『バスにのらないひとたち』
ジャン・マーク/著  三辺律子/訳
パロル舎
1998.12
原題:IN BLACK AND WHITE by Jan Mark, 1980, 83, 86, 91

版元語録:誰もいないバス停に人の気配を感じて近寄れないジェニー、具合が悪くなることに憧れるエマ、こむずかしい言葉を好んでつかうデニスなど、50年代の英国を舞台に、不思議な子どもたちが繰り広げる物語七編を収録。ごわいやつ/チョット変な子どもはおもしろい

アカシア:私はジャン・マークの短編が好きなんです。日常の中のちょっとした裂け目をのぞきこんで不思議なお話を作るのが上手な作家ですよね。大人になって、雑事に追われているとつい見逃してしまいがちな感覚を、しっかり思い起こさせてくれます。この作品も、「大人の私」はおもしろく読みました。ただ、いくつかひっかかったところがあります。「通信」は、暗号のようなものがモールス信号だったことはわかったけど、具体的にはどうなっているのかよくわからなかった。後書きでもう少し説明してくれると、よかったですね。p181のトンネルと線路と歩道と車道の関係もうまくイメージできませんね。
「バスにのらない ひとたち」の話の原題はThey Wait。バスに乗らない人なら自分とはかかわらない感じですが、「待っている人」だと何を待っているのかわからなくてもっと怖い。文章の表記は、漢字とひらがなのバランスをもう少し考えると、もっと読みやすくなったと思います。p84あたりに日本語のイタリックが出てきますが、これ読みにくいですね。

ミラボー:私も「通信」はどうしてもわからなかった。今日ここで、わかった人に聞いて理解して帰ろうと思っていたんですが……。みなさんもわからなかったようで残念。個人的にイギリス文学でもケルト的な多神教の話は好きです。「かざられない写真」の話は、よくわかります。ぶきみな感じの話が多かったですね。

たんぽぽ:子どもたちは怖い話が好きなので、もっと子どもたちが楽しめる工夫がほしかった。読みにくかったです。

ウグイス:子どもだけにしか見えないものを描いて、なんとなくこわい雰囲気のある作品として、『キップをなくして』と共通のものがあると思ったんです。「バスにのらないひとたち」「お誕生日の女の子」などはわかりやすい話だけど、中には、情景がきちんと思い描けずに何回か繰り返して読まなければならないものもありました。もう少し工夫してほしかったわね。私も「バスにのらないひとたち」の原題がThey Wait なので、日本語から受ける感じとニュアンスが違うのではないかと思いました。p80でジェニーが最後に答える「バスにのらないひとたち」というところも、原著とは違ってくるのかも。
げた(メール):非常に読みにくかったです。内容的には高学年から中学生向きなのに比較的容易な漢字が平仮名になっていたりもするし。また、訳文から情景がイメージしづらかったですね。ですから、おもしろい本なのでしょうが、私にはその良さがわかりませんでした。日本の子どもにも、むずかしいのではありませんか?

(「子どもの本で言いたい放題」2006年9月の記録)