『カメちゃんおいで、手の鳴るほうへ〜友だちになれる亀の飼い方』
中村陽吉/文 アトリエ・モレリ/絵
講談社
2002.12

オビ語録:先生のカメは、呼べば走ってくるらしい/亀ってそんなにかしこいの?/ほんとう?

カーコ:カメを飼っている子や、カメを飼おうと思っている子が喜んで読みそうな本だと思いました。へえーと思うことがたくさんありました。でも、すっきりとした絵が入っていてとっつきやすい一方で、全体に漢字が多いのが気になりました。

ブラックペッパー:私、カメって、甲羅の中のことを考えるといやだったの。図書館から借りてきて、しばらく読まずにいたんだけど、おもいきって読んだらおもしろかった。カメと友だちになれるよという姿勢がよかった。笑ったところは、「煮えてしまう」ところ。これを読んだ子は買いたくなるだろうなと思った。ただ、タイトルはいいのか悪いのか。ほかに思いつかないからいいのかな。

愁童:今、カメを飼っている子って多いですよね。これ1冊あれば、カメ飼育のエキスパートになれるというような本だと思いました。

ペガサス:同じ著者が大人向きに以前書いた『呼べば来る亀』(誠信書房)もおもしろかった。この人のほのぼの路線が出てる。こちらは、カメを飼おうとしている子どもに読ませる本として作られている。この人とカメの付き合い方みたいなのが、本文に書かれて、下段には豆知識が書かれている。子ども向けに書いている作家ではないから、編集の人が手を入れているんだろうけど、「和室」なんて言葉の注釈もある。親切な編集の人だなあと思いました。この先生って、自分ではそうは思っていないだろうけれど、ユーモラスなところがある人。51ページのコメント「知らないカメの鼻は、押さないようにしましょう」なんていうのも、おもしろい。このあいだ、あるタレントがカメを数匹飼っているが見分けはつかないと言っていたけど、この本を読むと、こんなに親密につきあえることがわかって興味深かった。カメが人間を見分けるというのも意外だったし、まちがえて他人のところに行っちゃうと恥ずかしそうな顔をするというのも、おもしろかった。

アカシア:私は前にカメを飼っていたことがあるんですけど、その頃この本を読んでいればもっとうまく飼えたのにって思いました。でも、どのカメも犬みたいに馴れるっていうわけじゃなくて、この「カメちゃん」っていうのが特別なのよね。「ガマちゃん」と「シンちゃん」は「カメちゃん」ほど馴れなくて、それでも一生懸命やっているこの先生がほほえましい。近所のカメがいっぱいいる池から一匹もらってきたくなりましたね。ただ、冬眠用の水槽の用意のしかたがちょっとわかりにくかった。落ち葉と水を入れると最初にあるけど、「あたたかいベッド」って書いてあるし、27ページには「落ち葉の中から」って書いてある。水は途中で蒸発してなくなるの? カメの観察記録なんだけど、書き方はおもしろかった。「ときどきシンちゃんが、ガマちゃんの前に出て、鼻を押しつける。まるで『姫、しばしおとどまりを。』と、家来が言っても、『そちはうるさいのう、わらわは先に行くぞえ。』というように、ガマちゃんはドンドン行ってしまう。」なんていうの。

ブラックペッパー:この冬眠用水槽の「水を同じくらい入れ」って、何と同じくらいなんでしょうね。落ち葉と同じくらいということ?

アカシア:カメ飼育の実用書として見ると、絵に出てくる敷居とカメの大きさの比率がページによって違ったりもして、??と思ってしまう。

紙魚:私は動物のなかでも、カメはかなり上位に入るほど好きなんです。だから期待して読みました。動物もののおもしろさって、もちろん作者のその動物に対する愛情の度合いとかもあるのだけど、やっぱり生態がきちっと興味深く書かれていることが、私にとっては大切なんですね。この本は、カメを飼う人のための本なのか、カメに興味をもたせるための本なのか、焦点にちょっと揺れがあるように思いました。ただ、作者の人柄や、カメの気持ちの読み取り方がおもしろいので、楽しく読みきってしまいます。あと、イラストレーションがちょっとわかりにくいところがありました。カメちゃん、ガマちゃん、シンちゃんの顔のちがいとかって、もっとちゃんと見たいし、75・99ページのイラストなどはわかりにくかったです。

アカシア:この本はノンフィクションというよりは、読み物なんでしょうか。

すあま:『呼べば来る亀』は、大人向けで、大の大人の心理学者がカメを飼うっていうおもしろい本だった。こっちも、カメの飼い方の本というよりは、ノンフィクションの読み物にすればよかったのかも。

:うちの近所に、リクガメを散歩させてる人がいるのよ。『どろぼうの神さま』(コルネーリア・フンケ著 細井直子訳 WAVE出版)にも、くしゃみするカメが出てるじゃない。あれって、本当だったのね。生きものを飼う人って、こんな気持ちで飼うんだなということがわかりました。

カーコ:これはノウハウの本じゃないんじゃないかしら。これを読んだだけでは、カメを飼うのは難しそう。私も小学生のときミドリガメを飼ったことがあるんですけど、世話がすごくたいへんだったの。掃除をさぼるとすぐ臭くなるし、病気にもなるし。でも、この本からは苦労は伝わってこない。実際には、なかなかこんなにおおらかには飼えませんよね。おふとんをよごされたなんて、さらっと書いてあるけれど。

:カメってもっと獰猛じゃなかったっけ。かつて、うちのベランダに上の階からカメが落ちてきたことがあるんだけど、けっこう獰猛でしたよ。

(2003年04月の「子どもの本で言いたい放題」の記録)