タグ: 絵本

かみとあそぼう

『かみとあそぼう』 てをつかう・くふうする

かわさきようこ/作 
冨山房
1987.09

1枚の紙とハサミとのり,動物やお面かわいい箱やとび出すカード43種類の紙工作を,型紙つきで紹介します。 (日本児童図書出版協会)

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ふしぎなどうぶつえん

『ふしぎなどうぶつえん』
サラ・バル/作 小谷ひろゆき/訳
冨山房
1986.07

迷路,かくし絵,数あて,まちがいさがし……子どもたちの大好きな遊びやクイズがいっぱいの動物絵本です。 (日本児童図書出版協会)

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いい子になれっていわないで

『いい子になれっていわないで』
M.P.ダニノス/文 わたなべやす/訳
冨山房
1986.06

ジャンは,勉強はできないし,お行儀も悪い。先生や親の期待する”いい子”からはほど遠い。でもジャンは,車が大好きだった。 (日本児童図書出版協会)

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セロひきのゴーシュ

『セロひきのゴーシュ』
宮沢賢治/文 司修/画
冨山房
1986.04

おなじみの若き音楽家と動物たちの交流の物語を,「私もひとりのゴーシュだ」と言う司修が,思いをこめて描いた力作です。 (日本児童図書出版協会)

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ふしぎな子

『ふしぎな子』
E.T.A.ホフマン/文 リスベート・ツヴェルガー/画 矢川澄子/訳
冨山房
1985.12

ツヴェルガーのデビュー作。

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シュゼットとニコラ6〜あめふりつづき

『シュゼットとニコラ6〜あめふりつづき』
市川里美/作 矢川澄子/文
冨山房
1985.02

一週間のお休みというのに、日曜日から土曜日まで雨ばかり。でも、オーケストラごっこをしたり、かくれんぼをしたり、かそうパーティをしたりします。 (日本図書館協会)

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七わのからす

『七わのからす』
グリム/作 リスベート・ツヴェルガー/画 池田香代子/訳
冨山房
1985.04

かしこくて勇敢な女の子が,からすになった七人の兄さんたちを助けだすというグリムの有名な話に,美しい絵がつきました。 (日本児童図書出版協会)

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いっとうのいぎりすのおうし

『いっとうのいぎりすのおうし』
ニコラ・ベイリー/作 谷川俊太郎/詩
冨山房
1984.09

にひきのにたものがえる、さんとうのさけのみとら、よんわのよくばりぺんぎん、ごひきのごきげんなわに、などで12までの数を数える。言葉遊びも含む。 (日本図書館協会)

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ことりのオデット

『ことりのオデット』
ケイ・フェンダー/文 フィリップ・デュマ/画 やまぐちともこ/訳
冨山房
1984.10

一羽の小鳥が、辻音楽師のおじいさんと仲よく一緒に暮らしていました。でも秋になると、小鳥は暖かい国へ飛んでいかなければなりません・・・。 (日本図書館協会)

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なめとこ山のくま

『なめとこ山のくま』
宮沢賢治/文 榛葉莟子/画
冨山房
1984.03
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賢者のおくりもの

『賢者のおくりもの』
オー・ヘンリー/文 リスベート・ツヴェルガー/画 矢川澄子/訳
冨山房
1983.12

クリスマスのプレゼントを買いたくて,おたがいに自分のいちばん大切なものを手放してしまう若く貧しい夫婦の心を打つ愛の絵物語。 (日本児童図書出版協会)

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メリークリスマス 〜 世界の子どものクリスマス

ウィルソン文 市川里美絵『メリークリスマス』さくまゆみこ訳 冨山房
『メリークリスマス 〜 世界の子どものクリスマス』
R.B.ウィルソン/文  市川里美/画 さくまゆみこ/訳
冨山房
1983.12

子どもたちが心待ちにしているクリスマスって一体何なのでしょう? 他の国では,どんなお祝いをしているのでしょう? (日本児童図書出版協会)

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ねずみのウーくん 〜いぬとねことねずみとくつやさんのおはなし

『ねずみのウーくん 〜いぬとねことねずみとくつやさんのおはなし』
マリー・ホール・エッツ/作 たなべいすず/訳
冨山房
1983.11

くつ屋さんのペットは,けんかばかりしている犬とネコ,それにネズミのウーくん。そこへネズミぎらいのおばさんがやってきた。 (日本児童図書出版協会)

