『映画ってどうやってつくるの?』(NF絵本)をおすすめします。

映画はどうやって制作されているのかを、子どもにもわかるように概説した絵本。まずモーション・キャプチャーという技法の紹介で読者を引きつけておいて、19世紀に写真が発明されると、今度はその写真を動かす方法が考案された歴史を伝えていく。撮影前から撮影後までの過程でどのような仕事をどのような人たちが担っているのか、アニメーション映画はどう作るのかなどについても述べられている。音作りやソーマトロープなどを体験してみるページや、考えてみることを促すページもあり、楽しみながら学べる。

原作:オランダ/8歳から/映画 撮影 アニメーション

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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アンネのこと、すべて

『アンネのこと、すべて』表紙
『アンネのこと、すべて』
アンネ・フランク・ハウス/編 小林エリカ/訳 石岡史子/日本語版監修
ポプラ社
2018

『アンネのこと、すべて』(NF)をおすすめします。

アンネは、ドイツに生まれたが、ヒトラーの脅威にさらされてオランダに移住する。そのオランダにもナチスの影が迫ってきて、隠れ家に身を潜める。しかし、2年後に見つかって強制収容所に連行され、命を落とす。そうした生涯を、写真とイラストをふんだんに使って紹介している。随所にはさまれたカラーのハーフページには、歴史的な事実や、隠れ家の見取り図や、オランダのナチについての解説など付随する情報が載っている。アンネの生涯は、世界じゅうで迫害されている子どもの象徴として記憶にとどめておきたい。

原作:オランダ/10歳から/アンネ・フランク ホロコースト 隠れ家

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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私はどこで生きていけばいいの?

『私はどこで生きていけばいいの?』表紙
『私はどこで生きていけばいいの?』
ローズマリー・マカーニー/文 西田佳子/訳
西村書店
2018

『私はどこで生きていけばいいの?』(NF写真絵本)をおすすめします。

世界の難民や避難民の子どもたちの望みや不安を、写真と簡潔な文章で紹介する絵本。写真は、国連難民高等弁務官事務所が提供するもので、クロアチア、ハンガリー、ルワンダ、レバノン、イラク、南スーダン、ヨルダン、ギリシャ、ミャンマー、ニジェールなどで撮影されている。「『こんにちは。ここで安心して暮らしてね』と、笑顔でむかえてくれる人がいますように。あなたもそのひとりでありますように。」という、最後の場面に添えられた言葉に、本書の意図が集約されている。

原作:カナダ/8歳から/難民 子ども 旅

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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しぜんのかたち せかいのかたち〜建築家フランク・ロイド・ライトのお話

『しぜんのかたちせかいのかたち』表紙
『しぜんのかたち せかいのかたち〜建築家フランク・ロイド・ライトのお話』
K ・L ・ゴーイング/文 ローレン・ストリンガー/絵 千葉茂樹/訳
BL出版
2018

『しぜんのかたち せかいのかたち』(NF絵本)をおすすめします。

ライトは、幼年時代に積み木で遊ぶことによって「形」の秘密に気づき、自然の中で過ごすことによって「形」の不思議に魅せられた。そして建築家となって、自然を切り離すのではなく自然に溶け込む建物をつくりだした。後年スキャンダルにも見舞われるが、この絵本では幼年時代・少年時代を描くことによってポジティブな面に光を当て、彼がどのような建築をめざしたかを、味わいの深い絵とともに提示している。作中に描かれた建築物が何かを説明するページもある。

原作:アメリカ/8歳から/建築 自然 形 伝記

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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マララのまほうのえんぴつ

『マララのまほうのえんぴつ』表紙
『マララのまほうのえんぴつ』
マララ・ユスフザイ/作 キャラスクエット/絵  木坂涼/訳
ポプラ社
2017

『マララのまほうのえんぴつ』(NF絵本)をおすすめします。

誰かが声を上げないと、と感じたとき、パキスタンの少女マララは、「まって……、だれかじゃなくて、わたし?」と、ネットでの発信を始める。その後銃撃されて瀕死の重傷を負ったマララは、回復するとさらに歩みを進める。そして、小さいころ夢見ていた魔法の鉛筆は、自分の言葉と行動のなかにあるのだと確信する。ノーベル平和賞を受けたマララの本はたくさん出ているが、この絵本は彼女が自分の言葉で文章をつづっている。流れもスムーズでわかりやすい。

原作:アメリカ/6歳から/マララ、魔法、言葉、学ぶ権利

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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すごいね! みんなの通学路

『すごいね!みんなの通学路』表紙
『すごいね! みんなの通学路』
ローズマリー・マカーニー/文 西田佳子/訳
西村書店
2017

『すごいね! みんなの通学路』(NF写真絵本)をおすすめします。

他の国の子どもたちは、どんな道を通って学校に行くのかな? スクールバスに乗る子もいるけど、ボートや犬ぞりや、ロバとか牛に乗って通っている子もいるよ。ちゃんとした道や、ちゃんとした橋がないところを通っていく子もいるね。水を入れたたらいや机をかついで行く子もいる。国際慈善団体で働いてきた著者が、日本、フィリピン、カンボジア、中国、ミャンマー、ガーナ、ウガンダ、ハイチ、コロンビアなど、世界各地の通学する子どもたちを写真で紹介する絵本。

原作:カナダ/6歳から/学校 通学路 子ども 写真絵本

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ゴードン・パークス

『ゴードン・パークス』表紙
『ゴードン・パークス』
キャロル・ボストン・ウェザーフォード/文 ジェイミー・クリストフ/絵 越前敏弥/訳
光村教育図書
2016

『ゴードン・パークス』(NF絵本)をおすすめします。

『ヴォーグ』や『ライフ』で活躍した黒人カメラマンを紹介する絵本。貧困や差別によって何度も希望を打ち砕かれそうになったゴードンは、逆境の中で貯めたお金で中古カメラを買い、人生を変えていく。カメラマンとしてだんだんに仕事が増えてきたある時、何を撮ってもいいと言われたゴードンは、差別を受けている側の人たちを次々に撮る。ビル清掃員のエラ・ワトソンが、アメリカの国旗とモップを背にほうきを持って立っている写真は、ゴードンの代表作のひとつだ。セピアを基調にした絵がいい。

原作:アメリカ/6歳から/カメラ、アメリカ、人種差別

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ダイエット幻想~やせること、愛されること

『ダイエット幻想』表紙
『ダイエット幻想~やせること、愛されること』
磯野真穂/著 はらだ有彩/絵
筑摩書房
2019

『ダイエット幻想』(NF)をおすすめします。

やせるためのダイエット法はさまざまなものが喧伝されているが、本書は、それを非難したり批判したりするものではない。文化人類学者である著者は、女性が「やせた」とか「かわいい」とか思われたくてダイエットに励むという状況の裏側に何があるのかをさぐっていく。そこからは、女性に子どもっぽさを求める日本の社会、「選ばれる性」「愛される側」にとどまる女性、頭にためこんだ知識にとらわれて生きる力を失ってしまう現代人など、さまざまな問題点が浮き彫りになってくる。例も豊富でわかりやすい。

13歳から/ダイエット 愛 かわいさ 摂食障害

 

