投稿者: sakuma

ミイラ学〜エジプトのミイラ職人の秘密

『ミイラ学』表紙
『ミイラ学〜エジプトのミイラ職人の秘密』
タマラ・バウワー/著・絵 こどもくらぶ/訳・編
今人舎
2019

『ミイラ学』(NF絵本)をおすすめします。

王室御用達のミイラ職人の一家を主人公にして、王妃の父イウヤの遺体をミイラにしていく様を、絵と文章で表現した絵本。どんな材料や器具が使われ、どのような手順でミイラに加工されていったか、葬儀はどのように行われたのか、などがとても具体的に紹介されている。後書きには、ミイラ学の歴史や、イウヤとその妻チュウヤのミイラ(写真もある)が発見されたときの様子などが記されていて、興味深い。発掘調査にかかわる技術画を専門にしていた著者の、古代エジプト風の絵も趣をそえている。

原作:アメリカ/8歳から/古代エジプト ミイラ 葬儀

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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プラスチックプラネット〜今、プラチックが地球をおおっている

『プラスチック プラネット』表紙
『プラスチックプラネット〜今、プラチックが地球をおおっている』
ジョージア・アムソン=ブラッドショー/作 大山泉/訳
評論社
2019

『プラスチックプラネット』(NF絵本)をおすすめします。

身の回りに氾濫するプラスチック製品について考えてみようと呼びかける絵本。プラスチックとはなにか、プラスチックの利点と問題点、暮らしのなかでどう使われているか、どんなふうに普及してきたか、マイクロプラスチックやマイクロビーズについて、プラスチックゴミの野生生物や人体への影響などを、イラストや写真を交えてさまざまな観点から解説し、プラスチックごみがあふれる今、私たちになにができるかという具体的な案も提示している。見開きごとに1トピックになっていて、わかりやすい。

原作:イギリス/8歳から/プラスチック ごみ 地球

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

 

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映画ってどうやってつくるの?

『映画ってどうやってるくるの?』表紙
『映画ってどうやってつくるの?』
フロランス・デュカトー/文 シャンタル・ペタン/絵 野坂悦子/訳 大久保清朗/日本語版監修
西村書店
2019

『映画ってどうやってつくるの?』(NF絵本)をおすすめします。

映画はどうやって制作されているのかを、子どもにもわかるように概説した絵本。まずモーション・キャプチャーという技法の紹介で読者を引きつけておいて、19世紀に写真が発明されると、今度はその写真を動かす方法が考案された歴史を伝えていく。撮影前から撮影後までの過程でどのような仕事をどのような人たちが担っているのか、アニメーション映画はどう作るのかなどについても述べられている。音作りやソーマトロープなどを体験してみるページや、考えてみることを促すページもあり、楽しみながら学べる。

原作:オランダ/8歳から/映画 撮影 アニメーション

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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飛ぶための百歩

『飛ぶための百歩』表紙
『飛ぶための百歩』
ジュゼッペ・フェスタ/作 杉本あり/訳
岩崎書店
2019

『飛ぶための百歩』(読み物)をおすすめします。

5歳で失明したルーチョは、叔母に連れられてよく旅行やハイキングに出かけるが、コンプレックスも自尊心も人一倍強く、善意の援助を拒否して周囲とぶつかることも多い。一方、山小屋の娘のキアーラは、人づき合いが苦手だ。ある日一緒にワシの巣を見に行ったルーチョとキアーラは、密猟者からひなを守ろうとすることでぎこちなさがほぐれ、真の自分を見せ合えるようになる。居場所をうまく確保できない子どもたちの出会いと衝突、盲目の人が感じる世界、密猟者の問題など要素がいろいろあって、ぐんぐん読ませる。

原作:イタリア/12歳から/盲目 ワシ 山 密猟

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

 

 

 

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ほんとうの願いが かなうとき

『ほんとうの願いがかなうとき』表紙
『ほんとうの願いが かなうとき』
バーバラ・オコーナー/著 中野怜奈/訳
偕成社
2019

『ほんとうの願いがかなうとき』(読み物)をおすすめします。

父親は拘置所、母親は育児放棄という環境で、何事にも自信が持てなくなっていた少女チャーリーは、姉とも離れ、母親の姉夫婦のところでしばらく暮らすことになる。最初はすべてが気に入らずすぐにカッとなっていたチャーリーだが、包容力のある伯母夫婦や転校先の学校で出会った忍耐強いハワードに助けられ、自分になついてくれた野良犬のウィッシュボーンの存在を支えにして変わっていく。孤独な少女がしだいに心を開き、心のありどころや居場所を見つけていくまでの様子がていねいに温かく描かれている。

原作:アメリカ/10歳から/犬 友だち 願い

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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この海を越えれば、わたしは

『この海を越えれば、わたしは』表紙
『この海を越えれば、わたしは』
ローレン・ウォーク/作 中井はるの・中井川玲子/訳
さ・え・ら書房
2019

『この海を越えれば、わたしは』(読み物)をおすすめします。

主人公のクロウは、赤ちゃんの時に流れ着いた島で、画家のオッシュに拾われ育てられている。しかし12歳になったクロウは、自分はどこから来たのか、なぜひとりで小舟に乗っていたのか、この島に住む人たちがなぜ自分を避けているのか、などを知りたいと思うようになる。身の回りの謎を解きながら自分のルーツをつきとめようとする少女の物語に、ハンセン病への偏見がからむ。世間から離れて生きようとするオッシュや、近所でひとり暮らしをするミス・マギーが、血縁の家族以上にクロウを思いやる姿が温かい。

原作:アメリカ/10歳から/ルーツ ハンセン病 非血縁の家族 海

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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希望の図書館

『希望の図書館』表紙
『希望の図書館』
リサ・クライン・ランサム/作 松浦直美/訳
ポプラ社
2019

『希望の図書館』(読み物)をおすすめします。

舞台は1946年のアメリカ。母親が死去した後、父親と南部のアラバマから北部のシカゴへ引っ越してきたアフリカ系の少年ラングストンは、学校では「南部のいなかもん」とバカにされ、いじめにもあう。そんなとき、誰もが自由に入れる公共図書館を見つけ、そこで自分と同名のアフリカ系の詩人ラングストン・ヒューズの作品に出会い、その生き方にも触れる。本を窓にして世界を知り、しだいに自分の居場所や心のよりどころを見つけていく少年の姿が生き生きと描かれている。随所でヒューズの詩が紹介されているのもいい。

原作:アメリカ/10歳から/図書館 名前 詩 いじめ

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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ヤナギ通りのおばけやしき

『ヤナギ通りのおばけやしき』表紙
『ヤナギ通りのおばけやしき』
ルイス・スロボドキン/作 小宮由/訳
瑞雲舎
2019

『ヤナギ通りのおばけやしき』(読み物)をおすすめします。

ハロウィンの夜の楽しい物語。リリーとビリーは、小鬼に変装してお菓子をもらいに、ヤナギ通りの家をまわることにする。ところが誰も住んでいないはずの「おばけやしき」に明かりがついているではないか。ふたりがチャイムを鳴らすと、中から出てきたおじいさんが、子どもたちを招き入れ、手品を見せてくれる。そのうち他の家の子どもたちもやってきて、家の中はいっぱいに。やがて、子どもを探しにやってきた親たちも加わり、パーティが始まる。ふんだんに入っている絵にも味がある。

原作:アメリカ/6歳から/ハロウィン 手品 パーティ

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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ねこと王さま

『ねこと王さま』表紙
『ねこと王さま』
ニック・シャラット/作・絵 市田泉/訳
徳間書店
2019

『ねこと王さま』(読み物)をおすすめします。

主人公の王さまは、友だちのネコと、12人の召使いと一緒に立派なお城に暮らしていた。ところがある日、火を吹くドラゴンのせいでお城が火事になり、召使いたちはやめていき、王さまも小さな家に引っ越すことに。王さまはひとりではなにもできないので、有能なネコにひとつひとつ教わって庶民の生活の知恵を身につけていく。王さまがロイヤルとかキングと名のついたものにこだわるのも、となりの人たちとの交流も、最後はコーラのボトルでドラゴンをやっつけるのもゆかい。文・絵ともにユーモアたっぷりな展開が楽しめる。

原作:イギリス/6歳から/王さま ネコ ドラゴン

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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ちいさなタグボートのバラード

『ちいさなタグボートのバラード』表紙
『ちいさなタグボートのバラード』
ヨシフ・ブロツキー/文 イーゴリ・オレイニコフ/絵 沼野恭子/訳
東京外国語大学出版会
2019