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あかずきん

『あかずきん』
グリム/作 リスベート・ツヴェルガー/画 池田香代子/訳
冨山房
1983.11

数々の絵本賞,美術賞にかがやくツヴェルガーが,グリムの世界の雰囲気をそのまま伝えます。赤ずきん絵本の決定版。 (日本児童図書出版協会)

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わらべうた 下

『わらべうた 下』
谷川俊太郎/編 堀内誠一/画
冨山房
1983.07

「かごめ かごめ」「かってうれしい はないちもんめ」「ことしのぼたんはよいぼたん」「とおりゃんせ」など古くから人々に親しまれている歌に絵を添えて紹介。 (日本図書館協会)

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ばらになった王子

『ばらになった王子』
クレメンス・ブレンターノ/文 リスベート・ツヴェルガー/画 池田香代子/訳
冨山房
1983.04

ドイツの古典的な物語に,数々の国際絵本賞に輝く新進画家が美しい絵をつけました。小学生から楽しめるファンタジックな物語絵本。 (日本児童図書出版協会)

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なにしてあそぶ?

『なにしてあそぶ?』
市川里美/作
冨山房
1983.01

幼い子どもたちの生活が描かれた絵本。なわとび,かけっこ,人形芝居…子どもたちの創造性豊かに生き生きと遊ぶ姿が楽しめます。 (日本児童図書出版協会)

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シュゼットとニコラ5〜ゆめのどうぶつえん

『シュゼットとニコラ〜ゆめのどうぶつえん』表紙
『シュゼットとニコラ5〜ゆめのどうぶつえん』
市川里美/作 矢川澄子/訳
冨山房
1983.06

ジュゼットとニコラは動物園で見た動物たちそれぞれのふるさとを訪ね、そこで彼らがどんなふうにくらしているかを見る。 (日本図書館協会)

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わらべうた 上

『わらべうた 上』
谷川俊太郎/編 堀内誠一/画
冨山房
1982.11

日本の山河を背景にして生まれ,代々受けつがれてきた伝承わらべうたの中から,リズムと言葉のおもしろいものを選びました。 (日本児童図書出版協会)

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まよなかのだいどころ

『まよなかのだいどころ』
モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳
冨山房
1982.09

真夜中に目をさましたミッキーは,パン焼き職人が働いている台所へ。そしてはじまるふしぎな世界…。センダック三大代表作の一つ。 (日本児童図書出版協会)

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いちばんぼしみつけた〜こどものための詩集・2

『いちばんぼしみつけた〜こどものための詩集・2』
シンシア・ミッチェル/選 市川里美/画 矢川澄子/訳
冨山房
1982.06

フロスト、エリオットなどイギリスの詩人の、子ども向きの作品20編を、楽しい挿絵入りで収録。 (日本図書館協会)

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しろひげパチリくろひげパチリ

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『しろひげパチリくろひげパチリ』
川村ゆう/文 梶山俊夫/絵
冨山房
1982.01
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ちいさなちいさなえほんばこ

『ちいさなちいさなえほんばこ』
モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳
1981.12

『ピエールとライオン』『アメリカワニです、こんにちわ』『チキンスープ・ライスいり』『ジョニーのかぞえうた』の豆本4冊セット

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ジョニーのかぞえうた

『ジョニーのかぞえうた』
モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳
冨山房
1986.08

ゆうゆうとひとり暮らしをしていたジョニーのところへつぎつぎに招かれざるお客がやってくる。ゆかいなゆかいな数え歌絵本。 (日本児童図書出版協会)

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アメリカワニです、こんにちは〜 ABCのほん

『アメリカワニです、こんにちは〜 ABCのほん』
モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳
冨山房
1986.08

アメリカワニの一家が,ABC…と順番にZまで,楽しくアルファベットを教える絵本。ワニの動作がゆかいで,ついひきこまれます。 (日本児童図書出版協会)

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ふたり

『ふたり』
瀬川康男/作
冨山房
1981.09

精密に描きこまれた石版画,リズミカルなことば,いろいろな工夫やしかけ……。ネコとネズミの”ふたり”の関係を描いた傑作。 (日本児童図書出版協会)