Diet Fantasies: Lose Weight, Be Loved

The world is full of diet methods that come and go. This book does not negate or critique them; rather, the author, a cultural anthropologist, considers why Japanese women are encouraged to diet, thinking that they want to “slim down” or “be cute.” What is behind this? Japanese society’s fixation on childlike women; the tendency to see women as passive, “chosen” (or not) or “loved” (or not); the loss of power to live when eating based on facts accumulated in one’s head. Many issues come up with plentiful examples, all presented in understandable text. (Sakuma)

  • text: Isono, Maho | illus. Harada, Arisa
  • Chikuma Shobo
  • 2019
  • 224 pages
  • 18×11
  • ISBN 9784480683618
  • Age 13 +

Diet, Love, Cuteness, Eating disorders

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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オランウータンに会いたい

『オランウータンに会いたい』表紙
『オランウータンに会いたい』
久世濃子/著 秋草愛/絵
あかね書房
2020

『オランウータンに会いたい』(NF)をおすすめします。

著者は、野生のオランウータンを調査・研究している学者。本書は、オランウータン研究者になった動機、ボルネオでの調査のやり方、オランウータンの生態、チンパンジーとは違う群れない生き方、絶滅の危機と私たちにできること、親子関係に見る人間やほかのサルとの違いといったことを、わかりやすい文章で伝えている。オランウータンについていろいろと知ることができるだけでなく、私たち日本人の暮らしとオランウータンが暮らす東南アジアの森が密接につながっていることにも目を向けさせてくれる。

11歳から/オランウータン ボルネオ ジャングル 絶滅危惧

 

I Want to Meet an Orangutan

Written by a Japanese scientist who studies wild orangutan, the text is very easy to follow. Readers learn what motivated the author to study orangutan, how she conducts fieldwork in Borneo, the ecology of orangutan, the fact that they are an endangered species, and what we can do to help them. The author also explores the differences between orangutan and chimpanzees, which live in groups, and differences in the parent-child relationships of orangutan as compared to humans and other ape species. Not only do we gain a deeper knowledge of orangutan, but we also learn how our own lifestyle is intricately connected to their habitat, the forests of southeast Asia. The author urges us to not only buy products that are good for us, but ones that are good for the environment of the whole planet. (Sakuma)

  • text: Kuze, Noko | illus. Akikusa, Ai
  • Akane Shobo
  • 2020
  • 188 pages
  • 22×16
  • ISBN 9784251073105
  • Age 11 +

Orangutan, Borneo, Jungle, Endangered species

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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わたしたちのカメムシずかん~やっかいものが宝ものになった話

『わたしたちのカメムシずかん』表紙
『わたしたちのカメムシずかん~やっかいものが宝ものになった話』

『わたしたちのカメむしずかん』(NF絵本)をおすすめします。

カメムシは触ると臭いから嫌いという人も多い。ところが、この嫌われ者の虫に夢中になり、もっともっと知りたくなり、1年間に35種類も集めて自分たちでカメムシ図鑑まで作り、やがてカメムシは宝だと言うようになった子どもたちがいる。この絵本は、岩手県の山あいにある小さな小学校での実話に基づき、どうしてそんなことになったのかを楽しい絵とわかりやすい文章で紹介している。カメムシにはさまざまな種類があることもわかるし、カメムシはどうして臭いのか、どうして集まるのかについても、説明されている。

9歳から/カメムシ 図鑑 観察

 

Our Stink Bug Book

Stink bugs (shield bugs) are often seen as smelly pests, but in the town of Kuzumaki in northern Iwate prefecture, children got excited about them and wanted to know more. They gathered specimens of some 35 types over a year’s time, and they created an encyclopedia. Now they think the stink bugs are great! This picture book uses enjoyable illustrations and easy-to-understand text to tell us how the students’ project came about. The book also offers basic information about stink bugs, why they give off odors, and why they form groups. The backmatter offers space for readers to begin their own encyclopedias. (Sakuma)

  • text: Suzuki, Kaika | illus. Hata, Koshiro
  • Fukuinkan Shoten
  • 2020
  • 44 pages
  • 26×20
  • ISBN 9784834085525
  • Age 9 +

Stink bug, Encyclopedia, Observation

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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やとのいえ

『やとのいえ』表紙
『やとのいえ』
八尾慶次/作
偕成社
2020

『やとのいえ』(NF絵本)をおすすめします。

石の十六羅漢さんが語るという体裁で、谷戸に建てられた一軒の農家と、それを取り巻く環境の、150年にわたる変化を伝えている絵本。水田や麦畑や林に囲まれていたかやぶき屋根の家は、今やモノレールやデパートやマンションやアパートに囲まれた瓦屋根の家に変わっている。農作業、子どもの遊び、お祭り、嫁入り、葬儀、開発の様子など人間の暮らしばかりでなく、ある時期までは野鳥や野生の動物も羅漢さんをしばしば訪れていたことも、ていねいな絵が伝えている。巻末には詳しい解説があって、モデルになった多摩丘陵の変遷もわかる。

9歳から/家 開発 都市化 十六羅漢

 

Yato Home

This picture book portrays 150 years in the life of a farmhouse in a yato area, with gently sloping hills and valleys. The book is narrated by stone statues of the sixteen arhats (disciples of the historical Buddha) that stand nearby. The farmhouse with thatched roof is first surrounded by rice paddies, fields, and forests; later, it becomes enclosed by a monorail, department store, and condominiums and apartment buildings. It is given a tiled roof. Planting and threshing processes, children’s play, festivals, weddings, funerals, and development are all depicted in detail. Until a certain period, wild birds and animals also visit the stone statues. The backmatter contains detailed explanations, including about the Tama Hills in southwest Tokyo/northeast Kanagawa, which served as the model for this book. (Sakuma)

  • text/illus. Yatsuo, Keiji | spv. Senni, Kei
  • Kaiseisha
  • 2020
  • 40 pages
  • 22×31
  • ISBN 9784034379004
  • Age 9 +

Home, Development, Urbanization, Sixteen arhats

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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虫のしわざ図鑑

『虫のしわざ図鑑』表紙
『虫のしわざ図鑑』
新開孝/写真・文
少年写真新聞社
2020

『虫のしわざ図鑑』(NF)をおすすめします。

植物の葉や枝や実に、虫がかじった跡がないだろうか? 虫が生きるための活動の痕跡を本書では「虫のしわざ」と呼び、見た目から、あみあみ、かじかじ、すけすけ、てんてん、まきまきなど16種類に分類し、写真と文章で紹介している。たとえば葉に「あみあみ」模様を見つけたら、本書の写真と見くらべれば、何の虫が何をした跡かがわかる仕組み。また「しわざコレクション」として、卵や糞、脱け殻やクモの網などについてコラム風にまとめている。昆虫写真家ならではの、おもしろい切り口の図鑑。

9歳から/虫 葉 卵 糞

 

Enclopedia of Insect Signs and Works

Have insects left any chew marks on leaves, branches, or fruit near you? Have you seen eggs, nests, or galls? This book divides common signs of insect activity into sixteen fun types, such as “chew-through,” “see-through,” “wrap-wrap,” “tent,” and more, and presents the activity in photos and text. The book is made so that, for example, if children find a leaf with one of the designs shown, they can compare it to the book and find out which insect was at work. Objects such as eggs, dung, husks, spiderwebs, and cocoons are also introduced in column-like format. An encylopedia-picture book with a fresh approach, created by a specialist in insect photography. (Sakuma)

  • text/photos: Shinkai, Takashi
  • Shonen Shashin Shimbunsha
  • 2020
  • 160 pages
  • 21×19
  • ISBN 9784879816924
  • Age 9 +

Insects, Leaves, Eggs, Dung

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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タコとイカはどうちがう?

