西アフリカの市場を舞台にした楽しい絵本です。チトくんは、お母さんにおんぶされて市場に出かけていきます。チトがきょろきょろしていると、市場のバナナ売りのアデさんが小さなバナナを6本くれます。チトはバナナを1本食べると、残りはお母さんが頭にのせているかごに、ぽいっと入れてしまいます。フェミさんからオレンジを5個もらうと、1個だけちゅうちゅうして、残りはお母さんのかごへ。こうして、お母さんのカゴの中に、揚げ菓子や、焼きトウモロコシや、ココナッツと、いろいろなものが入っていきます。

お母さんは値段の交渉に夢中で、ちっとも気づいていなかったのですが、やがてかごをおろしてみてびっくり! そして、最後のページがまたおもしろい。

文章を書いたアティヌーケはナイジェリア生まれの児童文学作家。絵を描いたブルックスバンクも西アフリカで育ちました。二人が大好きな西アフリカの市場のようすが、生き生きと伝わってきます。私もナイジェリアではいくつかの市場を訪ねたことがありますが、この絵本からは活気にあふれたざわめきまで聞こえてくるようです。
(編集:高尾健士さん 装丁:森枝雄司さん)

*2018年 子どものためのアフリカ図書賞(米 Children’s Africana Book Award)受賞作