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ポリー・アラキジャ『トビのめんどり』さくまゆみこ訳

トビのめんどり

西アフリカのナイジェリアを舞台にした絵本。主人公はトビという名前の男の子。友だちのアデが飼っている雌牛は月曜日に1匹赤ちゃんをうみ、トゥンデが飼っている羊は火曜日に2匹赤ちゃんをうみ、ビシが飼っているヤギは水曜日に3匹赤ちゃんをうみ…というふうに、村の子どもたちが飼っている動物には、次々に子どもが生まれていくのに、トビはずっと待っています。でも、3週間たつと、とうとう卵がかえって、ヒヨコが誕生!

村の人々の暮らしぶりを伝えながら、曜日や数についてもわかるように考えられた絵本です。最後の見開きには、「ぜんぶで なんば いるのかな?」と、たくさん描いてあるニワトリを数えてみる楽しさがあります。

作者はイギリスに生まれて、ナイジェリア人と結婚し、長年ナイジェリアに住んでいた画家です。作品が紹介されているホームページはここにあります。
http://www.pollyalakija.com/

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<紹介記事>

・「子どもと読書」2014年11.12月号の「新刊紹介」で北村明恵さんがご紹介くださいました。

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トビはめんどりを、友達はそれぞれ牛・羊・ヤギ・ネコなどを飼っています。月曜日、友達のアデの牝牛が赤ちゃんを一匹産み、トビのめんどりは卵を一つ産みました。火曜日、トゥンデの羊が赤ちゃんを二匹産み、めんどりは二個目の卵を産みました。こうしてどんどん赤ちゃんと卵が生まれ、七日目の日曜日、卵は七個になりました。三週間たって、他の赤ちゃんは大きくなって動きまわるようになりました。トビとめんどりは、卵がかえるのを待っています。

数がどんどん増えていく数の絵本でもあり、絵の中の動物を探して数える絵本でもあります。また、まわりで働く大人達や、動物と共に暮らすアフリカの暮らしが絵から伝わってきます。

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イフェオマ・オニェフル『おばあちゃんにおみやげを:アフリカの数のお話』さくまゆみこ訳

おばあちゃんにおみやげを〜アフリカの数のお話

ナイジェリアの文化を伝える写真絵本。数の絵本にもなっています。著者はナイジェリアで生まれ育った女性フォトグラファー。アフリカというと「動物がたくさんいる」とか「貧しい」とか「内戦でたいへん」というイメージばかりが伝わっていますが、広いアフリカ大陸には元気な子どももたくさんいます。これは、そんな元気な男の子がおばあちゃんの家に遊びにいきます。西アフリカ・ナイジェリアの人々の日常生活を生き生きと伝える数の絵本です。
(編集:西野谷敬子さん)


フランソワーズ・オードリー=イルジック文 ティエリー・クルタン絵『はじめてのかずのえほん』さくまゆみこ訳

はじめてのかずのえほん

数についてのフランスの絵本。0から10までの数字を紹介し、日常のくらしの中で、それぞれの数を楽しんでいきます。


ジョン・ラングスタッフ文 ロジャンコフスキー絵『おおきなのはら』さくまゆみこ訳

おおきなのはら

アメリカの絵本。野原にいるいろいろな動物たちが登場してきます。数の絵本にもなっています。光村さんで絵本を出し始めるというので、いろいろ相談した中から生まれてきた絵本です。オリジナル版は1957年。2色刷の見開きと4色刷の見開きが交互にあらわれます。ロジャンコフスキーの絵がすばらしい! 動物や鳥のお母さんと子どものやりとりが楽しいし、見返しがまたとってもいいですよ。
(装丁:桂川潤さん 編集:轟雅彦さん 鈴木真紀さん)


デミ『1つぶのおこめ:さんすうのむかしばなし』さくまゆみこ訳

1つぶのおこめ〜さんすうのむかしばなし

昔話と数の絵本。王様にお米を取り上げられて困っていた村を、知恵のある女の子ラーニが救います。数の絵本にもなっていて、牛やラクダやゾウが、お米を運んでくる場面がすばらしい! 絵を見ただけで、お米が次々に倍になっていくようすや、大きな数を実感することができます。金色を使ってインドの細密画風に描かれた、デミの絵がユニークです。
(装丁:辻村益朗さん 編集:鈴木真紀さん)

*厚生労働省:社会保障審議会推薦 児童福祉文化財(子どもたちに読んでほしい本)選定


1はゴリラ〜かずのほん

イギリスの絵本。1はゴリラ、2はオランウータン、3は・・・と、いろいろなサルや霊長類が登場する数の絵本。迫力ある絵がすばらしく、同じ種類でも1ぴきずつ個性が描きこまれています。最後にはなんと!

昨年9月にロンドンで最初にダミーを見つけ、その時、アンソニー・ブラウンさんとも話したのですが、「ぼくはどの絵本も作ってしまった後は関心がなくなってしまうんだけど、この絵本は違うんだ。自分でもとっても気に入っている」とおっしゃっていました。日本に戻ってきて完成した絵本を見た私は、すごい! と思いました。これまでのアンソニー・ブラウンとはひと味違う絵、そしてコンセプトです。ずっと見ていてもちっとも飽きない、不思議な力をもっています。ソデにある山極寿一さんの文章がまたいいんですよ。
(編集:須藤建さん)