『今すぐ読みたい! 10代のためのYAブックガイド150!』

近頃の中高生はあまり本を読まないという。小学生は、読書推進ボランティアが読み聞かせをしたり、ブックトークをしたり、朝読なども盛んだったりするので、まだ読むのだが、中高生になるとほかに面白いことも、塾や部活など忙しいことも出てくるから、本なんか読んでらんないということらしい。

それに町の本屋さんに行っても、近頃は味のある本はあまり置いてない。まして児童書などは少しでもあればいいほうだ。私の近所でも、駅前の本屋さんがつぶれてしまった。というわけで、本は中高生の目になかなか触れなくなってもきている。この年齢だと、学校の先生がおすすめする本への猜疑心も強いだろう。だからこそ当コラムを役立ててもらうといいとは私も思っているのだが、たまには1冊ずつのおすすめじゃなくて、たくさんのおすすめの中から選びたいと思う生徒もいるだろう。

そこで、今回はこのブックガイド。中は (1)10代の「今」を感じる本 (2)社会を知る、未来を考える本 (3)見知らぬ世界を旅する本 (4)言葉をまるごと味わう本 (5)現実を見つめる本、と5つの章に分かれている。そして各章が、たとえば1章だったら、「学校のリアル」「部活へGO!」「自分って何者?」「友情、恋、冒険、青春!」なんていうふうにまた分類されているので、自分が気に入ったジャンルで本をさがしやすい。執筆者は、評論家、書店員、作家(森絵都、佐藤多佳子、那須田淳も書いている)、研究者、司書、編集者など25人。それぞれの人が気に入った作品について、おすすめのポイントを熱っぽく語っているのがうれしい。

ちょっと時間ができたけど、何を読んでいいかわからないな、という人たちは、ぜひこれをパラパラとめくってみてほしい。軽妙なエンタメから重厚な社会派までよりどりみどりだ。

(「トーハン週報」Monthly YA 2016年4月11日号掲載)