『タコとイカはどうちがう?』表紙
『タコとイカはどうちがう?』
池田菜津美/文 峯水亮/写真 杉本親要/監修
ポプラ社
2020

『タコとイカはどうちがう?』(NF)をおすすめします。

食卓でもおなじみのタコとイカ。どちらも頭足類だけど、どこが似ていてどこが違うのだろう? この絵本では、両者がさまざまな角度から比較されている。足の数など見た目の違いから、獲物のとらえ方、スミの吐き方、すんでいる場所や活動の場所、敵から身を守る方法、体の色の変え方、子育ての仕方、赤ちゃんたちのサバイバル方法に至るまで、いろいろ比べて写真とイラストと文章で楽しく伝えている。長い腕をポケットにしまうイカがいるとか、タコは道をおぼえていて迷子にならないなど、びっくり知識も豊富。

9歳から/タコ イカ 海

 

What’s the Difference between Octopus and Squid?

Octopus and squid appear often on Japanese tables. Both are cephalopods (like heads on legs!) with soft bodies, but how are they different? This picture book compares them from several angles. From differences that we can see with our eyes (number of legs) to differences in how they catch prey and release ink, where they live, how they protect themselves from their enemies, how they change color, how they parent, and even how their babies survive, we get the full story in photos, illustrations, and text. Did you know that some squid can put their long arms in pockets? Or that an octopus can memorize routes and not get lost? Did you know that the squid and the octopus both have multiple hearts, big and small? Many surprising facts fill this book. (Sakuma)

  • text: Ikeda, Natsumi | photos: Minemizu, Ryo | spv. Sugimoto, Chikatoshi
  • Poplar
  • 2020
  • 32 pages
  • 22×29
  • ISBN 9784591163504
  • Age 9 +

Octopus, Squid, Ocean

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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さがす

長倉洋海『さがす』表紙
『さがす』
長倉洋海/写真・文
アリス館
2020

『さがす』(NF写真絵本)をおすすめします。

作者は、世界各地の子どもたちの写真を撮りながら、「人はなんのために生まれてきたのか」「自分の居場所はどこなのだろう」「生きる意味とは何なのだろう」と考え続けてきた。その答えを探して弾丸の飛び交うアフガニスタンやコソボ、極寒のグリーンランド、灼熱のアラビア半島など、さまざまな環境のなかでさまざまな生き方をしている人びとに出会ってきた。その旅路の果てに、「さがしていたものは、いま、自分の手の中にある」と語る。心にひびく写真と言葉を味わいながら、読者も一緒に考えることができる写真絵本。

9歳から/世界 幸せ 生きる意味

 

Search

Photojournalist Nagakura has taken photos of children the world over while asking, “Why were humans born?” “Where do we belong?” “What is the meaning in living?” He has asked these questions in places where bullets fly, such as Afghanistan and Kosovo; in a refugee camp in El Salvador; in Greenland with its extreme cold; and on the Arabian Peninsula with its scorching heat. He has met all kinds of people living in different ways in contrasting environments. Now, Nagakura says, what he was searching for is in his own hands. This picture book invites us to experience touching photos and text and to think together with the author. (Sakuma)

  • text/photos: Nagakura, Hiromi
  • Alice-kan
  • 2020
  • 40 pages
  • 26×20
  • ISBN 9784752009375
  • Age 9 +

World, Happiness, Meaning in life

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

 

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恐竜学

『恐竜学』表紙
『恐竜学』
真鍋真/著
学研プラス
2020

『恐竜学』(NF)をおすすめします。

最新の情報に基づいて、恐竜のことを子どもたちにわかりやすく解説した本。まず地球の歴史と恐竜の関係について述べ、子どもたちに人気のティラノサウルスはどんな恐竜だったのかを描写し、化石からわかる恐竜同士の対決について語り、最新の恐竜研究でわかったことを説明し、鳥類と恐竜の関係や比較、恐竜が大量絶滅した原因などをさぐっていく。講演会の時などによく出る質問に真鍋博士が答える章も設けられている。絵や写真がふんだんにあって興味をひくし、子ども目線で本づくりされているのがいい。

9歳から/恐竜 化石 絶滅 地球

 

Science of Dinosaurs

Based on the latest information, the author, a paleontologist explains dinosaurs to children in an accessible way. The book begins with the history of the planet Earth and dinosaurs, then describes what Tyrannosaurus, a dinosaur popular with children, were like, what fossils can tell us about confrontations between Tyrannosaurus and other dinosaurs such as Triceratops, and what has been discovered through the most recent paleontological research. The author explores the relationship between birds and dinosaurs, comparing them, and also the reasons for the extinction of dinosaurs. One chapter is devoted to Dr. Manabe’s answers to questions he is frequently asked at events and lectures, such as how paleontology can be useful. The book is well-designed for children with illustrations and photos on every page to draw the eye and excite curiosity. (Sakuma)

  • text: Manabe, Makoto
  • Gakken Plus
  • 2020
  • 200 pages
  • 19×13
  • ISBN 9784052051852
  • Age 9 +

Dinosaurs, Fossils, Extinction, Earth

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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りんごだんだん

『りんごだんだん』表紙
『りんごだんだん』
小川忠博/写真・文
あすなろ書房
2020

『りんごだんだん』(NF写真絵本)をおすすめします。

最初は、ぴかぴかでつやつやの赤いリンゴの写真に、「りんご つるつる」という言葉がついている。その同じリンゴが、少しずつ変わっていき、しわしわになり、ぱんぱんになり、しなしなになり、ぐんにゃりとなり、やがて哀れな姿に。作者が1年近くの間リンゴを観察して記録した写真絵本。それぞれの写真には、ごく短い言葉がついているだけだが、生きているものは時間とともに否応なく変化していくこと、そして、それを糧にしてまた次の命が育っていくことなどが、リアルな写真から伝わってくる。

3歳から/リンゴ 腐敗 変化 命

 

Apple, Bit by Bit

A photo of a bright red apple appears with the text “Smooth Apple.” The same apple changes little by little over time, becoming wrinkly, swollen, soft, limp, and then bug-eaten. But is that the end? The author observed and photographed the same apple for about a year to create this picture book. Each photo has only brief words with no explanations, but the idea that all living things change, ultimately becoming nourishment for future life, comes across in the realistic photos. (Sakuma)

  • text/photos: Ogawa, Tadahiro
  • Asunaro Shobo
  • 2020
  • 36 pages
  • 20×21
  • ISBN 9784751529614
  • Age 3 +

Apple, Decay, Change, Life

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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虫ぎらいは なおるかな?〜昆虫の達人に教えを乞う

