『彼方の光』表紙
『彼方の光』
シェリー・ピアソル/作 斎藤倫子/訳
偕成社
2020.12

『彼方の光』をおすすめします。

時は今から160年前。その頃のアメリカ南部にはまだ黒人奴隷がたくさんいて、報酬ももらえず白人農場主にこきつかわれていた。ある晩、老奴隷のハリソンは少年奴隷のサミュエルを起こし、闇に乗じて2人でカナダへの逃亡を始める。そして、何度も危ない目にあいながらも、「地下鉄道」にも助けられて、旅を続けていく。「地下鉄道」とは、当時実在した、逃亡奴隷を北へ北へと逃がすための人間の秘密ネットワークで、黒人だけではなく、白人も先住民も、宗教上の理由から助けようとする人たちもかかわっていた。この作品にも多様な立場から逃亡を支える人々が登場する。いくつもの実話から紡ぎ上げた物語で、サミュエルの気持ちになって読み進めることができる。

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年1月30日掲載)

キーワード:奴隷、逃亡、(自由への)地下鉄道