メキシコ系アメリカ人の詩人が初めて書いたYA文学で、メキシコからの移民チカーノの少年の息づかいが伝わってきます。父親は飲んだくれのうえに暴力をふるう。兄や姉はいつもトラブルに巻きこまれる。一家はいつも貧困と差別と暴力にさらされているけれど、その家族を見る著者の目には、ぬくもりも感じられます。アメリカ人やスペイン語の得意な方に聞いてもわからないチカーノ特有の表現がたくさん出てくるので、作者に何度もe-mailで問い合わせたりして、翻訳には苦労しました。
(表紙絵:木村タカヒロさん 装丁:鈴木成一さん 編集:神田侑子さん、長田道子さん、沼田敦子さん)

*全米図書賞受賞、産経児童出版文化賞受賞