イギリスのファンタジー。「クロニクル千古の闇」シリーズは完結したかと思っていたら、10年以上たって続巻が出ました。この7巻目では、表紙の絵は酒井駒子さんですが、中のイラストは原書の絵をそのまま使っています。また6巻目までとは体裁も少し変わりました。

今から6000年くらい前の、まだすべてを人の手で作り出さなければ暮らしていけなかった時代。ひとりでこっそり出ていったレンを追ってトラクは極北へと向かいます。いつの間にか、先を行くレンのそばにはナイギンいう若者が。レンはなぜ出ていったのか? ナイギンとは何者なのか? 愛するレンとトラクを引き裂いたのは誰なのか? 謎が次から次へと生まれ、それがどう解きほぐされていくのか、ハラハラします。ウルフの活躍にも胸がおどります。

舞台となる地に著者が足を運び、綿密に文献も調査して書いているので、大自然の描写や、その中で生き延びていく当時の人々の暮らしや考え方など、物語世界がリアルで入り込めます。(冬に読むと寒くなりますので、ストーブのそばか、こたつに入って読むことをお勧めします)

(編集:岡本稚歩美さん 装丁:水野哲也さん)

Comment