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アベラールどこへいく〜 ちょっとかわったカンガルーのおはなし2

『アベラールどこへいく〜 ちょっとかわったカンガルーのおはなし2』
ブリューノ・カシエ/作 やまぐちともこ/訳
冨山房
1981.05
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シュゼットとニコラ3〜きせつはめぐる

『シュゼットとニコラ3〜きせつはめぐる』
マンジャン/文 市川里美/画 矢川澄子/訳
冨山房
1981.01

シュゼットと二コラの、春からクリスマスまでの生活や遊びの移りかわりを、写実的であたたかい絵によって描き出した絵本。 (日本図書館協会)

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シュゼットとニコラ4〜こどものサーカス

『シュゼットとニコラ4〜こどものサーカス』
市川里美/作 矢川澄子/訳
冨山房
1981.01

市川氏の考えた話の筋にもとづいて、矢川氏が新たに文を書いている。ジュゼットと二コラの住む村で「世界こどもサーカス」が合宿をする。サーカスの芸を紹介。 (日本図書館協会)

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チキンスープ・ライスいり 〜12のつきのほん

『チキンスープ・ライスいり 〜12のつきのほん』
モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳
冨山房
1986.08

何よりもおいしいお米の入ったチキンスープを毎回登場させながら,1月から12月までの季節の移りかわりを表現した楽しい絵本。 (日本児童図書出版協会)

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ピエールとライオン〜 ためになるおはなし

『ピエールとライオン〜 ためになるおはなし』
モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳
冨山房
1986.08

誰のいうこともきかないへそ曲がりのピエールが,大きなライオンに食べられてしまう! こわくてゆかいで”ためになる”絵本。 (日本児童図書出版協会)

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やまわらしきえた(わが西山風土記・冬)

『やまわらしきえた(わが西山風土記・冬)』
梶山俊夫/作
冨山房
1980.06

シリーズの4巻目。

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ティムとサンタクロース

『ティムとサンタクロース』
ジュディ・ブルック/作 まきたまつこ/訳
冨山房
1980.11

ティムとヘレンにポリーとサイモンが生まれました。雪の日ケーキの飾りになるサンタクロースを助けた親子は、楽しいクリスマスをすごします。 (日本図書館協会)

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ティムのおよめさん

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『ティムのおよめさん』
ジュディ・ブルック/作 まきたまつこ/訳
冨山房
1980.11

はつかねずみのティムは、ヘレンと結婚しました。でも、ヘレンは、教会からでてきた花よめさんの美しいドレスを見てから、自分もドレスばかり作り始めます。 (日本図書館協会)

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ティムとめうしのおおさわぎ

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『ティムとめうしのおおさわぎ』
ジュディ・ブルック/作 まきたまつこ/訳
冨山房
1980-09

はつかねずみのティムと、はりねずみのブラウンさんは、ミルクをもらいに農家へいきます。ねずみを見ておどろいた牝牛たちは大さわぎ・・・。 (日本図書館協会)

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スティーブン・ホーキング

『スティーブン・ホーキング』(ほるぷ)表紙
『スティーブン・ホーキング』 (小さなひとりの大きなゆめ)

マリア・イサベル・サンチェス・ベガラ/文 マット・ハント/絵 さくまゆみこ/訳
ほるぷ出版
2022.02

イギリスの絵本。小学校低学年から読めるようにと工夫された伝記絵本シリーズの1冊で、車椅子の宇宙物理学者として有名なホーキング博士の子ども時代から、難病にかかって絶望の縁においつめられたこと、そこから気を取り直して好奇心旺盛に何にでも挑戦するようになっていったこと、そして現代で最もすぐれた宇宙物理学者になったところまでを、親しみやすい絵で描いています。

このシリーズのコンセプトは、幼い頃に抱いた夢がどんなふうに将来につながっていったかを絵本で表現するということ。ほかには、マザー・テレサ(なかがわちひろ訳)、オードリー・ヘップバーン(三辺律子訳)、ココ・シャネル(実川元子訳)、キング牧師(原田勝訳)、マリー・キュリー(河野万里子訳)、ガンディー(竹中千春訳)、リンドグレーン(菱木晃子訳)、エメリン・パンクハースト(上野千鶴子訳)、マリア・モンテッソーリ(清水玲奈訳)があり、小学校の図書館に入れたらよさそうです。

