カナダのYA小説。HIV/エイズがテーマです。舞台は南部アフリカ、主人公は16歳のチャンダ。母親と義父、妹二人、弟と暮らしています。義父がエイズになり、母親は自分もエイズにかかっていることを知り、子どもたちに迷惑をかけまいと一人で田舎に戻ります。「エイズ」という語はタブーで、口にすれば地域で仲間外れになるからです。同じようにエイズで両親を亡くした親友エスターと支え合いながら、チャンダが沈黙のタブーを破り、運命を切りひらいていこうとする物語。
『ヘブンショップ』(デボラ・エリス著 さくま訳)も、カナダの作品でした。日本の作家だと、わざわざ外国に出かけて取材したうえで作品を書いたりはしないと思いますが、カナダは、多文化理解という点では児童文学も一歩先を行っているように思います。
(イラストレーション:沢田としき 装丁:タカハシデザイン室 編集:山浦真一さん)

*プリンツ賞銀賞受賞