『わたしは女の子だから〜世界を変える夢をあきらめない子どもたち』をおすすめします。

私は、教科書的に教えようとする本はあまり好きではないので、この本も最初は敬遠していたのだが、読んでみたらなかなかよかったので紹介したい。

ネパール、ジンバブエ、パキスタン、フィリピン、南スーダン、ウガンダ、ペルー、カナダと、世界のさまざまな国で暮らす女の子たちが、自分が抱えている問題をそれぞれに語っていく。

例えばネパールのアヌーパは、貧困な家庭に生まれ親が借金をしていたので学校に行けず、7歳で奴隷のようなカムラリになる。そして8年間家事労働を毎日させられたあげく、解放されて国際NGOの支援を受け、起業家になる勉強をして、動物用医薬品店を経営している。南スーダンで生まれたキャスリンは、両親が留守の間に近所で銃撃戦が始まり、弟たちを連れて200キロも歩いて国境を越え、ウガンダにある難民キャンプまで逃げる。今はそこで弟たちの面倒をみながら、両親と再会できる日を夢見ている。

ここに出て来る国際NGOとは、プラン・インターナショナルという団体で、世界の女の子たちが、十分な食事をあたえられずに家事労働をさせられ、10代で結婚・出産させられ、収入も発言権もない状態におかれている現状を変えようとしている。

ちなみに2018年の男女平等ランキングを見ると、日本は149か国中110位で、世界平均よりはるかに下だ。この本に登場する国をこのランキングで調べても、日本より下にあるのは、148位のパキスタンだけである(南スーダンはこのランキングに含まれていないが、あとは8位のフィリピンから105位のネパールまですべて日本より上)。つまり私たちの国は、衛生面や教育面ではましかもしれないが、女の子たちが不自由な概念や労働条件などに縛られているという点では、この本に登場する少女たちと共通する問題も抱えている。

ところで、本書は原書のレイアウトをそのまま使っているらしく、横書きの文章がずっと続く。私は日本語は縦書きのほうが読みやすいとおもっているのだが、若い世代は横書きの長い文章にも抵抗はないのだろうか。

(トーハン週報「Monthly YA」2019年6月10日号掲載)

キーワード:少女、貧困、難民