本の翻訳は、つながっていることがあって、「ホーキング博士のスペースアドベンチャー」シリーズ(岩崎書店)を翻訳したことから、ホーキングの伝記絵本の翻訳依頼をいただいたのですが、ホーキングさんの伝記はもう1冊(『スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語』キャスリーン・クラル&ポール・ブルワー文 ボリス・クリコフ絵 化学同人 2021.06)を訳しています。
(編集:細江幸世さん 装丁:森枝雄司さん)
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つかまえた

田島征三『つかまえた』表紙
『つかまえた』
田島征三/作
偕成社
2020.07

『つかまえた』をおすすめします。

川でやっと大きな魚をつかまえた少年が、しばらくしてその魚が死にかけているのに気づき、今度はその魚を生かそうと奮闘する姿を描いた絵本。少年の心の動きや、少年と魚の命が呼応する様が生き生きと表現されている。

「手の中で ぬるぬる/にぎると ぐりぐり/いのちが あばれる」といった実感を伴う言葉と、ぐいぐい勢いよく描かれた絵とがあいまって、この少年と魚の命の輝きが伝わってくる。昔の子どもが日常の暮らしの中で体験したことを、今の子どもはすぐれた絵本でまず体験してみることも必要なのかもしれない。

生と死や命といったテーマを、抽象的な概念ではなく、子どもにも共感できる具体的なものとして提示しているのがすばらしい。

(産経新聞「産経児童出版文化賞:美術賞講評」2021年5月5日掲載)

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やとのいえ

『やとのいえ』表紙
『やとのいえ』
八尾慶次/作
偕成社
2020.07

『やとのいえ』をおすすめします。

多摩丘陵の谷戸に建てられた一軒のかやぶき屋根の農家と、その周辺の環境の変化を見つめた絵本。1868年から約150年間の変遷を、ていねいな絵とわかりやすい文章で表現している。最初は、この農家の周辺は雑木林や畑や田んぼで、人々は農業や炭焼き、養蚕やカゴ作りなどをして暮らしている。子どもたちは空き地や川で遊び、家畜ばかりでなく野生の生き物とも触れあっている。ところが、1970年代に入ると開発の波が押し寄せ、あっという間に森林が伐採され、舗装道路や団地や分譲住宅ができ、鉄道やモノレールが通る。やがて古くなったこの農家も壊されて、瓦屋根の住宅に建て替えられる。

環境の変化の歴史と同時に、季節ごとの農作業、婚礼や葬儀、お祭りなども描かれ、その時々の人々の暮らしぶりもわかる。変化していくものとは対照的に、この家の庭の隅にはずっと変わらず石造りの十六羅漢さんが置かれているのもおもしろい。

巻末にはそれぞれの場面に描かれているものについての詳細な説明があり、絵と対比しながら読むとまた新たな発見がある。

(産経新聞「産経児童出版文化賞:大賞講評」2021年5月5日掲載)

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?あつさのせい?

スズキコージ『?あつさのせい?』表紙
『?あつさのせい?』
スズキコージ/作
福音館書店
1994.09

『?あつさのせい?』をおすすめします。

ここは、暑い盛りの動物の町。暑いと頭がきちんと働かないので、うっかりもぼんやりもしょっちゅう起こる。馬は駅のベンチに帽子を忘れ、その帽子を拾ったキツネは駅のトイレにかごを忘れ、そのかごを拾ったブタは銭湯でシャンプーを忘れ・・・と連鎖はずっと続いていく。暑さに負けていない力強い絵が、動物たちそれぞれのクスッと笑えるユーモラスな姿を伝えている。
5歳から。

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年7月31日掲載)

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ヴォドニークの水の館 〜チェコのむかしばなし

『ヴォドニークの水の館』表紙
『ヴォドニークの水の館 〜チェコのむかしばなし』
まきあつこ/文 降矢なな/絵
BL出版
2021.03

『ヴォドニークの水の館』をおすすめします。

チェコ語の翻訳者が再話し、スロバキア在住の画家が絵をつけた昔話絵本。貧しさに希望を失って川に身を投げようとした娘が水の魔物ヴォドニークにさらわれ、水中の館を掃除することになる。娘はやがて、館にたくさんあるつぼの中に溺れた人たちの魂がとらわれていることに気づき、その魂をすべて解放し、自分も逃げて地上にもどる。女の子の冒険物語としても楽しめるし、緑色でカッパにも似たヴォドニークが不思議で、いろいろ工夫のある幻想的な絵もすばらしい。
小学校低学年から