『ちいさなタグボートのバラード』(絵本)をおすすめします。

ノーベル文学賞を受賞した詩人がソ連の児童向け雑誌に発表した詩を、国際アンデルセン賞を受けた画家が絵本に仕立てた作品。港で他の船の水先案内をしなければならないタグボートが主人公。外国から来る船を見て、どこか遠くへ行きたい願望はつのるものの、自分は港にとどまって役目を果たさなくてはならないという切ない思いをうたっている。絵の構図や場面ごとの変化、想像が豊かにはばたいていく展開に、画家の力量が発揮されている。中高生が読めば、もう一段深い味わい方もできるだろう。

原作:ロシア/8歳から/タグボート 海 あこがれ

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2020」より)

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アンネのこと、すべて

『アンネのこと、すべて』表紙
『アンネのこと、すべて』
アンネ・フランク・ハウス/編 小林エリカ/訳 石岡史子/日本語版監修
ポプラ社
2018

『アンネのこと、すべて』(NF)をおすすめします。

アンネは、ドイツに生まれたが、ヒトラーの脅威にさらされてオランダに移住する。そのオランダにもナチスの影が迫ってきて、隠れ家に身を潜める。しかし、2年後に見つかって強制収容所に連行され、命を落とす。そうした生涯を、写真とイラストをふんだんに使って紹介している。随所にはさまれたカラーのハーフページには、歴史的な事実や、隠れ家の見取り図や、オランダのナチについての解説など付随する情報が載っている。アンネの生涯は、世界じゅうで迫害されている子どもの象徴として記憶にとどめておきたい。

原作:オランダ/10歳から/アンネ・フランク ホロコースト 隠れ家

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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私はどこで生きていけばいいの?

『私はどこで生きていけばいいの?』表紙
『私はどこで生きていけばいいの?』
ローズマリー・マカーニー/文 西田佳子/訳
西村書店
2018

『私はどこで生きていけばいいの?』(NF写真絵本)をおすすめします。

世界の難民や避難民の子どもたちの望みや不安を、写真と簡潔な文章で紹介する絵本。写真は、国連難民高等弁務官事務所が提供するもので、クロアチア、ハンガリー、ルワンダ、レバノン、イラク、南スーダン、ヨルダン、ギリシャ、ミャンマー、ニジェールなどで撮影されている。「『こんにちは。ここで安心して暮らしてね』と、笑顔でむかえてくれる人がいますように。あなたもそのひとりでありますように。」という、最後の場面に添えられた言葉に、本書の意図が集約されている。

原作:カナダ/8歳から/難民 子ども 旅

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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しぜんのかたち せかいのかたち〜建築家フランク・ロイド・ライトのお話

『しぜんのかたちせかいのかたち』表紙
『しぜんのかたち せかいのかたち〜建築家フランク・ロイド・ライトのお話』
K ・L ・ゴーイング/文 ローレン・ストリンガー/絵 千葉茂樹/訳
BL出版
2018

『しぜんのかたち せかいのかたち』(NF絵本)をおすすめします。

ライトは、幼年時代に積み木で遊ぶことによって「形」の秘密に気づき、自然の中で過ごすことによって「形」の不思議に魅せられた。そして建築家となって、自然を切り離すのではなく自然に溶け込む建物をつくりだした。後年スキャンダルにも見舞われるが、この絵本では幼年時代・少年時代を描くことによってポジティブな面に光を当て、彼がどのような建築をめざしたかを、味わいの深い絵とともに提示している。作中に描かれた建築物が何かを説明するページもある。

原作:アメリカ/8歳から/建築 自然 形 伝記

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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変化球男子

M.G.ヘネシー『変化球男子』
『変化球男子』
M ・G ・ヘネシー/作 杉田七重/訳
鈴木出版
2018

『変化球男子』(読み物)をおすすめします。

シェーンは、女性の体をもって生まれたが自分は男性だと思い、男子として転校してきた今の学校では野球のピッチャーとして活躍している。だがある日、転校前は女子だったことがばれそうになる。シェーンを敵視するニコや、無理解な父親がつくる壁も厚い。でも親友のジョシュがいつも隣にいるし、母親は理解しようと努力してくれるし、トランスジェンダーの先輩アレハンドラは励ましてくれる。自分の存在に違和感を持つ子どもが、試練をのりこえていく様子が生き生きと描かれている。

原作:アメリカ/10歳から/野球 トランスジェンダー 親

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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ふたりママの家で

『ふたりママの家で』表紙
『ふたりママの家で』
パトリシア・ポラッコ/作 中川亜紀子/訳
サウザンブックス社
2018

『ふたりママの家で』(絵本)をおすすめします。

「わたし」の家は、ふつうとはちょっと違う。医者のミーマと救急救命士のマーミーというふたりの母親に、それぞれ肌の色が違う子どもが3 人。だれも血はつながっていないけれど楽しい家族だ。近所の人に家族の悪口を言われて子どもが脅えると、母親たちは「あの人は(中略)わからないものが怖いの」と話す。養女として迎えられ愛情たっぷりに育ててもらった「わたし」が、ふたりの母親と弟、妹と過ごしたすばらしい日々を語る。多様な家族の形を知るきっかけとなる作品。

原作:アメリカ/8歳から/家族 母親 養子

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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かあちゃんのジャガイモばたけ

『かあちゃんのジャガイモばたけ』表紙
『かあちゃんのジャガイモばたけ』
アニタ・ローベル/作 まつかわまゆみ/訳
評論社
2018

『かあちゃんのジャガイモばたけ』(絵本)をおすすめします。

戦争するふたつの国の境に住む母親は、ふたりの息子とジャガイモ畑を守るために高い塀を築き、日常の暮らしを続ける。ところが大きくなった息子たちは塀の外を知りたくなって出ていき、やがて兄は東の国の将軍に、弟は西の国の司令官になってしまう。そしてついに両国の軍隊は母親の畑にも攻め入るのだが、賢い母親はジャガイモを使って戦争をやめさせる。戦争と平和について考える種をくれる作品。1982 年に出た『じゃがいもかあさん』の、版元と訳者をかえたカラー版。

原作:アメリカ/8歳から/母親 戦争 平和

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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子ネコのスワン

『子ネコのスワン』表紙
『子ネコのスワン』
ホリー・ホビー/作 三原泉/訳
BL出版
2017

『子ネコのスワン』(絵本)をおすすめします。

ママや兄弟をなくしてひとりぼっちになった子ネコが、雨に打たれたり、犬にほえられたり、自転車にひかれそうになったり……。木に登っておりられなくなった後に施設に保護され、やがてかわいがってくれる一家に迎えられ、スワンという名前もつけてもらう。スワンは落ち着いた環境のなかで、好奇心いっぱいに歩き回り、家族とのつき合い方を学んでいく。幸せな終わり方にホッとできるし、スワンのさまざまな姿を描く絵もあたたかい。人間に置き換えて読むこともできる。

原作:アメリカ/6歳から/ネコ 家族 孤児

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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きのうをみつけたい!

『きのうをみつけたい!』表紙
『きのうをみつけたい!』
アリソン・ジェイ/作 蜂飼耳/訳
徳間書店
2018

『きのうをみつけたい!』(絵本)をおすすめします。

昨日がとても楽しかったと思う男の子が、なんとかして昨日に戻りたいと考える。光より速く動けば昨日に戻れるのかな? でも、それにはどうしたらいい? 男の子がたずねると、おじいちゃんは自分の体験を話し、これからだって楽しい日は来るよ、と教えてくれる。そしてふたりで「きょうの ぼうけん」に出発する。タイムマシンやワームホールまで登場させる科学的な思考と並んで、絵にはふしぎな想像の世界のあれこれが描かれている。じっくりながめるだけでも楽しい。

原作:イギリス/6歳から/時間 祖父 楽しい記憶

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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このねこ、うちのねこ!

