『ソフィアの白いばら』
八百板洋子/著
福音館書店
1999.06

<版元語録>1970年、ソフィアの留学生宿舎に集まった世界各国の若者たちの出会いと別れ。激動する時代の波に翻弄され、傷つきながらも精一杯生きる青春群像をみずみずしく描く。愛と涙のブルガリア留学記。 *産経児童出版文化賞 エッセイストクラブ賞
*産経児童出版文化賞 エッセイストクラブ賞

:読んでて、途中で嫌になっちゃった。がんばって、一応最後まで読んだけど。おばさんのヤなところを、いっぱい見ちゃったみたいで。おばさんっていっても、えーと、作者は1946年生まれ・・・ということは、今54歳か。だったら無理ないわね。世代の違いを感じてしまうのも。なんだか、全編自分をほめてるんだもん。だんだん「もう勝手にして!」って気分になっちゃった。だいたい、どうして副大統領に会いにいったのかしら。別に行かなくたってよかったのに。ベトナムのこととか、惹きつけられていったのに、最後は結局、「古きよき時代のお嬢さまの私小説」になっちゃってて残念。

モモンガ:私も、途中でちょっと。最初は、けなげなのよね。主人公が新鮮なものを見聞きするのを、おもしろく読めていたんだけど、途中で「もういいわ」って思っちゃった。素朴な疑問なんだけど、この本、どうして子ども向けにしたのかしら。留学体験記を読みたい人って、たくさんいるでしょ。そういう人向けに、留学関連書のコーナーにブルガリアの本としておいたら、もっとよかったんじゃない?

ウンポコ:ほんとだよ。どうして子ども向けにしたのかなあ。

ねむりねずみ:家の近所の図書館では、大人の本のコーナーにおいてありましたよ。

:私の家のほうでは、子どもの本の棚にあったわよ。

ウンポコ:あとがきに「心ひかれるタイトルがあったら、そこだけでものぞいてみてください」って書いてあったから、ぼくは安心してウンポコ読みしたね。それで、実はね、おもしろかったの。うわあ、当時の留学生はしんどかったんだなーと思った。民族の歴史を抱えこんだ人たちのるつぼで、もまれてさ。民族の習慣のちがい、とくいアセンカのキスなんて、もし自分の身にそんなことが起こったら、ツライだろうなーと思った。災難だよな。アセンカのジコチューにおしつぶされそうになってるけど、かくいうYOKOも、相当のジコチュー。ぼくも大学生のとき、寮生活をしていたんだけど、そのときのことを思い出した。でさ、その百倍くらいいろんなところから、いろんな人が来てるわけじゃない? そう考えるとオドロキだよな。この本は、ウンポコ読みにしては、だいぶ読んだね。文庫本にして、大学生くらいの子に読んでもらったらいいと思うな。

ウォンバット:私は、「世界ウルルン滞在記」(日曜夜10:00〜 TBSテレビ)が大好きなんだけど、そこに通 じるおもしろさを感じた。未知の国の、未知の暮らしを知る喜びって、大きい。そういう意味ではとてもおもしろかったんだけど、いろいろとハナにつくところはあったのよね。たとえば、YOKOとグェンの出会いの場面。グェンを評して、黒豹みたいな体つきで「身長 185センチ、体重79キロ」と聞いたYOKOは「わたしの倍以上も体重があると聞いて、なんだかこわくなりました」って言ってるんだけど、私はここでつまずいてしまった。185センチ体重79キロって、まあ、大きいことは大きいけど、そんなに特別さわぐほどのことじゃないと思うんだけど。当時はたいへんなことだったのかな。それに、79という数字が、変にリアルじゃない?

ひるね:でも、八百板さんって、とっても小柄でかわいらしい人よ。

ウォンバット:あと、 YOKOの台詞が妙にぶっきらぼうなのも、ちょっと気になった。YOKOが「〜だよ」「〜だよ」というの、違和感なかった? 全体の雰囲気に、合ってないような感じがするんだけど。実際はYOKOがブルガリア語でしゃべったことばを日本語にしてるわけだから、「〜だよ」というニュアンスで話していたといいたいのかもしれないけど、グェンとか、男性との会話の場面で、男の人のほうがずっとやさしいしゃべり方をしてるように見えるところもあったりして・・・。

オカリナ:実際、八百板さんて、きびきびした感じの人らしいけど。

愁童:ぼくは、裕さんに同感。ま、ウンポコ読みだけど。副大統領に会いにいったとか、本の表紙の絵をだれが描いてくれたとか、もう勝手にしてって感じ。ベトナム人青年医師にしても、通念によりかかってる。ずるっこいよ。そのあたりペルフロムの『第八森の子どもたち』と似てる。なんか、いろいろなことが起こるんだけど、自分はいっさい傷つかないんだ。なんとなーくセンチメンタルで流しちゃってる。なあんだ、その程度のモンだったのかと思っちゃうよ。アセンカの亡命にしてもさ・・・。寮生活の様子も、終わりのほうは、なんだかこんがらがっちゃうし。

ウンポコ:ぼくも、この作者を好きか嫌いかといったら、ちょっと「ごめんなさい」だな。この時代の、この国の人の暮らしはおもしろいと思うけどさ。

愁童:恵まれた人だったんだね。最後も、耳が悪くなって、よりよい治療を受けるために日本に帰ってくるわけだし。幸せな人さね。

ねむりねずみ:ウンポコさんが言ったの、まさにその通り! 私も、あの時代、ブルガリアでこんな暮らしをしてた人がいたっていうのは、おもしろかった。やっぱりたいへんだよね。でも、この作者はちょっと・・・。

ひるね:『イギリスはおいしい』(林望著 平凡社)も、そうだった! ずっとおもしろいと思って読んでたんだけど、最後にお墓まいりにいくところがあるのね。そこで、林家が学者の一族であることをひけらかしてるような一節があって、さーっと冷めちゃった。なーんだと思って、一気に嫌になったの。

ウンポコ:なんだか、他人の日記を読ませてもらったみたいな感じだよ。疑似体験できたのは、よかったけど。

ねむりねずみ:自分を語るっていうのは、難しいことよね。

(2000年09月の「子どもの本で言いたい放題」の記録)