『虫ぎらいはなおるかな?』表紙
『虫ぎらいは なおるかな?〜昆虫の達人に教えを乞う』
金井真紀/著
理論社
2019

『虫ぎらいは なおるかな?』(NF)をおすすめします。

チョウやセミにさえさわれないほど虫嫌いの著者が、それをなんとか克服しようと7 人の専門家に会いに行った記録。会ったのは、虫と子どもの関係を調査している教育学者、昆虫館の館長、生きもの観察や野遊びの達人、虫オブジェを制作しているアーティスト、害虫研究家、「こわい」の心理を研究する認知科学者、多摩動物公園の昆虫飼育員。著者の奮闘ぶりはほほえましいが、虫好きの人が熱く語れば語るほど引いてしまう場面などがユーモラスで、おもしろく読める。イラストも楽しい。

13歳から/昆虫 好き嫌い インタビュー

 

Learning to Love Bugs from the Experts

The author hates bugs, even butterflies and cicadas. In this book, she records her encounters with seven bug experts she visits in an attempt to overcome her aversion. She meets an expert in the field of education who is studying the relationship between children and bugs, the director of a bug museum, an expert on wildlife observation and outdoor play, an artist who makes clay bug objects, a scientist researching harmful insects, a cognitive scientist studying the psychology of fear, and a bug keeper at the Tama Zoo. With a humorous touch, the author describes how the experts’ enthusiasm sometimes has the opposite effect, turning her off bugs even further. Her persistent efforts to like bugs are endearing, and the illustrations make this a fun read. (Sakuma)

  • Text/Illus. Kanai, Maki
  • Rironsha
  • 2019
  • 160 pages
  • 19×13
  • ISBN 9784652203095
  • Age 13 +

Bugs, Likes and dislikes

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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ギヴ・ミー・ア・チャンス〜犬と少年の 再出発

『ギヴ・ミー・ア・チャンス』表紙
『ギヴ・ミー・ア・チャンス〜犬と少年の 再出発』
大塚敦子/著
講談社
2018

『ギヴ・ミー・ア・チャンス』(NF)をおすすめします。

2014 年、千葉県の八街少年院で、少年たちに保護犬を訓練してもらうプログラムが始まった。第1 期に参加する少年は3 名。捨てられたり手放されたりして保護された犬が3 匹。犬と少年は1 対1のペアになって3 か月の間授業を受け、一般家庭に犬を引き渡すための訓練を行う。本書は、その訓練の日々に密着し、犬と少年の間に信頼感が芽生え、心が通い合い、両者ともに変わっていく様子をいきいきと伝えている。犬の表情をうまくとらえた写真と、抑制のきいた文章が心にひびく。

13歳から/少年院 犬 訓練

 

Give Me a Chance

ーA Fresh Start for Dogs and Boys

In 2014, a program was started at Yachimata Reformatory in Chiba prefecture to have young inmates train rescued dogs. Three boys joined the program in the first phase, and were paired up with three abandoned dogs from a shelter. The program lasted for three months during which time the dogs were trained in order to be rehomed with ordinary families. This book closely documents the day to day process, vividly demonstrating how a sense of trust developed between the neglected or abused dogs and the delinquent juveniles as they began to understand each other, and together they began to change. Readers will be deeply moved by the photos capturing the dogs’ facial expressions and the neutral written account. (Sakuma)

  • Otsuka, Atsuko
  • Kodansha
  • 2018
  • 208 pages
  • 20×14
  • ISBN 9784065130001
  • Age 13 +

Juvenile reformatory, Dogs, Training

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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ヒロシマ 消えたかぞく

『ヒロシマ消えた家族』表紙
『ヒロシマ 消えたかぞく』
指田和/著 鈴木六郎/写真
ポプラ社
2019

『ヒロシマ 消えたかぞく』(NF写真絵本)をおすすめします。

広島に暮らしていたある一家の記録を、一家の父親が撮りためていた写真をもとに構成し、日本語と英語の文章をつけている。理髪師の鈴木六郎は、妻の笑顔、子どもたちが元気で遊ぶようす、飼っていたネコや犬の何気ないしぐさなど、日常生活のひとこまひとこまを愛情たっぷりに撮影していた。しかし1945 年8月6日、原爆が広島を襲うと、一家全員の命がぷつっと絶たれる。作者は広島平和記念資料館でこれらの写真に出会って、一家をよみがえらせる一冊の作品にしあげた。いのちや平和について考えるきっかけになる写真絵本。

9歳から/広島 原爆 写真 家族

 

A Family in Hiroshima

ーTheir Vanished Dreams

Rokuro Suzuki, a barber who lived in Hiroshima, recorded the life of his family in photos near the end of World War II. Each photo captured their daily life with a loving touch: the smiling face of Suzuki’s wife, the laughter on his children’s faces as they played, and the innocent antics of their pet cats and dogs. On August 6, 1945, the entire family was wiped out by the atom bomb that fell on Hiroshima. When author Kazu Sashida first saw their photos in the Hiroshima Peace Museum, she was intrigued. Based on the photos and interviews with Suzuki’s relatives who saved the photos, Sashida brings the Suzuki family back to life. Suzuki’s photos and Sashida’s text, which is written in both Japanese and English, inspires readers to ponder such themes as life and peace. (Sakuma)

  • Text: Sashida, Kazu | Photos: Suzuki, Rokuro
  • Poplar
  • 2019
  • 40 pages
  • 23×23
  • ISBN 9784591163139
  • Age 9 +

Hiroshima, Atomic bomb

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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つらら〜みずと さむさと ちきゅうの ちから

『つらら』表紙
『つらら〜みずと さむさと ちきゅうの ちから』
細島雅代/写真 伊地知英信/文
ポプラ社
2019

『つらら』(NF写真絵本)をおすすめします。

つららの不思議に迫る写真絵本。寒い冬に見られるつららは、どんな場所にどうやってできるのか、どうして長くなるのか、どんなふうに姿を変えていくのかを、美しい写真を使ってわかりやすく説明している。春になっても探せばつららが見られることや、一年じゅうつららが見られる洞窟の存在や、地面から生えたタケノコのような氷があることも伝えている。巻末には、冷蔵庫でつららを作る実験を紹介し、タルヒ、スガなど日本各地からつららを指す言葉を集めて地図とともに掲載している。

6歳から/つらら 冬 方言

 

Icicles

ーWater, Cold, and the Power of the Earth

This picture book introduces the icicles we often see in a cold winter through stunning photographs. How are they formed? Why do they grow so long? Their changes in appearance are explained in simple terms using beautiful photographs. Readers are informed that there are places where we can still see icicles in spring, caves where they can be seen all year round, and sometimes ice sprouts up from the ground like bamboo shoots. There are several appendices, including instructions on how to conduct an experiment to grow icicles in the refrigerator using familiar items such as cup noodle containers, and a map showing the various names for icicles in different dialects around Japan. (Sakuma)

  • Text: Ijichi, Eishin | Photos: Hosojima, Masayo
  • Poplar
  • 2019
  • 36 pages
  • 21×26
  • ISBN 9784591161074
  • Age 6 +

Icicles, Winter

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

 

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お正月がやってくる

『お正月がやってくる』表紙
『お正月がやってくる』
秋山とも子/作
ポプラ社
2018

『お正月がやってくる』(NF絵本)をおすすめします。

都会に住むなおこさん一家三世代の、歳末から新年までのさまざまな習慣をわかりやすく描いている。年の瀬になると、なおこさんたちは酉の市に出かけて熊手を買う。浅草のガサ市で買った材料を使って玉飾りや招福飾りを作り、門松やしめ縄と一緒に近所の人に売る。それが終わると大掃除をして、おせち料理を作り、大晦日には年越しそばを食べて新年を迎える。家族の仕事は工務店だが、お正月には獅子舞もしながら近所を回る。都会での年越しや正月の伝統が楽しくわかる作品。

6歳から/正月 年越し 獅子舞

 

It’s New Year!