『このねこ、うちのねこ!』表紙
『このねこ、うちのねこ!』
ヴァージニア・カール/作・ 絵 こだまともこ/訳
徳間書店
2018

『このねこ、うちのねこ!』(絵本)をおすすめします。

旅に出た白ネコが、とある村にたどりつく。そして、村の7 軒の家を次々に回って食べ物をもらい、家ごとに別の名前をつけられる。ある日、この村に役人がやってきて、ネズミ退治のためにどの家でもネコを飼うように法律で決まったと伝える。村人たちは口々に、うちは○○という名のネコを飼っていると言うのだが、役人はネコを見せろと迫る。困った村人たちは同じネコだとばれないように一計を案じて……。原書は1979 年刊だが、お話も絵もユーモラスで楽しい。

原作:アメリカ/3歳から/ネコ 計略 ユーモア 名前

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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カタカタカタ〜おばあちゃんのたからもの

『カタカタカタ』表紙
『カタカタカタ〜おばあちゃんのたからもの』
リン・シャオペイ/作 宝迫典子/訳
ほるぷ出版
2018

『カタカタカタ』(絵本)をおすすめします。

女の子のおばあちゃんは、昔ながらの足踏みミシンでいろいろなものを作ってくれる。でもある日、女の子の劇の衣装を縫っているときにミシンが故障して、修理屋でも直せない。それでも、おばあちゃんは夜遅くまでかかって、手縫いで衣装を間に合わせてくれた。「ほんとうに すごいのは カタカタカタじゃなくて、おばあちゃんだったのね。」という言葉がいいし、壊れたミシンが、テーブルにリフォームされる最後にも納得できる。ユニークな絵と文で、おばあちゃんと女の子のあたたかい交流を伝えている。

原作:台湾/3歳から/ミシン 祖母 リフォーム

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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マララのまほうのえんぴつ

『マララのまほうのえんぴつ』表紙
『マララのまほうのえんぴつ』
マララ・ユスフザイ/作 キャラスクエット/絵  木坂涼/訳
ポプラ社
2017

『マララのまほうのえんぴつ』(NF絵本)をおすすめします。

誰かが声を上げないと、と感じたとき、パキスタンの少女マララは、「まって……、だれかじゃなくて、わたし?」と、ネットでの発信を始める。その後銃撃されて瀕死の重傷を負ったマララは、回復するとさらに歩みを進める。そして、小さいころ夢見ていた魔法の鉛筆は、自分の言葉と行動のなかにあるのだと確信する。ノーベル平和賞を受けたマララの本はたくさん出ているが、この絵本は彼女が自分の言葉で文章をつづっている。流れもスムーズでわかりやすい。

原作:アメリカ/6歳から/マララ、魔法、言葉、学ぶ権利

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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すごいね! みんなの通学路

『すごいね!みんなの通学路』表紙
『すごいね! みんなの通学路』
ローズマリー・マカーニー/文 西田佳子/訳
西村書店
2017

『すごいね! みんなの通学路』(NF写真絵本)をおすすめします。

他の国の子どもたちは、どんな道を通って学校に行くのかな? スクールバスに乗る子もいるけど、ボートや犬ぞりや、ロバとか牛に乗って通っている子もいるよ。ちゃんとした道や、ちゃんとした橋がないところを通っていく子もいるね。水を入れたたらいや机をかついで行く子もいる。国際慈善団体で働いてきた著者が、日本、フィリピン、カンボジア、中国、ミャンマー、ガーナ、ウガンダ、ハイチ、コロンビアなど、世界各地の通学する子どもたちを写真で紹介する絵本。

原作:カナダ/6歳から/学校 通学路 子ども 写真絵本

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ゴードン・パークス

『ゴードン・パークス』表紙
『ゴードン・パークス』
キャロル・ボストン・ウェザーフォード/文 ジェイミー・クリストフ/絵 越前敏弥/訳
光村教育図書
2016

『ゴードン・パークス』(NF絵本)をおすすめします。

『ヴォーグ』や『ライフ』で活躍した黒人カメラマンを紹介する絵本。貧困や差別によって何度も希望を打ち砕かれそうになったゴードンは、逆境の中で貯めたお金で中古カメラを買い、人生を変えていく。カメラマンとしてだんだんに仕事が増えてきたある時、何を撮ってもいいと言われたゴードンは、差別を受けている側の人たちを次々に撮る。ビル清掃員のエラ・ワトソンが、アメリカの国旗とモップを背にほうきを持って立っている写真は、ゴードンの代表作のひとつだ。セピアを基調にした絵がいい。

原作:アメリカ/6歳から/カメラ、アメリカ、人種差別

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ぼくたち負け組クラブ

『ぼくたち負け組クラブ』表紙
『ぼくたち負け組クラブ』
アンドリュー・クレメンツ/著 田中奈津子/訳
講談社
2017

『ぼくたち負け組クラブ』(読み物)をおすすめします。

6年生のアレックは、大の本好き。授業も聞かずに本を読むので、しょっちゅう先生に注意されている。放課後プログラムで、ひとりで好きな本を読むために「読書クラブ」を作ることにしたアレックは、誰も来ないように、わざと「負け組クラブ」という名をつけて登録。しかし、次々にメンバーが増え、思いがけないことが起こる。アレックは、いやでもさまざまな大人や子どもとかかわりを持つことになり、世界が開けていく。いろいろな本が登場するのも楽しい。

原作:アメリカ/10歳から/本、読書、放課後

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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テディが宝石を見つけるまで

『テディが宝石を見つけるまで』表紙
『テディが宝石を見つけるまで』
パトリシア・マクラクラン/著 こだまともこ/訳
あすなろ書房
2017

『テディが宝石を見つけるまで』(読み物)をおすすめします。

吹雪の中で迷子になったふたりの子どもを見つけて助けたのは、テディという犬だった。テディは、人間の言葉が話せて、だれもいない家に住んでいる。言葉は、今はいない飼い主の、詩人のシルバンさんから習ったという。雪に閉ざされた家の中で、「きみは宝石を見つけるだろう」と言い残していなくなったシルバンさんについて、テディは語る。やがて道路が復旧し、テディは「宝石」を見つける。犬が語るという視点で描かれたユニークな物語。

原作:アメリカ/10歳から/犬 吹雪 子ども 詩

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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この本をかくして

『この本をかくして』表紙
『この本をかくして』
マーガレット・ワイルド/文 フレヤ・ブラックウッド/絵 アーサー・ビナード/訳
岩崎書店
2017

『この本をかくして』(絵本)をおすすめします。

町が空爆されて避難する途中で、ピーターが死ぬ間際の父親から託されたのは1冊の本。それは破壊された図書館から借りていた本で「金や銀より大事な宝だ」という。鉄の箱に入った本は重たくて、抱えて高い山を登るのは無理だ。ピーターはやがてその本を大木の根元に埋めて隠し、さらに先へと進む。移住先で大人になったピーターは、戦争が終わると大木の根元から本を掘り出し、故郷の町に戻って、新しく建てられた図書館にその本を置く。本や図書館について考えさせられる作品。

原作:オーストラリア/6歳から/本 図書館 戦争

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ぽちっとあかいおともだち

『ぽちっとあかいおともだち』表紙
『ぽちっとあかいおともだち』
コーリン・アーヴェリス/文 フィオーナ・ウッドコック/絵 福本友美子/訳
少年写真新聞社
2017

『ぽちっとあかいおともだち』(絵本)をおすすめします。

シロクマの子ミキが雪原を走っていくと、むこうにぽちっと赤いものが……。近寄ってみると、それは赤いコートを着た女の子だった。ミキは、女の子と遊んだり、女の子がなくした手袋を探してあげたりして、一緒に楽しい時間を過ごす。やがて女の子はお母さんと出会い、ミキも母クマと出会うという幸せな終わり方がいい。マックロスキーの『サリーのこけももつみ』を思わせる展開だが、本書は白と赤と青を基調とした絵が印象的で、リズミカルな訳もいい。

原作:イギリス/3歳から/シロクマ 女の子 友だち

シロクマ 女の子 友だち

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なずずこのっぺ?

『なずずこのっぺ?』表紙
『なずずこのっぺ?』
カーソン・エリス/作 アーサー・ビナード/訳
フレーベル館
2017

『なずずこのっぺ?』(絵本)をおすすめします。

春になって地面から顔を出した小さな緑の芽が、ずんずん伸びて、花を咲かせ、しおれ、枯れてなくなる、という四季の移り変わりにあわせて、さまざまな虫たちや自然のドラマが展開していく。絵を細かく見ていくと、季節の変化にしろ虫たちのやりとりにしろ、さまざまな発見があって楽しい。「昆虫語」の言葉は、声に出してみると、不思議なリズムがあってとても愉快。ひとつひとつの言葉の意味を考えてみるのもおもしろいし、絵も美しい。

原作:イギリス/3歳から/昆虫 四季 自然 ふしぎ

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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あおのじかん

『あおのじかん』表紙
『あおのじかん』
イザベル・シムレール/文・絵 石津ちひろ/訳
岩波書店
2016

『あおのじかん』(絵本)をおすすめします。

太陽が沈んでから夜がやってくるまでの「青の時間」には、青い色の生き物たちが、いっそう美しくなる。この絵本は、世界各地にいるアオカケス、アオガラ、モルフォチョウ、ヤグルマギク、ブルーモンキーといった、青い色の(あるいは青く見える)小鳥、獣、カエル、チョウチョウ、花、虫、水鳥などを、シンプルな言葉とともに次々に紹介していく。読者は、さまざまな色調の青い色を体験できる。最後は、夜の闇がすべてを包み込む場面で、生き物たちはシルエットになっている。

