ネズ:友人の小学4年生の息子さんが、買ったその日に一気に読んでしまったとか。普通こういう本は、子どもが案内役でいろいろなことを説明してまわるという形が多いのに、この本はストーリーと科学の知識がしっかり絡み合ってますね。それにストーリーそのものも、意外といっていいほどおもしろかった。悪役が学校の先生というのは、けっこう子どもにとって怖いですよね。ホーキング博士の本は、前に読んで途中でやめた覚えがあるけれど、こういう本を読めるなんて、今の子どもは恵まれてますね。中の写真がきれいで、感激しました。これは、CGではなく、本当に撮影した写真なのかしら?

ハリネズミ:ホーキング博士がかかわっているからには勝手にCGをつくったりはしないでしょう。コンピュータ処理をした画像は、ちゃんと断り書きがしてありますね。

ネズ:ブラックホールなんて、知ったつもりで日常ジョークに使ったりしているけれど、実はよく知らなかったんだなあと思いました。ブラックホールから脱出できるなんてね! 続きが楽しみです。もうできあがっているんでしょうか?

ハリネズミ:全部で3巻とのことですが、出版社の人に聞いたら、2巻の原著原稿はまだこれから上がってくるそうです。

ジーナ:図書館は予約がいっぱいだったので、夏休みに中学生の息子に読ませようと思って買いました。読み始めたらおもしろくて。科学というのは諸刃の剣だと思うのですが、「科学の誓い」のところに著者の考え方が表れていて、信頼感を持って読み進められました。私は星のことはまったくわからないけれど、わかりやすくておもしろかったです。主人公が、ベジタリアンで自然志向の両親のせいで肩身の狭い思いをしているところがリアルで、その科学アレルギーの父親が物語に巻きこまれていくので、この先どうなるかが楽しみです。写真の入れ方や説明文の入れ方が、わかりやすいですね。説明がじゃまにならない。これは絶対に続きを読まなくちゃ、という終わり方ですね。悪者の先生はハリー・ポッターにも出てきて、その流れかなと思いました。とても読みやすく、ぜひ子どもに薦めたい本です。

マタタビ:キャンペーンに来た本屋さんの熱気に感心して、すぐに買いました。私のような文系人間にわかるのかなと心配だったけど、ストーリー中心で読めて楽しめました。宇宙についての解説コーナーでは、昔の物理の授業がよみがえってきて、少し懐かしくなりました。始めは構えていたんですが、とても読みやすかったのでホッとしました。子どもも、その子その子でいろいろな読み方ができると思います。興味のありよう次第で、理科から行ってもいいし、物語からいってもいい。おもしろい本ですね。
『なぜ、めい王星は惑星じゃないの?』(布施哲治著 くもん出版)という本を以前読んで、それはそれで内容はおもしろかったんだけれど、終始説明的なので、子どもがこれを全部読み切れるかな、と感じてました。この本で楽しみながら得た知識と、『なぜ、めい王星〜』で得た知識と比べたらどうなんでしょう? この本なら400番台を読めない子でも楽しめますね。子どもの目を科学に向けるために、こんな手があったんだ! 難しい科学の知識とストーリーをこういう風に組み合わせられるんだ。さすがホーキングさん。楽しかったです。特に最初の方に出てくる「科学の誓い」に感心しました。子どもに科学の楽しさをこういう風に手渡せるといいですよね。

球磨:知り合いの理科の先生に言ったら、まだ読んでなかったんで紹介したんです。お話もおもしろく、また写真や説明もおもしろくて、宇宙について納得しながら読みました。冥王星についてなど最新の知識も入っているし、次が楽しみですね。すぐにその先生に貸そうと思ってます。

ネズ:「誰かに読ませたい〜!」という本ですよね。

球磨:本当にそうですよね。

ハリネズミ:私は天文の知識がそんなにないんですけど、子どもたちが彗星に乗って惑星を見て行くところが、生き生きとしてて臨場感もあって、おもしろかったですね。こんなふうに書かれたのを読んだのは初めて。ホーキング博士の知識の裏付けがあるので、安心して読めるし。私は文系なんで、科学をお勉強として教えるのではなくて、物語としておもしろく読めて、副産物として科学の知識も身に付くような本があるといいな、と以前から思ってたんですけど、これはそんな思いに答えてくれました。監修の先生は、ホーキング博士のお友だちだそうです。宇宙に詳しい方にうかがったら、子どもの本にこれだけ新しい宇宙の写真が出ているのは珍しいそうです。この本に出てくるブラックホールの説明も、ホーキング博士が考えだした新しい説で、今ではそれが定説になってきているようです。

ネズ:私が子どものころは、八杉龍一著『動物の子どもたち』や、お魚博士の末広恭雄さんの本など、子どもにも大人にも読めるベストセラーになるような本があって愛読していた覚えがあるけれど、最近はどうなのかしら?『動物の子どもたち』は、毎日出版文化賞を受賞しているから、大人も子どもも楽しめる本だったってことですよね?
この後ひとしきり、科学読み物談義で盛り上がる。

(「子どもの本で言いたい放題」2008年7月の記録)