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年4月24日掲載)

チェコ語の翻訳者が再話し、スロバキア在住の画家が絵をつけた昔話絵本。貧しさのあまり身投げしようとした娘が、ヴォドニークという水の魔物にさらわれて水中の館で働かされる。娘はやがて館を脱出し、囚われていた他の魂も解放して生の世界に帰っていく。生と死と再生の物語ともとれるこの絵本では、窓からのぞく娘の目の前を魚が泳いでいる表紙がまず読者の目を引くが、絵は場面展開の仕方も周到に考えられ、娘の姿も、水中の館にいるときは静、行動を起こして陸に上がるときは動と、描き分けられている。
視点や色彩の変化の付け方、チェコらしい刺繍の服やつぼの模様といった細部にも十分に目配りがされ、昔話の世界を見事に伝えている。

(産経児童出版文化賞/美術賞選評 産経新聞2022年05月05日掲載)

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オノモロンボンガ〜アフリカ南部のむかしばなし

『オノモロンボンガ〜アフリカ南部のむかしばなし』(さくま訳)の表紙
『オノモロンボンガ〜アフリカ南部のむかしばなし』
アルベナ・イヴァノヴィッチ=レア/再話 ニコラ・トレーヴ/絵 さくまゆみこ/訳
光村教育図書
2021.09

フランスの絵本。まだこの世界が若かった頃、動物たちは川のほとりでみんな仲良く暮らしていましたが、やがて飢饉に襲われて食べるものがなくなってしまいます。そんなときカメがおいしい実がたくさんなる木の夢を見て、人間のおばあさんをたずね、その木が本当にあって、木の名前を当てると実をもらえると知り、その名が「オノモロンボンガ」だと聞いて、そこまで歩いて行く決心をします。途中で出会ったさまざまな動物がカメより自分のほうが足が速いし賢いと主張して自分こそ一番乗りしようと走って行きますが、みんな何かの拍子に木の名前を忘れてしまい、うまくいきません。

みんなが飢えている時にあらわれる魔法の木の名前をあてる、というモチーフの昔話はアフリカの各地にあり、これもその1つで、原著はフランスで出版されました。私はこれまでに類話の絵本を『ごちそうの木〜タンザニアのむかしばなし』(ジョン・キラカ再話 西村書店)、『ふしぎなボジャビの木』(ダイアン・ホフマイアー再話 ピート・フロブラー絵 光村教育図書)と、2冊訳していて、これが3冊目です。比べてみるのもおもしろいです。

ジョン・キラカさんが来日したときに『ごちそうの木』について話をうかがったのですが、キラカさんはほかの地域にも同じような昔話があることは知らず、自分が直接村で聞き取ったタンザニアの昔話を絵本にしたのだとおっしゃっていました。

(編集:鈴木真紀さん 装丁:城所潤さん+館林三恵さん)

◆◆◆

〈紹介記事〉

・「朝日小学生新聞」2021年12月2日

『オノモロンボンガ』朝小書評

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子どもの本で平和をつくる〜イエラ・レップマンの目ざしたこと

『子どもの本で平和をつくる〜イエラ・レップマンの目ざしたこと』(さくま訳)の表紙絵
『子どもの本で平和をつくる〜イエラ・レップマンの目ざしたこと』
キャシー・スティンソン文 マリー・ラフランス/絵 さくまゆみこ/訳
小学館
2021.07

カナダの絵本。ナチス政権下のドイツから国外に避難していたユダヤ人のイェラ・レップマンは、戦後ドイツにもどり、荒廃と貧困の中で育つ子どもたちを目の当たりにして、本をとおして夢や希望を提供しようと考えます。そして20の国に手紙を書いて、子どもの本を送ってくださいと頼み、それをもとにドイツ各地で図書展を開き、子どもが各国の本に接することができるようにします。やってきた子どもたちにレップマンは、送られて来た本をその場でドイツ語に訳して読んで聞かせます。