原作:フランス/3歳から/青 生き物 闇

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ダイエット幻想~やせること、愛されること

『ダイエット幻想』表紙
『ダイエット幻想~やせること、愛されること』
磯野真穂/著 はらだ有彩/絵
筑摩書房
2019

『ダイエット幻想』(NF)をおすすめします。

やせるためのダイエット法はさまざまなものが喧伝されているが、本書は、それを非難したり批判したりするものではない。文化人類学者である著者は、女性が「やせた」とか「かわいい」とか思われたくてダイエットに励むという状況の裏側に何があるのかをさぐっていく。そこからは、女性に子どもっぽさを求める日本の社会、「選ばれる性」「愛される側」にとどまる女性、頭にためこんだ知識にとらわれて生きる力を失ってしまう現代人など、さまざまな問題点が浮き彫りになってくる。例も豊富でわかりやすい。

13歳から/ダイエット 愛 かわいさ 摂食障害

 

Diet Fantasies: Lose Weight, Be Loved

The world is full of diet methods that come and go. This book does not negate or critique them; rather, the author, a cultural anthropologist, considers why Japanese women are encouraged to diet, thinking that they want to “slim down” or “be cute.” What is behind this? Japanese society’s fixation on childlike women; the tendency to see women as passive, “chosen” (or not) or “loved” (or not); the loss of power to live when eating based on facts accumulated in one’s head. Many issues come up with plentiful examples, all presented in understandable text. (Sakuma)

  • text: Isono, Maho | illus. Harada, Arisa
  • Chikuma Shobo
  • 2019
  • 224 pages
  • 18×11
  • ISBN 9784480683618
  • Age 13 +

Diet, Love, Cuteness, Eating disorders

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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オランウータンに会いたい

『オランウータンに会いたい』表紙
『オランウータンに会いたい』
久世濃子/著 秋草愛/絵
あかね書房
2020

『オランウータンに会いたい』(NF)をおすすめします。

著者は、野生のオランウータンを調査・研究している学者。本書は、オランウータン研究者になった動機、ボルネオでの調査のやり方、オランウータンの生態、チンパンジーとは違う群れない生き方、絶滅の危機と私たちにできること、親子関係に見る人間やほかのサルとの違いといったことを、わかりやすい文章で伝えている。オランウータンについていろいろと知ることができるだけでなく、私たち日本人の暮らしとオランウータンが暮らす東南アジアの森が密接につながっていることにも目を向けさせてくれる。

11歳から/オランウータン ボルネオ ジャングル 絶滅危惧

 

I Want to Meet an Orangutan

Written by a Japanese scientist who studies wild orangutan, the text is very easy to follow. Readers learn what motivated the author to study orangutan, how she conducts fieldwork in Borneo, the ecology of orangutan, the fact that they are an endangered species, and what we can do to help them. The author also explores the differences between orangutan and chimpanzees, which live in groups, and differences in the parent-child relationships of orangutan as compared to humans and other ape species. Not only do we gain a deeper knowledge of orangutan, but we also learn how our own lifestyle is intricately connected to their habitat, the forests of southeast Asia. The author urges us to not only buy products that are good for us, but ones that are good for the environment of the whole planet. (Sakuma)

  • text: Kuze, Noko | illus. Akikusa, Ai
  • Akane Shobo
  • 2020
  • 188 pages
  • 22×16
  • ISBN 9784251073105
  • Age 11 +

Orangutan, Borneo, Jungle, Endangered species

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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わたしたちのカメムシずかん~やっかいものが宝ものになった話

『わたしたちのカメムシずかん』表紙
『わたしたちのカメムシずかん~やっかいものが宝ものになった話』

『わたしたちのカメむしずかん』(NF絵本)をおすすめします。

カメムシは触ると臭いから嫌いという人も多い。ところが、この嫌われ者の虫に夢中になり、もっともっと知りたくなり、1年間に35種類も集めて自分たちでカメムシ図鑑まで作り、やがてカメムシは宝だと言うようになった子どもたちがいる。この絵本は、岩手県の山あいにある小さな小学校での実話に基づき、どうしてそんなことになったのかを楽しい絵とわかりやすい文章で紹介している。カメムシにはさまざまな種類があることもわかるし、カメムシはどうして臭いのか、どうして集まるのかについても、説明されている。

9歳から/カメムシ 図鑑 観察

 

Our Stink Bug Book

Stink bugs (shield bugs) are often seen as smelly pests, but in the town of Kuzumaki in northern Iwate prefecture, children got excited about them and wanted to know more. They gathered specimens of some 35 types over a year’s time, and they created an encyclopedia. Now they think the stink bugs are great! This picture book uses enjoyable illustrations and easy-to-understand text to tell us how the students’ project came about. The book also offers basic information about stink bugs, why they give off odors, and why they form groups. The backmatter offers space for readers to begin their own encyclopedias. (Sakuma)

  • text: Suzuki, Kaika | illus. Hata, Koshiro
  • Fukuinkan Shoten
  • 2020
  • 44 pages
  • 26×20
  • ISBN 9784834085525
  • Age 9 +

Stink bug, Encyclopedia, Observation

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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やとのいえ

『やとのいえ』表紙
『やとのいえ』
八尾慶次/作
偕成社
2020

『やとのいえ』(NF絵本)をおすすめします。

石の十六羅漢さんが語るという体裁で、谷戸に建てられた一軒の農家と、それを取り巻く環境の、150年にわたる変化を伝えている絵本。水田や麦畑や林に囲まれていたかやぶき屋根の家は、今やモノレールやデパートやマンションやアパートに囲まれた瓦屋根の家に変わっている。農作業、子どもの遊び、お祭り、嫁入り、葬儀、開発の様子など人間の暮らしばかりでなく、ある時期までは野鳥や野生の動物も羅漢さんをしばしば訪れていたことも、ていねいな絵が伝えている。巻末には詳しい解説があって、モデルになった多摩丘陵の変遷もわかる。

9歳から/家 開発 都市化 十六羅漢

 

Yato Home

This picture book portrays 150 years in the life of a farmhouse in a yato area, with gently sloping hills and valleys. The book is narrated by stone statues of the sixteen arhats (disciples of the historical Buddha) that stand nearby. The farmhouse with thatched roof is first surrounded by rice paddies, fields, and forests; later, it becomes enclosed by a monorail, department store, and condominiums and apartment buildings. It is given a tiled roof. Planting and threshing processes, children’s play, festivals, weddings, funerals, and development are all depicted in detail. Until a certain period, wild birds and animals also visit the stone statues. The backmatter contains detailed explanations, including about the Tama Hills in southwest Tokyo/northeast Kanagawa, which served as the model for this book. (Sakuma)

  • text/illus. Yatsuo, Keiji | spv. Senni, Kei
  • Kaiseisha
  • 2020
  • 40 pages
  • 22×31
  • ISBN 9784034379004
  • Age 9 +

Home, Development, Urbanization, Sixteen arhats

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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虫のしわざ図鑑

『虫のしわざ図鑑』表紙
『虫のしわざ図鑑』
新開孝/写真・文
少年写真新聞社
2020

『虫のしわざ図鑑』(NF)をおすすめします。

植物の葉や枝や実に、虫がかじった跡がないだろうか? 虫が生きるための活動の痕跡を本書では「虫のしわざ」と呼び、見た目から、あみあみ、かじかじ、すけすけ、てんてん、まきまきなど16種類に分類し、写真と文章で紹介している。たとえば葉に「あみあみ」模様を見つけたら、本書の写真と見くらべれば、何の虫が何をした跡かがわかる仕組み。また「しわざコレクション」として、卵や糞、脱け殻やクモの網などについてコラム風にまとめている。昆虫写真家ならではの、おもしろい切り口の図鑑。

9歳から/虫 葉 卵 糞

 

Enclopedia of Insect Signs and Works

Have insects left any chew marks on leaves, branches, or fruit near you? Have you seen eggs, nests, or galls? This book divides common signs of insect activity into sixteen fun types, such as “chew-through,” “see-through,” “wrap-wrap,” “tent,” and more, and presents the activity in photos and text. The book is made so that, for example, if children find a leaf with one of the designs shown, they can compare it to the book and find out which insect was at work. Objects such as eggs, dung, husks, spiderwebs, and cocoons are also introduced in column-like format. An encylopedia-picture book with a fresh approach, created by a specialist in insect photography. (Sakuma)

  • text/photos: Shinkai, Takashi
  • Shonen Shashin Shimbunsha
  • 2020
  • 160 pages
  • 21×19
  • ISBN 9784879816924
  • Age 9 +

Insects, Leaves, Eggs, Dung

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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タコとイカはどうちがう?