This picture book portrays traditional Japanese New Year customs. The protagonist is Naoko, who lives in a modern city where her husband manages a construction firm. As the year draws to a close, they buy a special lucky rake from a shrine fair, and then some materials for New Year decorations at Asakusa’s Gasa-ichi fair. They use these materials to make traditional decorations, which they sell to local people. When they’ve finished that, their family thoroughly cleans their house from top to bottom, she prepares the special New Year’s food, and on New Year’s Eve they eat buckwheat noodles as they see in the New Year. And once the New Year has started, in order to chase out bad luck, Naoko’s husband and others put on the Lion Mask and dance to the accompaniment of drums and flutes as they go around the neighbourhood wishing everyone a Happy New Year. (Sakuma)

  • Text/Illus. Akiyama, Tomoko
  • Poplar
  • 2018
  • 32 pages
  • 24×27
  • ISBN 9784591160657
  • Age 6 +

New Year, New Year’s Eve, Lion dance

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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世界を救うパンの缶詰

『世界を救うパンの缶詰』表紙
『世界を救うパンの缶詰』
菅聖子/文 やましたこうへい/絵
ほるぷ出版
2017

『世界を救うパンの缶詰』(NF)をおすすめします。

パン職人の秋元義彦さんは、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、固い乾パンではなく、幼い子どもや老人でも食べられるパンの缶詰を作ろうと考え、さまざまな工夫や改良を重ね、試行錯誤をくり返したのちにとうとう完成させる。次に秋元さんは、賞味期限が近づいたパン缶を回収して、海外の被災地や飢餓地帯に送ることを思いつく。アイデアをひとつひとつ具体的に実現させてきたひとりの職人の考え方や、やり方を伝える感動的な読み物。

11歳から/パン 缶詰 職人 夢の実現

 

Saving the World With Canned Bread

This book is about a baker called Yoshihiko Akimoto. When the Kobe earthquake happened in 1995 and there was a need for nonperishable food, Mr. Akimoto hit upon the idea of canning bread that so that it would be soft enough for children and the elderly to eat. After trying many techniques and improvements, and much trial and error, he finally succeeded. Next Mr. Akimoto decided to recall unused canned bread that was approaching its expiry date, and send it to disaster and famine areas around the world through NGOs. This is a moving book about how one artisan dreamed of building a business that would benefit not just his local area but the world at large, and took the necessary steps to make his dream come true. (Sakuma)

  • Text: Suga, Seiko | Illus. Yamashita, Kohei
  • Holp Shuppan
  • 2017
  • 156 pages
  • 20×15
  • ISBN 978-4-593-53523-1
  • Age 11 +

Bread, Canned food, Artisans, Dreams

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2019」より)

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しあわせの牛乳〜牛もしあわせ!おれもしあわせ!

『しあわせの牛乳』表紙
『しあわせの牛乳〜牛もしあわせ!おれもしあわせ!』
佐藤慧/著 安田菜津紀/写真
ポプラ社
2018

『しあわせの牛乳』(NF)をおすすめします。

岩手県の「なかほら牧場」では、115-19年中放牧されている牛が無農薬の野シバを食べ、自然に子どもを産み、山林と共生している。人間は子牛の飲み残した牛乳をもらう。牛の健康を犠牲にして効率を重視する「近代酪農」がほとんどのなか、経営者の中洞さんは、「しあわせに暮らす牛から、すこやかでおいしい牛乳を分けてもらうほうが、みんなうれしい」と信じ、困難を乗り越えて山地酪農の道を切りひらいた。信念を貫くすがすがしい生き方が感動的。

11歳から/牧場 牛乳 アニマル・ウェルフェア

 

Milk of Happiness

Japan’s first dairy farm to be animal welfare-certified is Nakahora Farm in Iwate Prefecture. This book tells of Mr. Nakahora’s struggles to reach this point. In his dairy operation, cows are let out to pasture year-round. They eat pesticide-free wild grasses, birth their calves naturally, and live in harmony with the mountains and the woods. People receive the milk left over from nursing their calves. In an age when “modern” methods call for sacrificing cows’ health to raise efficiency, Mr. Nakahora believes that “even if we cannot drink milk every day, it is better to receive rich, tasty milk from cows living happy lives. That makes everyone happy!” The way he lives out his ideals is very moving. (Sakuma)

  • Text: Sato,Kei | Photos: Yasuda, Natsuki
  • Poplar
  • 2018
  • 175 pages
  • 20×14
  • ISBN 978-4-591-15813-5
  • Age 11 +

Ranching, Milk, Animal welfare

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2019」より)

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文様えほん

谷山彩子『文様えほん』
『文様えほん』
谷山彩子/著
あすなろ書房
2017

『文様えほん』(NF絵本)をおすすめします。

文様とは、「着るものや日用品、建物などを飾りつけるために描かれた模様」とのこと。文様は、縄文時代から土器や人形に描かれていたし、現代でもラーメン鉢や衣服に描かれている。文様のモチーフは、植物、動物、天体や自然などさまざまだし、線や図形を組みあわせた幾何学文様もある。本書は、こうした多種多様な文様を紹介するだけでなく、地図で世界各地の文様の違いや伝播を見せてくれる。文様について楽しく学べる絵本。巻末に文様用語集や豆知識もついている。

10歳から/模様 パターン 日本の伝統

 

The Pattern Picture Book

Patterns are the designs created to decorate clothes, articles in daily use, buildings, and so forth. In Japan, spatulas, bamboo sticks, shells, and nails have all been used to pattern pots and figurines since the Jomon period, and these days ramen bowls and clothes too. This book not only introduces Japanese patterns using various motifs of plants, animals, celestial bodies and nature, and geometrical patterns combining lines and figures, but it also includes a map to show differences with other patterns around the world and how some patterns of one region have spread to others. Along with illustrations, the book also includes a glossary of terms and useful information for readers to enjoy learning about the patterns. (Sakuma)

  • Text/Illus. Taniyama, Ayako
  • Asunaro Shobo
  • 2017
  • 48 pages
  • 21×22
  • ISBN 978-4-7515-2828-0
  • Age 10 +

Patterns, Motifs, Japanese tradition

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2019」より)

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デニムさん〜気仙沼・オイカワデニムが作る 復興のジーンズ

