トチ:なんとものんきなところが、大好きな本です。ただ楽しいだけの本みたいだけど、子どもは読んでいくうちに、ポケットにはあんなものも、こんなものもある……なんて考えるようになる。お勉強絵本のようなものより、ずっと頭の訓練になるのかも。今江・和田コンビの『ちょうちょむすび』(BL出版)や『あめだまをたべたライオン』(フレーベル館)も好きだったけど、なんというか、お二人とも失礼ながら「枯れた」境地に入ってきているというか……

たんぽぽ:子どもに安心して渡してあげられる本ですね。字がちょっと小さいかな。

げた:ポケットって、子どもに興味があるから、テーマ的にはいいと思うけれど、文章がちょっと長すぎるかな。短いと、もっと楽しめるのでは? 表紙がいいので、図書館でもよく借りられています。

カーコ:パネルシアター的な絵本だと思いました。登場人物の口調の書き分けがうまい。小学生に読み聞かせしてみたくなりました。

ハマグリ:絵本にしては字が多くて読みにくいし、読み物を読みたい子どもは、この形では手にとらない。中途半端なつくりだと思います。判型を小さくして、低学年の子が読みやすい読み物にしたほうがよかったのでは?

アカシア:これは今江さんの童話集の中にも入っている話ですよね。私は最後の落ちがイマイチでした。カメの甲羅もポケットだっていうのは、どうなんでしょう? もう少していねいにお話をつくってほしいな、と思っちゃった。

トチ:カンガルーで終わればよかったのにね。

アサギ:基本的には楽しくて良い本だと思います。でも、私も最後でがくっときてしまったのが残念。絵本にしては字が多いけれど、楽しくあたたかい雰囲気に満ちている印象。ポケットというのも、良い発想では。ドラえもんにもあるわね……。

愁童:今江さんの幼年向けの作品て、言葉にリズム感があるものが多いけど、これは読み聞かせを念頭において書かれているのかな? 子どもが喜びそうな題材でユーモアもあるし、おもしろいなと思いました。

(「子どもの本で言いたい放題」2006年4月の記録)