『タコとイカはどうちがう?』表紙
『タコとイカはどうちがう?』
池田菜津美/文 峯水亮/写真 杉本親要/監修
ポプラ社
2020

『タコとイカはどうちがう?』(NF)をおすすめします。

食卓でもおなじみのタコとイカ。どちらも頭足類だけど、どこが似ていてどこが違うのだろう? この絵本では、両者がさまざまな角度から比較されている。足の数など見た目の違いから、獲物のとらえ方、スミの吐き方、すんでいる場所や活動の場所、敵から身を守る方法、体の色の変え方、子育ての仕方、赤ちゃんたちのサバイバル方法に至るまで、いろいろ比べて写真とイラストと文章で楽しく伝えている。長い腕をポケットにしまうイカがいるとか、タコは道をおぼえていて迷子にならないなど、びっくり知識も豊富。

9歳から/タコ イカ 海

 

What’s the Difference between Octopus and Squid?

Octopus and squid appear often on Japanese tables. Both are cephalopods (like heads on legs!) with soft bodies, but how are they different? This picture book compares them from several angles. From differences that we can see with our eyes (number of legs) to differences in how they catch prey and release ink, where they live, how they protect themselves from their enemies, how they change color, how they parent, and even how their babies survive, we get the full story in photos, illustrations, and text. Did you know that some squid can put their long arms in pockets? Or that an octopus can memorize routes and not get lost? Did you know that the squid and the octopus both have multiple hearts, big and small? Many surprising facts fill this book. (Sakuma)

  • text: Ikeda, Natsumi | photos: Minemizu, Ryo | spv. Sugimoto, Chikatoshi
  • Poplar
  • 2020
  • 32 pages
  • 22×29
  • ISBN 9784591163504
  • Age 9 +

Octopus, Squid, Ocean

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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さがす

長倉洋海『さがす』表紙
『さがす』
長倉洋海/写真・文
アリス館
2020

『さがす』(NF写真絵本)をおすすめします。

作者は、世界各地の子どもたちの写真を撮りながら、「人はなんのために生まれてきたのか」「自分の居場所はどこなのだろう」「生きる意味とは何なのだろう」と考え続けてきた。その答えを探して弾丸の飛び交うアフガニスタンやコソボ、極寒のグリーンランド、灼熱のアラビア半島など、さまざまな環境のなかでさまざまな生き方をしている人びとに出会ってきた。その旅路の果てに、「さがしていたものは、いま、自分の手の中にある」と語る。心にひびく写真と言葉を味わいながら、読者も一緒に考えることができる写真絵本。

9歳から/世界 幸せ 生きる意味

 

Search

Photojournalist Nagakura has taken photos of children the world over while asking, “Why were humans born?” “Where do we belong?” “What is the meaning in living?” He has asked these questions in places where bullets fly, such as Afghanistan and Kosovo; in a refugee camp in El Salvador; in Greenland with its extreme cold; and on the Arabian Peninsula with its scorching heat. He has met all kinds of people living in different ways in contrasting environments. Now, Nagakura says, what he was searching for is in his own hands. This picture book invites us to experience touching photos and text and to think together with the author. (Sakuma)

  • text/photos: Nagakura, Hiromi
  • Alice-kan
  • 2020
  • 40 pages
  • 26×20
  • ISBN 9784752009375
  • Age 9 +

World, Happiness, Meaning in life

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

 

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恐竜学

『恐竜学』表紙
『恐竜学』
真鍋真/著
学研プラス
2020

『恐竜学』(NF)をおすすめします。

最新の情報に基づいて、恐竜のことを子どもたちにわかりやすく解説した本。まず地球の歴史と恐竜の関係について述べ、子どもたちに人気のティラノサウルスはどんな恐竜だったのかを描写し、化石からわかる恐竜同士の対決について語り、最新の恐竜研究でわかったことを説明し、鳥類と恐竜の関係や比較、恐竜が大量絶滅した原因などをさぐっていく。講演会の時などによく出る質問に真鍋博士が答える章も設けられている。絵や写真がふんだんにあって興味をひくし、子ども目線で本づくりされているのがいい。

9歳から/恐竜 化石 絶滅 地球

 

Science of Dinosaurs

Based on the latest information, the author, a paleontologist explains dinosaurs to children in an accessible way. The book begins with the history of the planet Earth and dinosaurs, then describes what Tyrannosaurus, a dinosaur popular with children, were like, what fossils can tell us about confrontations between Tyrannosaurus and other dinosaurs such as Triceratops, and what has been discovered through the most recent paleontological research. The author explores the relationship between birds and dinosaurs, comparing them, and also the reasons for the extinction of dinosaurs. One chapter is devoted to Dr. Manabe’s answers to questions he is frequently asked at events and lectures, such as how paleontology can be useful. The book is well-designed for children with illustrations and photos on every page to draw the eye and excite curiosity. (Sakuma)

  • text: Manabe, Makoto
  • Gakken Plus
  • 2020
  • 200 pages
  • 19×13
  • ISBN 9784052051852
  • Age 9 +

Dinosaurs, Fossils, Extinction, Earth

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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りんごだんだん

『りんごだんだん』表紙
『りんごだんだん』
小川忠博/写真・文
あすなろ書房
2020

『りんごだんだん』(NF写真絵本)をおすすめします。

最初は、ぴかぴかでつやつやの赤いリンゴの写真に、「りんご つるつる」という言葉がついている。その同じリンゴが、少しずつ変わっていき、しわしわになり、ぱんぱんになり、しなしなになり、ぐんにゃりとなり、やがて哀れな姿に。作者が1年近くの間リンゴを観察して記録した写真絵本。それぞれの写真には、ごく短い言葉がついているだけだが、生きているものは時間とともに否応なく変化していくこと、そして、それを糧にしてまた次の命が育っていくことなどが、リアルな写真から伝わってくる。

3歳から/リンゴ 腐敗 変化 命

 

Apple, Bit by Bit

A photo of a bright red apple appears with the text “Smooth Apple.” The same apple changes little by little over time, becoming wrinkly, swollen, soft, limp, and then bug-eaten. But is that the end? The author observed and photographed the same apple for about a year to create this picture book. Each photo has only brief words with no explanations, but the idea that all living things change, ultimately becoming nourishment for future life, comes across in the realistic photos. (Sakuma)

  • text/photos: Ogawa, Tadahiro
  • Asunaro Shobo
  • 2020
  • 36 pages
  • 20×21
  • ISBN 9784751529614
  • Age 3 +

Apple, Decay, Change, Life

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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団地のコトリ

『団地のコトリ』表紙
『団地のコトリ』
八束澄子/著 中村至宏/画
ポプラ社
2020

『団地のコトリ』(読み物)をおすすめします。

母親とふたりで団地に暮らす中学生の美月(みづき)と、同じ団地の下の階にかくまわれている11歳の陽菜(ひな)の、ふたつの流れで物語は進む。陽菜の母親は、子連れで職業を点々としながら全国を放浪し、娘を学校にも行かせていなかったのだが、その母親が倒れて救急車で運ばれてからは陽菜は施設に入って学校にも通っていた。その後また公園で倒れて柴田老人に保護された母親は、施設に無断で陽菜を連れ出し親子で柴田老人の家に居候し、息をひそめるように隠れている。

しかしある日、柴田老人がスーパーでくも膜下出血を起こして病院に収容され、家にこもったきりの陽菜たちは食料がつきてしまう。やがて美月の前に「助けて」とやせ細った陽菜があらわれる。血を吐いた陽菜の母親が死去し、陽菜は施設に戻ることになる。美月は陽菜を妹のように感じる一方で、陽菜の瞳の暗さに脅えもする。そうかんたんではない状況だが、美月の母は、夏休みなどの一時里親を、柴田老人も、陽菜の経済的支援を、申し出る。

居所不明児童や独居老人を取り上げ、リアルなエピソードを積み重ね、人が人を思いやる気持ちに目を向けたYA小説。重苦しい場面も多いが、美月が飼っているおしゃべりインコがユーモラスで、救いになっている。

13歳から/居所不明児童 独居老人 思いやり

 

Little Bird of the Apartment Block

Mitsuki is a junior high student living with her mother in a large apartment complex. Hina is an 11-year-old being hidden from authorities with her mother, by a single elderly man living one floor below. This novel brings together Mitsuki and Hina’s two stories.

Hina’s mother had been drifting around the country, taking her daughter with her to various jobs and not sending her to school. After Hina’s mother collapsed at a train station and got taken away by ambulance, Hina was put in an institution and began to attend school. But after her mother collapsed again in a park and was taken in by the elderly man, Mr. Shibata, her mother nabbed Hina from the institution and brought her into hiding with her.

One day, Mr. Shibata suffers a subarachnoid hemorrhage while at the supermarket, loses consciousness, and is taken to hospital. Stuck in his apartment and unable to leave, Hina and her mother run out of food. Hina, reduced to skin and bones, appears in front of Mitsuki and says, “Help.” Hina had known about Mitsuki and had even nicknamed her Kotori-chan (Little Bird), because Mitsuki keeps a parakeet.