『デニムさん』表紙
『デニムさん〜気仙沼・オイカワデニムが作る 復興のジーンズ』
今関信子/著
佼成出版社
2018

『デニムさん』(NF)をおすすめします。

東日本大震災からの復興を、縫製会社の社長・及川秀子さんの姿を通して描いた読み物。今は、高い技術で世界的に知られる「オイカワデニム」だが、夫の死や経済不況を乗り越えてようやく軌道に乗せたと思ったら、倉庫や自宅が大津波にさらわれてしまう。及川さんは高台にあった工場を臨時の避難所にし、その後も新たなアイデアを生かして復興の先頭に立ってきた。どんな時にも明るさを失わない及川さんに心を寄せながら震災を振り返ることができる。

10歳から/震災からの復興 女性 衣服

 

Ms. Denim

ーThe Jeans Produced by Oikawa Denim as a Symbol of Recovery

The city of Kesennuma, Miyagi Prefecture, sus- tained devastating loss in the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami, as well as the terrible fire that followed. This book depicts the disaster and recovery through the eyes of a woman, Hideko Oikawa. Just when she had managed to get her jeans manufacturing business on course after losing her husband and going through a recession, the quake struck. She lost her warehouse and her house in the subsequent tsunami. Oikawa turned her factory into an evacuation site and became a leader in the recovery effort. Her new ideas and the resilience of Tohoku people have made Oikawa Denim an internationally respected brand. (Sakuma)

  • Text: Imazeki, Nobuko
  • Kosei Shuppansha
  • 2018
  • 128 pages
  • 22×16
  • ISBN 978-4-333-02780-4
  • Age 10 +

Earthquake recovery, Women, Apparel

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2019」より)

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まなぶ

『まなぶ』表紙
『まなぶ』
長倉洋海/写真・文
アリス館
2018

『まなぶ』(NF 写真絵本)をおすすめします。

キューバ、アフガニスタン、ミクロネシア、アンゴラ、ウズベキスタン、スリランカ、そして日本など、世界各地の子どもや若者たちが、学校や家や高原や旅先で学んでいる姿をすばらしい写真で紹介し、「学ぶ」ことにはどんな意味があり、「学ぶ」ことでどんなふうに世界が開け、「学ぶ」ことで何が受け継がれ、「学ぶ」ことがいかに平和につながっていくかを伝えている。子どもたちの真剣な表情と、未来を見つめている笑顔が印象的。同じシリーズに『はたらく』と『いのる』がある。

6歳から/学習 学校 文化

 

Learning

This photo picture book includes striking photos of children and young adults from Japan, Cuba, Afghanistan, Micronesia, Angora, Uzbekistan, Sri Lanka, Cambodia and other places around the world as they learn, both at school and at home, on the high plains and while travelling. Through them we can see what it means to learn, how the world opens up when we learn, what we inherit when we learn, and how learning is linked to peace. It is hard to forget the serious faces of the children, and their smiling faces as they look to the future. The same photo book series includes the titles Working and Praying (published 2017). (Sakuma)

  • Text/Photos: Nagakura, Hiromi
  • Alice-kan
  • 2018
  • 40 pages
  • 26×20
  • ISBN 978-4-7520-0843-9
  • Age 6 +

Study, School, Culture

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2019」より)

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犬が来る病院〜命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと

『犬が来る病院』表紙
『犬が来る病院〜命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと』
大塚敦子/著
KADOKAWA
2016

『犬が来る病院』(NF)をおすすめします。

聖路加国際病院の小児病棟の子どもたちを3年半にわたって取材したドキュメンタリー。日本で初めて小児病棟にセラピー犬を受け入れたこの病院で、犬の訪問活動はどうやって始まったのか、子どもたちの反応はどうだったのか、子どもたちが豊かな時間を過ごすための配慮がどう行われていたか、多くのスタッフがどう連携してトータルケアをめざしたのかなどについて述べられている。4人の子どもたちとその家族が、それぞれ病に直面して歩んだ軌跡も感動的。

12歳から/犬 セラピー 病院

 

The Hospital Where Dogs Visit

ーWhat the Children in Touch with Life Taught Us

A documentary book following children in the pediatric unit at Saint Luke’s International Hospital in Tokyo. Saint Luke’s is the first hospital in Japan to admit therapy dogs into the pediatric unit. The book looks at topics like how the visits by dogs started, how the children reacted, how care was taken to make the children’s time in hospital rich, and how many staff cooperated in the aim for total care. The book gives a moving account of four children (two passed away; two left hospital to find their own paths in life) and their families, whose progress they tracked as they dealt with their illnesses. (Sakuma)

  • Text: Otsuka, Atsuko
  • KADOKAWA
  • 2016
  • 224 pages
  • 19×13
  • ISBN 9784041035085
  • Age 12 +

Therapy dogs, Hospital, Children

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2018」より)

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お金さえあればいい?〜大人は知らない子どもは知りたい! 子どもと考える経済のはなし

『金さえあればいい?』表紙
『お金さえあればいい?〜大人は知らない子どもは知りたい! 子どもと考える経済のはなし』
浜矩子/著 高畠純/絵
クレヨンハウス
2017

『お金さえあればいい?』(NF)をおすすめします。

とてもわかりやすい文章とユーモアたっぷりのイラストで、お金や経済について学ぶ本。お金はなんのためにあるの? 経済とは本来どんなものなの? 今の日本経済に警鐘を鳴らす著者は、本当の経済は人と人が出会う場をつくるもので、そこからは幸せが生まれてこなくてはいけないという。利益ばかりを追い求めるような偽の経済活動を賢く見ぬいて、お金にふりまわされないで幸せになるためにはどうしたらいいか。それを本書は伝えている。

11歳から/経済 社会 お金 幸せ

 

All We Need Is Money?

ーA Tale of Economics to Think about with Young People

In easily understood language supported by humorous illustrations, this book teaches us about money and economics. What is the purpose of money? What is economics? The author, Noriko Hama, is a famous economist. She explains that true economics should be about creating spaces in which people can come together and that generate happiness. Unfortunately, economic activity today is increasingly focused on the pursuit of profit. She teaches how to discern such “false” economics and live a life that is not controlled by money and that will bring us happiness. (Sakuma)

  • Text: Hama, Noriko | Illus. Takabatake, Jun
  • Crayon House
  • 2017
  • 64 pages
  • 21×15
  • ISBN 9784861013195
  • Age 11 +

Money, Happiness, Economics

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2018」より)

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円周率の謎を追う〜江戸の天才数学者・関孝和の挑戦

『円周率の謎を追う』表紙
『円周率の謎を追う〜江戸の天才数学者・関孝和の挑戦』
鳴海風/作 伊野孝行/画
くもん出版
2016

『円周率の謎を追う〜江戸の天才数学者・関孝和の挑戦』(NF)をおすすめします。

関孝和の一生を、円周率を探る研究を核にして描いている。私たちが約3.14と学校で習う円周率も、関が学び始めた頃は3.16とされていた。それに疑問を感じて追求しようとする過程や、漢文から思いついて数式を表す方法を編み出すところなどがスリルに富んだ推理小説のように描かれている。同時に、この数学者が何かを一途に追求し消えない炎を持ち続けていたひとりの人間として浮かび上がってくるので、読み物としてもおもしろい。さまざまな文献を研究して書いた労作。

11歳から/数学 歴史 江戸時代 円周率 関孝和

 

Solving the Mystery of Pi

ーThe Genius Mathematician of Edo, Seki Takakazu

Portrays the life of Seki Takakazu, the master of Japanese mathematics known as wasan, with particular focus on his research on pi. We learn at school that pi is about 3.14, but when Seki started his studies it was thought to be 3.16. The process of working through the doubts he felt about this until he was convinced, and the way he devised a method to express numerical formulae based on Chinese kanbun writing is as thrilling as a mystery novel. This mathematician emerges as one human being who single-mindedly pursued something with unextinguished passion. Based on thorough research. (Sakuma)

  • Text: Narumi, Fu | Illus. Ino, Takayuki
  • Kumon Shuppan
  • 2016
  • 208 pages
  • 19×14
  • ISBN 9784774325521
  • Age 11 +

Mathematics, Edo period (1603-1868), Pi

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2018」より)

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世界中からいただきます!