送本を依頼された国の中には、ベルギーのように、2度も攻め込んできたドイツに本など送れない、として断る国もありました。レップマンはめげずにもう1度、「ドイツの子どもたちに、あらたな出発をさせてやりたいのです。ほかの国ぐにから届いた本を見ることによって、子どもたちはお互いにつながっていると感じるでしょう。戦争が、また始まらないようにするには、それがいちばんではないでしょうか」と、書いた手紙を送ります。すると、ベルギーからも子どもの本が送られてきたのでした。

この絵本は、小さなドイツ人の女の子アンネリーゼとその弟ペーターが、その図書展でレップマンやいろいろな本に出会い、どんなふうに心を豊かにしていったかを中心に表現しています。想像力がはばたいている場面では、花のモチーフが絵に描かれています。

巻末には、イエラ・レップマンの紹介と、彼女が始めたIBBY(国際児童図書評議会)や、世界初の国際子ども図書館の説明があります。ミュンヘンの国際児童図書館は、市内にあった昔の建物から移って、今は郊外のブルーテンブルク城にあります。私はそのどちらにも訪れたことがあります。

(編集:喜入今日子さん 装丁:城所潤さん+館林三恵さん)

*全国学校図書館評議会 「えほん50」2022選定

SLA「えほん50」2022選定

 

<紹介記事>

・2021年9月21日の朝日新聞。原稿を書いてくださったのは記者の松本紗知さん。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

IBBYは、子どもの本に関わる人々を結ぶ世界的ネットワークで、スイスのバーゼルに本部がある。約80の国と地域が加盟していて、子どもの本を通した国際理解の促進や、良質な本を届けるための活動を行ってきた。そのIBBYや、世界で初めての国際児童図書館(ミュンヘン国際児童図書館)を創設した一人の女性イエラ・レップマンを題材にした絵本「子どもの本で平和をつくる 〜イエラ・レップマンの目ざしたこと〜』が、小学館から7月に出版された。

レップマンは、子どもの本が人々の心の架け橋になると信じ、第2次世界大戦後間もないドイツで、世界各国から送ってもらった子どもの本による図書展を開いた。この図書展の開催が、49年の国際児童図書館、53年のIBBYの設立へとつながっていった。

絵本は、弟と図書展を訪れた少女が主人公のフィクションで、姉弟の姿を通して、本が与えてくれる希望や力を描いている。翻訳したさくまゆみこさんは、「単なる理想ではなく、『子どもの本で平和をつくる』ことを,本当に目ざして行動した人がいたことが、具体的に描かれている」と話す。巻末には、レップマンに関する解説もある。

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スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語

『スティーブン・ホーキング』(化学同人)表紙
『スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語』
キャスリーン・クラル&ポール・ブルワー・文 ボリス・クルコフ/絵 さくまゆみこ/訳
化学同人
2021.06

好奇心をもつことに焦点を当てた伝記絵本。体の自由が失われていっても、「どうして?」「なぜ?」と問いつづけた宇宙物理学者の誕生から死までを、すてきな絵と簡潔な文章で描いています。絵がとてもおもしろいです。

先日JBBYの「ノンフィクションの子どもの本を考える会」では、最近出版されている伝記について話し合いました。

かつては子どものための偉人伝がたくさん出て、よく売れていました。そのほとんどは偉さや、人並みはずれた頑張りや、克己心などを描いたものでした。なので、私はどうしても「わざとらしい」と思ってしまっていました。最近の伝記は少し違ってきているように思います(日本では旧態然とした偉人伝がまだたくさん出ていますが)。いわゆる「偉人」ではない人にも焦点を当てた伝記が出るようになりました。それに、偉さではなく弱点ももった人間として描こうとするようになってきたと思います。

ホーキングは「偉人」ではありますが、この絵本では、好奇心を中心にすえ、ホーキングのユーモアやお茶目な側面も描いています。そういう意味では「新しい伝記」の一冊かもしれません。

同名の伝記絵本を私はもう一冊訳していて、それはこちらです。

(編集:浅井歩さん 装丁:吉田考宏さん)