Hina’s mother coughs up blood and dies after being taken to hospital. Hina returns to the institution. Mitsuki now thinks of Hina as a younger sister, but at the same time, she is scared by the darkness she sees in Hina’s eyes. Knowing that helping Hina will not be simple, Mitsuki’s mother nonetheless agrees to foster her during vacations, and Mr. Shibata offers financial support.

This YA novel takes up issues lately pressing in Japan, as elsewhere: missing children and the isolated elderly. With realistic episodes, it turns our gaze toward people showing compassion to other people. It contains a number of heavy scenes, but the talking parakeet lends a saving humor. (Sakuma)

  • text: Yatsuka, Sumiko | illus. Nakamura, Yukihiro
  • Poplar
  • 2020
  • 208 pages
  • 20×13
  • ISBN 9784591167243
  • Age 13 +

Missing child, Elderly living alone, Compassion

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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イーブン

『イーブン』表紙
『イーブン』
村上しいこ/作 まめふく/画
小学館
2020

『イーブン』(読み物)をおすすめします。

中1の美桜里(みおり)は、父親のDVが原因で両親が離婚し、スクールカウンセラーの母親と暮らしているが、友人との関係がうまくいかず不登校になっている。そんな折り、キッチンカーでカレーを売っている貴夫と、その助手をしている高校生だがやはり不登校の登夢(とむ)に出会う。

美桜里もキッチンカーを手伝ううちに、登夢の母親が、子どもをネグレクトしたあげくに犯罪の手先までやらせていたことや、今は貴夫が保護者がわりに登夢と暮らしていることなどを知る。一方両親の離婚について考え続ける美桜里は、母親とも父親とも対話を重ねるうちに、人間関係の複雑さに目を向けるようになる。いつしか恋心を抱くようになった登夢からもさまざまなことを学ぶなかで、美桜里は、親子にしろ男女にしろ夫婦にしろ、互いに尊重し合える対等(イーブン)な人間関係が重要だと気づき、それはどうすれば可能なのかをさぐっていく。やがて美桜里の父親は、自分も親から虐待されていたこと、言葉で表現するのが苦手で暴力や暴言に訴えてしまったことを初めて打ち明ける。弱点もさらけだして本音で語り合う関係があれば、そこから道がひらけていくことが示唆されている。自らも虐待体験を持つ著者が、子どもたちに寄り添って一緒に考えようとする作品。

13歳から/親の離婚 キッチンカー 虐待 DV

 

Even

Twelve-year old Miori’s parents divorced because of her father’s abuse, and Miori now lives with her mother, a school counselor. Miori has stopped going to school because of difficulties getting along with her friends. One day, she meets Takao, a man who runs a curry food truck, and his assistant, Tom, a high school student who, like Miori, is not going to school. When she begins helping Takao with his food truck, she learns that Tom’s mother not only neglected him as a child but used him to commit crimes and that he now lives with Takao, who has become his guardian. Meanwhile, Miori is constantly thinking about her parents’ divorce. Through conversations with her mother and father, she starts to see the complexity of human relationships. She also gains many insights through talking with Tom, with whom she is falling in love. During this process, she comes to realize that being on an equal or even footing is the key to good relationships, whether between parent and child, man and woman, or a couple, and begins exploring how to make such relationships possible.

One day, Miori’s father attends a meeting hosted by Miori’s mother about women’s rights. There he confides that he suffered abuse from his own parents and struck out both physically and verbally because he had trouble expressing himself in words. Gradually, Miori and Tom find the next step they can take.

Miori’s story gives us hope, demonstrating that it’s possible to find a way forward by sharing our weaknesses and speaking honestly about our shortcomings. The author, who was a victim of abuse herself, helps readers to explore this serious issue. (Sakuma)

  • text: Murakami, Shiiko | illus. Mamefuku
  • Shogakukan
  • 2020
  • 208 pages
  • 19×14
  • ISBN 9784092893016
  • Age 13 +

Divorce, Food truck, Abuse, Domestic violence

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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父さんと、母さんと、ぼく〜ラビントットと空の魚 第五話

『父さんと、母さんと、ぼく』表紙
『父さんと、母さんと、ぼく〜ラビントットと空の魚 第五話』
越智典子/作 にしざかひろみ/画
福音館書店
2020

『父さんと、母さんと、ぼく〜ラビントットと空の魚』(読み物)をおすすめします。

「ラビントットと空の魚」シリーズの第5話で最終巻。舞台は異世界のトンカーナで、ここでは魚が空を飛び、鳥は地中を泳いでいる。主人公は、耳長族の少年ラビントットという漁師の息子で、自分も漁師になるつもりで修業するのだが、高いところが苦手なラビントットは親方のもとを逃げ出し、明け方だけ低空飛行するイワシをとって生計を立てることにする。

シリーズの第1話から第4話までは『鰹のたんぽぽ釣り』『そなえあればうれしいな』『くれない月のなぞ』『森ぬすっとの村』となっており、ラビントットは、さまざまな事件や、思いがけない出会いを経ながら否応なく冒険の旅を続けることになる。

この第5話では、ラビントットは故郷に帰る途中、イトマキエイに大勢が襲われたと聞き、急いで現場の月見山へ向かう。ラビントットは、騒動の原因となったイトマキエイの子どもを救い出した後、みんなの話を聞くうちに、月見山では昔、耳長族同士が戦った歴史があったことや、自分も生まれつき高所が嫌いだったわけではないこと、母さんの家族と父さんの間には深い溝があったことなど、いろいろなことを知る。自分のルーツや民族の歴史を知ったラビントットは、ちゃんとした漁師になるために自分の道を歩き始める。楽しく読めるファンタジー。

11歳から/異世界 漁師 ファンタジー

 

Dad, Mom, and Me

This is the fif th and final book in the series Rabintotto, the Fisherboy of the Sky. The setting is a parallel world called Tonkana, where fish fly through the sky, birds swim in the earth, and the inhabitants of the surface are not humans, but mysterious people. The main character is a fisherman’s son named Rabintotto, who hails from a long-eared clan and is apprenticing to become a fisherman himself one day. He is afraid of heights, however, and he runs away from his master. He decides to support himself by catching sardines, which move low in the sky only at dawn.

The first four volumes of this series are The Tuna’s Dandelion Fishing, Happy are the Prepared, Riddle of the Red Moon, and A Village of Forest Thieves. Throughout the series, Rabintotto goes through mishaps and surprise encounters on an unending, unchosen journey of adventures.

In this fifth volume, as Rabintotto is journeying toward his home, he hears that many have been threatened by spinetail devil rays, and he hurries to the scene: Tsukimi (Moon Viewing) Mountain. Rabintotto saves the spinetail devil ray child that caused the disturbance, and then he hears that long ago on this mountain, there was a history of long-eared tribes fighting. He also learns that his fear of heights was not innate, and that there has been a great gulf between his mother’s family and his father. Upon visiting his parents’ relatives, he is told that he can stay, but having learned his roots and history, Rabintotto vows to become a proper fisherman after all and sets out on a new journey.

This fantasy is fun to read, with illustrations that aptly convey Rabintotto’s world. (Sakuma)

  • text: Ochi, Noriko | illus. Nishizaka, Hiromi
  • Fukuinkan Shoten
  • 2020
  • 252 pages
  • 20×14
  • ISBN 9784834085600
  • Age 11 +

Parallel world, Fisherman, Fantasy

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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ギフト、ぼくの場合

『ギフト、ぼくの場合』表紙
『ギフト、ぼくの場合』
今井恭子/作
小学館
2020

『ギフト、ぼくの場合』(読み物)をおすすめします。

けなげな子どもが頑張って道を切りひらくという点では古典的だが、精一杯のことをしていても貧困から抜け出せず、公的なセーフティネットからも抜け落ちしてしまう家庭や子どもを描いているという点では、とても現代的な物語。

主人公の優太(ゆうた)は、小学校6年生。父親の不倫が原因で離婚した母親と、小2の妹と暮らしている。専業主婦だった母親はなかなか暮らしの手立てをつかめず、アルバイトをふたつ掛け持ちして働いている。

家族を大事にする優太だが、妹が盲腸炎にかかり手遅れで死去してしまい、貧困に輪をかけて辛い気持ちが増幅する。父親に対しては、自分たちを捨てたことを恨み、もらったギターをたたき壊し、絶縁したつもりになっているが、文化祭でギターを弾くはずの生徒が骨折したため、優太が代役を務めることになる。長いことギターには触っていなかったし、弾くと父親を思い出すので葛藤もあるが、弾くのが楽しいという経験を味わったことで、優太の前に新たな世界が開けていく。

優太の場合のギフトとは、絶対音感を持っていてメロディをすぐに再現できる才能でもあるが、母親が働くねじ工場の小西さん、文化祭のコンサートを指導するジョー先生、スクールカウンセラーの湯河原さんなどとの、あたたかい関係を引き寄せることのできる、真っすぐな人間性でもあるのだろう。

11歳から/ギター 貧困 母子家庭 職人

 

Gifted, In My Case

This story of a brave, honest child who forges his own path in the face of adversity is reminiscent of such classics as Burnett’s A Little Princess. But in its portrayal of children and families who cannot escape poverty and fall through the cracks in the public safety net, it is a very contemporary tale.