『世界中からいただきます!』表紙
『世界中からいただきます!』
中山茂大/文 阪口克/写真
偕成社
2016

『世界中からいただきます!』(NF)をおすすめします。

世界各地の普通の家に居候して、家族の素顔や、いつもの暮らしを見せてもらい、普通の食事を食べさせてもらう。そういうふうにして集めたモンゴル、カンボジア、タイ、ハンガリー、イエメン、モロッコなど14カ国の17家族の生き方が、食を中心に写真とともに紹介されている。楽しいレイアウトのおかげで、日本の読者にも親しみやすく読みやすくなっている。コラムでは、世界の主食や屋台やトイレ、日本から持っていって喜ばれたお土産なども紹介されている。

9歳から/ごはん 台所 料理 異文化理解

 

Eating the Globe!

A writer and photographer travel all over the world, staying in ordinary homes and observing families going about their daily lives, and eating the same food as their hosts. They introduce us to the food and lifestyles of seventeen families in fourteen countries, from Mongolia, Cambodia, and Thailand, to Hungary, Yemen, and Morocco. The fun layout features many photos of children preparing and eating food, making it approachable for young readers everywhere. We also learn about staple foods around the world, street stalls, and toilets, as well as what kind of Japanese souvenirs are most appreciated by the host families. (Sakuma)

  • Text: Nakayama, Shigeo | Photos: Sakaguchi, Katsumi
  • Kaiseisha
  • 2016
  • 128 pages
  • 21×18
  • ISBN 9784036450602
  • Age 9 +

Food, Kitchens, Cooking

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2018」より)

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干したから・・・

『干したから・・・』表紙
『干したから・・・』
森枝卓士/写真・文
フレーベル館
2016

『干したから・・・』(NF絵本)をおすすめします。

食を追求してきたカメラマンがつくった写真絵本。世界各地で見つけた乾燥食品を写真で示しながら、干すことによる食品の変化や、干すことの意味や目的を、わかりやすく説いている。野菜や果物や魚や肉や乳製品は、干すと水分がぬけて腐りにくくなり保存がきくようになるのだが、そこに子どもが興味をもてるよう構成や表現が工夫されている。めざし、梅干しなど乾燥食品を使った日本の典型的な食事や、野菜の簡単な干し方も紹介されている。

7歳から/食べ物 干物 自然 知恵

 

See What Happens When You Dry It Up

This is a picture book by a photographer on the theme of food. The author uses photos of dried foods found in many parts of the world to explain the changes that occur when foods are dried and the meaning and purpose of drying food. Drying removes the liquid from vegetables, fruits, fish, meat and milk products, preserving them so that they don’t go rotten, and the author use photos and text in ingenious ways to excite the reader’s curiosity and make this process easier to understand. The short appendix introduces examples of dried foods used in traditional Japanese cuisine and methods for drying vegetables and other foods that can be done at home. (Sakuma)

  • Text/Photos: Morieda, Takashi
  • Froebel-kan
  • 2016
  • 34 pages
  • 22×27
  • ISBN 9784577043714
  • Age 7 +

Food, Dried fish, Practical wisdom

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2018」より)

Comment

わたり鳥

『わたり鳥』表紙
『わたり鳥』
鈴木まもる/作・絵
童心社
2017

『わたり鳥』(NF絵本)をおすすめします。

世界のわたり鳥113種の旅を描いたノンフィクション絵本。なぜ長距離を移動するのか、どんなルートがあるのか、どんなところにどんな巣をつくるのか、渡りの途中でどんな危険に遭遇するのか、何をたよりに移動するのかなどを、子どもにもわかる文章と興味深い絵で説明している。巻末には、本書に登場するわたり鳥44種それぞれの大きさや姿、巣の大きさ、卵の色や形、渡りのルート、繁殖地と冬期滞在地などを紹介する一覧と、「世界のわたり鳥地図」も掲載している。

5歳から/渡り鳥、環境

 

Migratory Birds

This non-fiction picture book describes the journey of migratory birds from around the world. An astounding number of birds travel long distances every year in search of food and a safe place to lay their eggs and raise their young. What routes do they travel? What kind of nests do they build and where? What dangers do they face on their journey? How do they find their way? The author, who is an expert on birds answers such questions as these in words and illustrations that children can easily grasp. (Sakuma)

  • Text/Illus. Suzuki, Mamoru
  • Doshinsha
  • 2017
  • 40 pages
  • 26×26
  • ISBN 9784494010004
  • Age 5 +

Migratory birds, Environment

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2018」より)

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ニッキーとヴィエラ〜ホロコーストの静かな英雄と救われた少女

『ニッキーとヴィエラ』表紙
『ニッキーとヴィエラ〜ホロコーストの静かな英雄と救われた少女』
ピーター・シス/作 福本友美子/訳
BL出版
2022.03

『ニッキーとヴィエラ』をおすすめします。

第2次世界大戦直前、迫り来るナチスの魔手から子どもを救おうとした人たちがいた。イギリス人のニッキーもそのひとり。旧チェコスロバキアにいたユダヤ人の子どもを列車でイギリスへ逃がすために奔走した。10歳の少女ヴィエラは、家族と別れて列車に乗った669人のひとり。終戦後ニッキーは、自らの功績を語ることなく静かに暮らしていたが、2人は後に再会する。チェコで生まれ、自由を求めてアメリカに移住した作者は、これまでダーウィン、ガリレオなど勇気ある偉人について描いてきたが、今回は、良心に従って行動したほぼ無名の人物を取り上げてノンフィクション絵本に仕上げた。絵が語るものをじっくり見ていく楽しさもあるし、今の時代にも重なる。
小学校中学年から

(朝日新聞「子どもの本棚」2022年03月26日掲載)

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やさいをそだてよう

『やさいをそだてよう』 てをつかう・くふうする

鳥居ヤス子/作 かわさきようこ/絵
冨山房
1991.07

無農薬で生態系を大事にしながら野菜を作る,子供のための園芸書。生命をいつくしみ,身の回りの環境に目を向ける力を養います。 (日本児童図書出版協会)

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おいしいものつくろう

『おいしいものつくろう』 てをつかう・くふうする

小林カツ代/作 上条滝子/絵
冨山房
1988.10

料理は初めてという小さなお子さまにもかんたんに作れます。火も包丁も使わないおやつやジュースまで。 (日本児童図書出版協会)

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メリークリスマス 〜 世界の子どものクリスマス

ウィルソン文 市川里美絵『メリークリスマス』さくまゆみこ訳 冨山房
『メリークリスマス 〜 世界の子どものクリスマス』
R.B.ウィルソン/文  市川里美/画 さくまゆみこ/訳
冨山房
1983.12