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わたしたちのカメムシずかん

『わたしたちのカメムシずかん』表紙
『わたしたちのカメムシずかん』
鈴木海花/文 はたこうしろう/絵
福音館書店
2020.05

『わたしたちのカメムシずかん』をおすすめします。

カメムシは触ると臭い、だから嫌いという人も多い。この嫌われ者の虫に夢中になり、もっと知りたくなり、自分たちでカメムシ図鑑まで作り、やがてカメムシは宝だと言うようになった子どもたちがいる。どうしてそんなことになったのかを楽しく描いたのが、このノンフィクション絵本。カメムシはどうして臭いのか、どうして集まるのかについても、わかるよ。(小学校中学年から)

(朝日新聞「子どもの本棚」2020年7月25日掲載)

キーワード:ノンフィクション、虫、学校

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しあわせなときの地図

『しあわせなときの地図』表紙
『しあわせなときの地図』
フラン・ヌニョ/文 ズザンナ・セレイ/絵 宇野和美/訳
ほるぷ出版
2020.10

『しあわせなときの地図』をおすすめします。

戦争のせいで生まれ育った町を離れ、知らない国に逃げて行かなくてはならなくなった少女ソエは、地図を開き、楽しい時をくれた場所を一つ一つ思い起こしては、そこにしるしをつけていく。幸せな思い出が、生きていく力をあたえてくれることを伝えるスペインの絵本。コロナ禍にある今だからこそ、さまざまな状況の子どもたちに思いを馳せてみたい。(小学校低学年から)

(朝日新聞「子どもの本棚」2020年11月28日掲載)


暮らしていた町を戦争で破壊され、外国に逃げなくてはいけなくなった少女ソエは、机に町の地図を広げて、楽しい思い出がある場所に印をつけていく。自分の家、祖父母の家、楽しかった学校、わくわくしながら想像力をふくらませていた図書館や本屋、いっぱい遊んだ公園、魔法のスクリーンがある映画館、川や橋……。楽しかった体験を、これから避難していく場所での力にしようとする少女の心の内を、やさしいタッチの絵で表現している。最初の見開きと最後の見開きの対比が多くを伝えている。

原作:スペイン/9歳から/戦争、難民、思い出

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2021」より)

 

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トラといっしょに

『トラといっしょに』表紙
『トラといっしょに』
ダイアン・ホフマイア/文 ジェシー・ホジスン/絵 さくまゆみこ/訳
徳間書店
2020.08

イギリスの絵本。この絵本を訳したいな、と思ったきっかけは、コロナ禍での子どもたちの不安がいかばかりかと思ったことでした。今は子どもには重い症状が出ないと言われていますが、春ごろまではそれもわからない状態でした。私の孫の一人も4月から1年生になるはずでしたが、学校が開かれずに不安になっていたかと思います。私自身も不安でした。

この絵本では、いろいろなことが怖い男の子トムが、自分が描いた絵の中からとびだしたトラといっしょにあちこちで冒険するうちに怖さを克服してゆきます。コロナだけでなく、いろいろな不安を抱える子どもたちに手渡したいと思いました。

とがった歯と、ヒュッヒュッとふる尻尾を持ったトラが、美しく力強く描かれています。トムが自分でもトラの絵を描いてみようと思ったのは、美術館でアンリ・ルソーのトラの絵を見たからです。「不意打ち」とか「熱帯風のなかのトラ」と呼ばれている絵です。絵本の巻末には、ルソーとこの絵についての簡単な紹介があります。ルソーの絵は、一種独特の雰囲気をもっていてそれはそれですごいのですが、トラの絵はホジスンさんのほうがじょうずだと私には思えます。

文章を書いたホフマイアーさんは、南アフリカ生まれで、今はロンドンに住んでいます。私は彼女の絵本をもう一冊『ふしぎなボジャビのき』(光村教育図書)というのを訳しています。

(編集:小島範子さん)

キーワード:トラ、不安、恐怖、絵画、アンリ・ルソー

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◆書評(「子どもの本棚」2021年3月号 No.629)

『トラといっしょに』の書評(「子どもの本棚」2021-03)