The main character, Yuta, is in sixth grade. He lives with his mother and his sister, who is in second grade. His mother, who divorced because of her husband’s infidelity, has never worked before and has a hard time making ends meet as she juggles her work at a screw factory with a part-time job at a convenience store.

Yuta cares deeply about his family, but the death of his younger sister due to delayed treatment for appendicitis and the family’s deepening poverty take an emotional toll. In his rage at his father for deserting them, Yuta destroys the guitar his father gave him in a symbolic act that severs their relationship. A student who is supposed to play the guitar at the school festival, however, breaks an arm, and Yuta is asked to fill in. Although he hasn’t touched a guitar for some time and doing so brings back painful memories of his father, he begins to see the world differently once he tastes again the joy of playing music.

Yuta’s gift is his musical ability. His perfect pitch allows him to reproduce a melody when he has only heard it once. But he is also gifted in his upright character and humanity, which attract the support and friendship of Mr. and Mrs. Konishi, who own the screw factory, Mr. Sawaguchi (commonly known as Joe), who directs music for the school festival concert, and Mrs. Yugawara, the school counselor. (Sakuma)

  • text: Imai, Kyoko
  • Shogakukan
  • 2020
  • 232 pages
  • 20×14
  • ISBN 9784092893030
  • Age 11 +

Guitar, Poverty, Single-mother family, Craftsman

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

 

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科学でナゾとき!〜 わらう人体模型事件

『科学でナゾとき!わらう人体模型事件』表紙
『科学でナゾとき!〜 わらう人体模型事件』
あさだりん/作 佐藤おどり/絵 高柳雄一/監修
偕成社
2020

『科学でナゾとき!〜 わらう人体模型事件』(読み物)をおすすめします。

科学の知識を盛り込んだ、学校が舞台の物語。6年生の彰吾は、自信過剰な児童会長。中学教師の父親が、小学校でも科学実験の指導をするために彰吾の学校にもやってくることに。父親を評価していない彰吾は、学校では家族関係を隠すようにと父親に釘を刺す。

ところが彰吾の学校では、次々に不思議な事件が起こる。最初は、理科実験室で人体模型がギャハハと笑ったという事件。生徒たちが脅えているのを知ると、彰吾の父親のキリン先生(背が高くポケットにキリンのぬいぐるみを入れている)は、みんなを公園に連れて行き、準備しておいたホースを使って、実験室の水道管が音を伝えたことを実証してみせる。

2つ目は、離島から来た転校生が海の夕陽を緑色に描いて、ヘンだと言われた事件。3つ目は、なくなったリップクリームが花壇に泥だらけで落ちていた事件。最後は、図書館においた人魚姫の人形が赤い涙を流す事件。どれもキリン先生が謎を解き明かし、光の波長や、液状化現象や、化学薬品のアルカリ性・酸性の問題など、事件の裏にある科学的事実を説明してくれる。彰吾も父親を見直す。科学知識が物語のなかに溶け込んでいて、おもしろく読める。

11歳から/学校 謎 科学 父と息子

 

Solving Riddles Through Science!

Set in a school, the story relates four episodes rich in scientific knowledge. Shogo, a cocky sixth-grader, is head of the children’s association. His father is a science teacher who teaches at many different schools, one of which is Shogo’s. But Shogo is embarrassed by his father’s clumsiness and begs him not to let anyone know they are related.

However, mysterious things are happening at Shogo’s school. First, the anatomical model in the science room bursts out laughing. When Shogo’s tall, lanky father, who carries a giraffe toy in his pocket and has been dubbed Professor Giraffe, hears that the children are frightened, he takes them to a park and uses a hose to show them that sound travel can long distances. It becomes clear that the sound of laughter must have traveled along an unused water pipe from another location.

The second mystery surrounds a transfer student from a distant island who is upset that his classmates laughed because he painted the sunset green. The third mystery involves a tube of lip gloss that disappears from the classroom and shows up in a flower bed. In the final episode, a mermaid doll in the school library weeps red tears. Professor Giraffe conducts experiments to solve each case, explaining the scientific facts behind them, such as light wavelength, liquefaction, and the alkalinity and acidity of chemicals. During this process, Shogo’s opinion of his father changes. The author expertly weaves scientific information into the story to make this a fascinating and informative read. (Sakuma)

  • text: Asada, Rin | illus. Sato, Odori | spv. Takayanagi, Yuichi
  • Kaiseisha
  • 2020
  • 208 pages
  • 19×13
  • ISBN 9784036491407
  • Age 11 +

School, Mystery, Science, Father and son

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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あるひあるとき

『あるひあるとき』表紙
『あるひあるとき』
あまんきみこ/文 ささめやゆき/絵
のら書店
2020

『あるひあるとき』(絵本)をおすすめします。

旧満州(中国東北部)に暮らしていたひとりの女の子(わたし)が主人公。女の子は、父親が日本から買って帰ったお土産のこけしに、ハッコちゃんという名前をつけてかわいがっていた。女の子は友だちの家にも防空壕にも、どこにでもハッコちゃんを連れていった。しかし敗戦で日本への引き揚げが決まり、一家は家財道具や持ちものを処分しなくてはならなくなる。ハッコちゃんも燃やされる。子ども時代を大連で過ごした作者が平和への願いを込め、おとなたちの戦争の陰で幼い子が体験した深い悲しみを伝えている。

9歳から/こけし 戦争 引き揚げ

 

One Day, One Time

During the Second World War, Japan occupied northeastern China, which it named Manchuria. Many Japanese moved there as settlers. The main character in this story is a little girl who lives in Manchuria. Her favorite toy is a wooden kokeshi doll that her father brought back from Japan as a gift. She names the doll Haruko and takes it with her everywhere, even to her friend’s house and the air raid shelter. When Japan loses the war, however, the girl and her family have to sell or burn everything they own, and Haruko is thrown on the fire. The author, who lived as a child in Dalian in northeastern China during the war, imbues this book with her yearning for peace and reveals the deep sorrow that children experience
in the shadow of wars waged by grownups. (Sakuma)

  • text: Aman, Kimiko | illus. Sasameya, Yuki
  • Nora Shoten
  • 2020
  • 36 pages
  • 27×22
  • ISBN 9784905015543
  • Age 9 +

Kokeshi doll, War, Evacuation

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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ひょうたんとかえる

『ひょうたんとかえる』表紙
『ひょうたんとかえる』
西条八十/作 殿内真帆/絵
鈴木出版
2020

『ひょうたんとかえる』(絵本)をおすすめします。

ひょうたんが、つるから「ぼっくりこ」と池に落ちると、蓮の葉の上に寝そべってのんびりしていたカエルが見つけて、「げっこりこ」ととびつく。重いのでひょうたんが沈むと、今度はカエルが背中にのせて運ぶ。単純なストーリーだが、「ぼっくりこ」と「げっこりこ」の繰り返しがおもしろく、最後は「それゆけ げっこりこげっこり ぼっくり ぼっくりこ」で終わる。もともとは作者が1932年に発表し、音楽つきでレコードまで出ていた詩だが、画家がゆかいな絵をつけたことによって、ユーモラスな絵本ができあがった。

3歳から/ひょうたん 池 カエル リズム

 

The Gourd and the Frog

When a gourd on a vine extending over a pond drops into the water—bokkuriko!—a frog that had been relaxing, stretched out on a lotus leaf, jumps onto it—gekkoriko! When the gourd sinks due to the frog’s weight, the frog carries the gourd on its back instead. It’s a simple story, but the onomatopoeia repeats, adding delight until the finale: “Go, go, gekkoriko, gekkori! Bokkuri, bokkuriko!” The basis is a 1932 poem by Saijo Yaso, a poet representative of the Taisho and Showa eras (1926-89), who released the poem with music on a record. The illustrator brings it
back to life as a humorous picture book with fun, enjoyable illustrations. (Sakuma)

  • text: Saijo, Yaso | illus. Tonouchi, Maho
  • Suzuki Shuppan
  • 2020
  • 24 pages
  • 22×21
  • ISBN 9784790254102
  • Age 3 +

Gourd, Pond, Frog, Rhythm

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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チンチラカと大男〜ジョージアのむかしばなし