子どもたちが心待ちにしているクリスマスって一体何なのでしょう? 他の国では,どんなお祝いをしているのでしょう? (日本児童図書出版協会)

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スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語

『スティーブン・ホーキング』(化学同人)表紙
『スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語』
キャスリーン・クラル&ポール・ブルワー・文 ボリス・クルコフ/絵 さくまゆみこ/訳
化学同人
2021.06

好奇心をもつことに焦点を当てた伝記絵本。体の自由が失われていっても、「どうして?」「なぜ?」と問いつづけた宇宙物理学者の誕生から死までを、すてきな絵と簡潔な文章で描いています。絵がとてもおもしろいです。

先日JBBYの「ノンフィクションの子どもの本を考える会」では、最近出版されている伝記について話し合いました。

かつては子どものための偉人伝がたくさん出て、よく売れていました。そのほとんどは偉さや、人並みはずれた頑張りや、克己心などを描いたものでした。なので、私はどうしても「わざとらしい」と思ってしまっていました。最近の伝記は少し違ってきているように思います(日本では旧態然とした偉人伝がまだたくさん出ていますが)。いわゆる「偉人」ではない人にも焦点を当てた伝記が出るようになりました。それに、偉さではなく弱点ももった人間として描こうとするようになってきたと思います。

ホーキングは「偉人」ではありますが、この絵本では、好奇心を中心にすえ、ホーキングのユーモアやお茶目な側面も描いています。そういう意味では「新しい伝記」の一冊かもしれません。

同名の伝記絵本を私はもう一冊約していて、それはこちらです。

(編集:浅井歩さん 装丁:吉田考宏さん)

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スティーブン・ホーキング

『スティーブン・ホーキング』(ほるぷ)表紙
『スティーブン・ホーキング』 (小さなひとりの大きなゆめ)

マリア・イサベル・サンチェス・ベガラ/文 マット・ハント/絵 さくまゆみこ/訳
ほるぷ出版
2022.02

小学校低学年から読めるようにと工夫された伝記絵本で、車椅子の宇宙物理学者として有名なホーキング博士の子ども時代から、難病にかかって絶望の縁においつめられたこと、そこから気を取り直して好奇心旺盛に何にでも挑戦するようになっていったこと、そして現代で最もすぐれた宇宙物理学者になったところまでを、親しみやすい絵で描いています。

このシリーズのコンセプトは、幼い頃に抱いた夢がどんなふうに将来につながっていったかを絵本で表現するということ。ほかには、マザー・テレサ(なかがわちひろ訳)、オードリー・ヘップバーン(三辺律子訳)、ココ・シャネル(実川元子訳)、キング牧師(原田勝訳)、マリー・キュリー(河野万里子訳)、ガンディー(竹中千春訳)、リンドグレーン(菱木晃子訳)、エメリン・パンクハースト(上野千鶴子訳)、マリア・モンテッソーリ(清水玲奈訳)があり、小学校の図書館に入れたらよさそうです。

本の翻訳は、つながっていることがあって、「ホーキング博士のスペースアドベンチャー」シリーズ(岩崎書店)を翻訳したことから、ホーキングの伝記絵本の翻訳依頼をいただいたのですが、ホーキングさんの伝記はもう1冊(『スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語』キャスリーン・クラル&ポール・ブルワー文 ボリス・クリコフ絵 化学同人 2021.06)を訳しています。
(編集:細江幸世さん 装丁:森枝雄司さん)
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やとのいえ

『やとのいえ』表紙
『やとのいえ』
八尾慶次/作
偕成社
2020.07

『やとのいえ』をおすすめします。

多摩丘陵の谷戸に建てられた一軒のかやぶき屋根の農家と、その周辺の環境の変化を見つめた絵本。1868年から約150年間の変遷を、ていねいな絵とわかりやすい文章で表現している。最初は、この農家の周辺は雑木林や畑や田んぼで、人々は農業や炭焼き、養蚕やカゴ作りなどをして暮らしている。子どもたちは空き地や川で遊び、家畜ばかりでなく野生の生き物とも触れあっている。ところが、1970年代に入ると開発の波が押し寄せ、あっという間に森林が伐採され、舗装道路や団地や分譲住宅ができ、鉄道やモノレールが通る。やがて古くなったこの農家も壊されて、瓦屋根の住宅に建て替えられる。

環境の変化の歴史と同時に、季節ごとの農作業、婚礼や葬儀、お祭りなども描かれ、その時々の人々の暮らしぶりもわかる。変化していくものとは対照的に、この家の庭の隅にはずっと変わらず石造りの十六羅漢さんが置かれているのもおもしろい。

巻末にはそれぞれの場面に描かれているものについての詳細な説明があり、絵と対比しながら読むとまた新たな発見がある。

(産経新聞「産経児童出版文化賞:大賞講評」2021年5月5日掲載)

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この世界からサイがいなくなってしまう〜アフリカでサイを守る人たち

『この世界からサイがいなくなってしまう』表紙
『この世界からサイがいなくなってしまう〜アフリカでサイを守る人たち』
味田村太郎/文
学研プラス
2021.05

『この世界からサイがいなくなってしまう〜アフリカでサイを守る人たち』をおすすめします。

私はケニアの自然公園で、銃を持ったレンジャーがサイのグループから少し距離を保ってついて回っているのを見たことがある。密猟で角がねらわれるサイは、あと20年で絶滅してしまうかもしれないという。だから守る方も必死なのだ。本書は、南アフリカの人々がどんなふうにサイを保護しようとしているか、孤児になったサイの子どもたちをどう育てているか、なぜ密猟者がはびこるのか、女性だけのレンジャー隊の活躍ぶりなどを、生き生きとした文章でわかりやすく伝え、地球は人間だけのものではないこと、さまざまな種が支え合って生きていることに目を向けさせてくれる。アフリカを知るうえでも、おもしろく読めるノンフィクション。
小学4年生から。

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年8月28日掲載)

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宇宙への扉をあけよう(ホーキング博士の宇宙ノンフィクション)

ホーキング『宇宙への扉をあけよう』(さくま訳)の表紙
『宇宙への扉をあけよう(ホーキング博士の宇宙ノンフィクション)』
ルーシー&スティーヴン・ホーキング/著 さくまゆみこ/訳 佐藤勝彦/監修
岩崎書店
2021.09

この本は、これまでに出ていたシリーズ6巻分の科学コラムやエッセイを集めて加筆し、新たなエッセイも加えて作られたものです。このシリーズの本当の最終刊、だと思います。ブラックホールなど最新の画像も入っています。

オビに言葉を寄せてくれた村木風海さんは、小学校4年生のときにおじいさんに『宇宙への秘密の鍵』をもらい、それをきっかけにサイエンティストになったのだそうです。そうか、もうそんなに長いことこのシリーズは続いているのか、と感慨深いものがあります。

原著の細かいところにいろいろ間違いがあり、佐藤先生にうかがいながらチェックしていきました。製本は、本の開きがとてもいいコデックス装になっています。

(編集:松岡由紀さん 装丁:坂川事務所)

 

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