さくまゆみこ/文 保立葉菜/絵
BL出版
2024.11
アフリカ大陸の多くの地域では、文字で記録するということをせずに、歴史や文化を口承で伝えてきました。そんな地域で大きな意味を持っている「おはなし」の起源をめぐる昔話。ズールーの人たちに伝わってきた「おはなし」のお話です。BL出版の「世界のむかしばなし絵本シリーズ」の一冊。
子どもたちに「おはなし」をせがまれたマンザンダバは、家事や育児を夫のゼンゼレに任せて、「おはなし」さがしの旅に出ます。出会ったノウサギ、ヒヒ、フクロウ、ゾウ、ウミワシなどに次々にたずね、とうとうウミガメに「わたしのせなかに、おのりなさい。おはなしが見つかりそうなところへ、つれていってあげましょう」と言ってもらえます。
ウミガメが連れて行ってたのは海の底の精霊の国の宮殿。マンザンダバは、陸の様子を知りたいという精霊の国の王様たちの求めに応じ、夫のゼンゼレこしらえた家や村や動物などの木彫りを届け、かわりに「おはなし」が聞こえてくる不思議な貝殻をもらいます。
木版画多色刷りで時間をかけて仕上げてくださった保立さんの絵がとってもすばらしいので、ぜひ見てください。
前に福音館書店の「こどものとも」2012年2月号で、南アフリカのマプラ刺繍を使った「マザネンダバ」という絵本が出たことがあります。これはチナ・ムショーペの再話でしたが、こちらの絵本はもともとの昔話に近いかたちで再話しています。
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(編集:鈴木加奈子さん デザイン:中島香織さん)