『チンチラカと大男』表紙
『チンチラカと大男〜ジョージアのむかしばなし』
片山ふえ/ 文 スズキコージ/絵
BL出版
2019

『チンチラカと大男』(絵本)をおすすめします。

知恵が回るので有名なチンチラカは、気まぐれな王様に、魔の山にすむ大男から黄金のつぼや、人間の言葉を話す黄金のパンドゥリ(楽器)を取ってくるように次々命じられる。チンチラカがそれに成功すると、今度は大男をつかまえてこいとの命令が。チンチラカは大男をなんとかだまして箱に入れて連れてくるのだが、王様が箱を開けてしまい、大男は王様や家来を飲み込んでしまう。怖いところもあるがハッピーエンドなのでご安心を。コーカサス地方にある国ジョージアの昔話に、ダイナミックで魅力的な絵がついている。

3歳から/知恵 大男 王様 ジョージア

 

Chinchiraka and the Giant

A folktale from Georgia in the Caucasus unfolds
in this dynamically illustrated picture book.
Chinchiraka, the youngest of three brothers known for his wisdom, is commanded by a moody king to snatch a golden vase from a giant who lives inside a magic mountain. When Chinchiraka succeeds, he is told to go take a golden panduri instrument that speaks human language. After that, he must go and catch the giant himself. Chinchiraka somehow tricks the giant into a box and catches him, but when the giant comes out of the box, he gobbles up the king and his servants! Scary parts are balanced by a happy ending, in which Chinchiraka becomes the king. (Sakuma)

  • text: Katayama, Fue | illus. Suzuki Koji
  • BL Shuppan
  • 2019
  • 32 pages
  • 29×22
  • ISBN 9784776409274
  • Age 3 +

Wisdom, Giant, King, Georgia

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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たいこ

『たいこ』表紙
『たいこ』
樋勝朋巳/作
福音館書店
2019

『たいこ』(絵本)をおすすめします。

太鼓がひとつ。「トン トン トトトン」とひとりがたたいていると、「なかまに いれて」と誰かがやってくる。ふたりで「トントン ポコポコ」とたたいていると、また誰かがやってくる。仲間が4人にふえて盛り上がっていると、「うるさいぞー ガオー」とワニがやってきて、みんな逃げてしまう。でも、ワニもちょっとたたいてみたところ、あらおもしろい。音を聞いて、さっきの仲間が徐々に戻ってくる。ひとりひとりの音が重なって、最後はみんなで「トン ポコ ペタ ボン ガオー ゴン」。太鼓を打つ楽しさが伝わってくる。

3歳から/たいこ リズム 仲間 楽しさ

 

Drum

When someone finds a drum and plays ton, ton, to-to-ton, someone else asks, “May I join you?” As the two play ton ton, poko poko together, a third and fourth ask to join. As they play with delight, an alligator grouches, “You’re too loud! Gaah!” and they all flee. But then the alligator sidles up to the drum, taps it, and finds out playing is fun! When the four hear the alligator playing, they gradually come back. Everyone’s rhythms join together: ton poko peta bon gaah gon! The rhythms and fun of taiko drumming spill forth. (Sakuma)

  • text/illus. Hikatsu, Tomomi
  • Fukuinkan Shoten
  • 2019
  • 24 pages
  • 22×21
  • ISBN 9784834085051
  • Age 3 +

Drum, Rhythm, Companionship, Fun

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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虫ぎらいは なおるかな?〜昆虫の達人に教えを乞う

『虫ぎらいはなおるかな?』表紙
『虫ぎらいは なおるかな?〜昆虫の達人に教えを乞う』
金井真紀/著
理論社
2019

『虫ぎらいは なおるかな?』(NF)をおすすめします。

チョウやセミにさえさわれないほど虫嫌いの著者が、それをなんとか克服しようと7 人の専門家に会いに行った記録。会ったのは、虫と子どもの関係を調査している教育学者、昆虫館の館長、生きもの観察や野遊びの達人、虫オブジェを制作しているアーティスト、害虫研究家、「こわい」の心理を研究する認知科学者、多摩動物公園の昆虫飼育員。著者の奮闘ぶりはほほえましいが、虫好きの人が熱く語れば語るほど引いてしまう場面などがユーモラスで、おもしろく読める。イラストも楽しい。

13歳から/昆虫 好き嫌い インタビュー

 

Learning to Love Bugs from the Experts

The author hates bugs, even butterflies and cicadas. In this book, she records her encounters with seven bug experts she visits in an attempt to overcome her aversion. She meets an expert in the field of education who is studying the relationship between children and bugs, the director of a bug museum, an expert on wildlife observation and outdoor play, an artist who makes clay bug objects, a scientist researching harmful insects, a cognitive scientist studying the psychology of fear, and a bug keeper at the Tama Zoo. With a humorous touch, the author describes how the experts’ enthusiasm sometimes has the opposite effect, turning her off bugs even further. Her persistent efforts to like bugs are endearing, and the illustrations make this a fun read. (Sakuma)

  • Text/Illus. Kanai, Maki
  • Rironsha
  • 2019
  • 160 pages
  • 19×13
  • ISBN 9784652203095
  • Age 13 +

Bugs, Likes and dislikes

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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ギヴ・ミー・ア・チャンス〜犬と少年の 再出発

『ギヴ・ミー・ア・チャンス』表紙
『ギヴ・ミー・ア・チャンス〜犬と少年の 再出発』
大塚敦子/著
講談社
2018

『ギヴ・ミー・ア・チャンス』(NF)をおすすめします。

2014 年、千葉県の八街少年院で、少年たちに保護犬を訓練してもらうプログラムが始まった。第1 期に参加する少年は3 名。捨てられたり手放されたりして保護された犬が3 匹。犬と少年は1 対1のペアになって3 か月の間授業を受け、一般家庭に犬を引き渡すための訓練を行う。本書は、その訓練の日々に密着し、犬と少年の間に信頼感が芽生え、心が通い合い、両者ともに変わっていく様子をいきいきと伝えている。犬の表情をうまくとらえた写真と、抑制のきいた文章が心にひびく。

13歳から/少年院 犬 訓練

 

Give Me a Chance

ーA Fresh Start for Dogs and Boys

In 2014, a program was started at Yachimata Reformatory in Chiba prefecture to have young inmates train rescued dogs. Three boys joined the program in the first phase, and were paired up with three abandoned dogs from a shelter. The program lasted for three months during which time the dogs were trained in order to be rehomed with ordinary families. This book closely documents the day to day process, vividly demonstrating how a sense of trust developed between the neglected or abused dogs and the delinquent juveniles as they began to understand each other, and together they began to change. Readers will be deeply moved by the photos capturing the dogs’ facial expressions and the neutral written account. (Sakuma)

  • Otsuka, Atsuko
  • Kodansha
  • 2018
  • 208 pages
  • 20×14
  • ISBN 9784065130001
  • Age 13 +

Juvenile reformatory, Dogs, Training

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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ヒロシマ 消えたかぞく

『ヒロシマ消えた家族』表紙
『ヒロシマ 消えたかぞく』
指田和/著 鈴木六郎/写真
ポプラ社
2019

『ヒロシマ 消えたかぞく』(NF写真絵本)をおすすめします。

広島に暮らしていたある一家の記録を、一家の父親が撮りためていた写真をもとに構成し、日本語と英語の文章をつけている。理髪師の鈴木六郎は、妻の笑顔、子どもたちが元気で遊ぶようす、飼っていたネコや犬の何気ないしぐさなど、日常生活のひとこまひとこまを愛情たっぷりに撮影していた。しかし1945 年8月6日、原爆が広島を襲うと、一家全員の命がぷつっと絶たれる。作者は広島平和記念資料館でこれらの写真に出会って、一家をよみがえらせる一冊の作品にしあげた。いのちや平和について考えるきっかけになる写真絵本。

9歳から/広島 原爆 写真 家族

 

A Family in Hiroshima

ーTheir Vanished Dreams

Rokuro Suzuki, a barber who lived in Hiroshima, recorded the life of his family in photos near the end of World War II. Each photo captured their daily life with a loving touch: the smiling face of Suzuki’s wife, the laughter on his children’s faces as they played, and the innocent antics of their pet cats and dogs. On August 6, 1945, the entire family was wiped out by the atom bomb that fell on Hiroshima. When author Kazu Sashida first saw their photos in the Hiroshima Peace Museum, she was intrigued. Based on the photos and interviews with Suzuki’s relatives who saved the photos, Sashida brings the Suzuki family back to life. Suzuki’s photos and Sashida’s text, which is written in both Japanese and English, inspires readers to ponder such themes as life and peace. (Sakuma)

  • Text: Sashida, Kazu | Photos: Suzuki, Rokuro
  • Poplar
  • 2019
  • 40 pages
  • 23×23
  • ISBN 9784591163139
  • Age 9 +

Hiroshima, Atomic bomb

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2020」より)

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