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カタカタカタ〜おばあちゃんのたからもの

『カタカタカタ』表紙
『カタカタカタ〜おばあちゃんのたからもの』
リン・シャオペイ/作 宝迫典子/訳
ほるぷ出版
2018.08

『カタカタカタ〜おばあちゃんのたからもの』をおすすめします。

台湾の絵本。女の子のおばあちゃんは、足踏みミシンでいろいろなものを作ってくれる。ある日、女の子の劇の衣装を作っているときにミシンが故障してしまった。修理屋が来ても直せない。でも、おばあちゃんは夜遅くまでかかって手縫いで衣装を間に合わせてくれた。「ほんとうに すごいのは カタカタカタじゃなくて、おばあちゃんだったのね」という言葉がいい。

壊れたミシンは、やがてパパがテーブルにリフォームしてくれた。壊れたら捨てるのではなく、別の物に作り替えてまた使うというストーリーの流れもいい。

ユニークな絵で、おばあちゃんと女の子の温かい交流を伝える。翻訳もリズミカルでわかりやすい。

(産経新聞「産経児童出版文化賞・翻訳絵本賞」選評 2019年5月5日掲載)

キーワード:おばあちゃん、ミシン、台湾、絵本

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バッタロボットのぼうけん

『バッタロボットのぼうけん』表紙
『バッタロボットのぼうけん』
まつおかたつひで/作
ポプラ社
2018.06

『バッタロボットのぼうけん』をおすすめします。

主人公は犬の子どもたちで、バッタ型のロボットに乗って冒険に出かけるという設定。このロボットが、子どもの持つ知識の範囲内でなるほどと思えるように工夫されているのが楽しい。

ボルネオ、オーストラリア、ニュージーランドの陸地と海と川にすむ虫や動物たちが、生き生きと描かれ、吹き出しの中に簡単な説明も付されている。

ファンタジーの要素も取り入れた知識絵本だが、その土地に生息する動物をリアルに、主人公の犬たちをイラスト風に描くことによって、子どもが混乱しないよう配慮がされている。さらに最後の場面がストーリーに奥行きをもたせ、そこからもう一つの想像がふくらむよう工夫されている。

(産経新聞「産経児童出版文化賞・美術賞」選評 2019年5月5日掲載)

キーワード:ロボット、自然、絵本、動物

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なっちゃんのなつ

『なっちゃんのなつ』表紙
『なっちゃんのなつ』
伊藤比呂美/文 片山健/絵
福音館書店
2019.06

『なっちゃんのなつ』をおすすめします。

なっちゃんという女の子が、河原や野原を歩いて、クズのつる、ひまわり、アオサギ、セイタカアワダチソウ、サルビア、オシロイバナ、雷雨、ガマの穂、ハンミョウなどの自然の生きものや現象に触れあいながら、夏を感じていく絵本。

夏独特の旺盛なエネルギーを感じさせる要素も多いが、セミの死骸、お盆のお墓参り、お供え流しなど、死や、あの世とのつながりを思わせる要素も入っている。

写実的ではないが、動植物の特徴をよく観察して活かしている絵がいい。会えなかった友だちと最後に会って一緒に遊ぶという流れも納得できる。

おもて表紙と裏表紙のつながりにも読者の想像力がふくらむ。

(産経新聞「産経児童出版文化賞・美術賞選評」2020年5月5日掲載)

キーワード:夏、自然、生と死

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マンマルさん

『マンマルさん』表紙
『マンマルさん』
マック・バーネット/文 ジョン・クラッセン/絵 長谷川義史/訳
クレヨンハウス
2019.05

『マンマルさん』をおすすめします。

抽象的な図形マンマルさんが、シカクさん、サンカクさんとかくれんぼをする絵本。黒いキャラクターが暗い洞穴に入ると、そこには正体不明のものがいるという設定なので、いささか怖いのだが、訳者のユーモラスでリズミカルな関西弁がその不気味さを中和している。真っ暗闇の中での黒いキャラクターの気持ちを、目の動きだけで表現している絵もいい。

マンマルさんは、ぞっとして洞穴からあわてて逃げ出したけれど、あれはいい者だったかもしれないと思い直す。そして、「さあ いっしょに め つぶってみ。どんなん みえる?」と、読者にも想像を促す。哲学的な絵本とも言えるが、子どもは子どもなりにおもしろさを味わえる。

(産経新聞「産経児童出版文化賞・翻訳絵本賞選評」2020年5月5日掲載)

キーワード:洞穴、形、謎、哲学、絵本

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