『天国に近い村』
シンシア・ライラント/作 中村妙子/訳 ささめやゆき/画
偕成社 
2001.05
原題:THE HEAVENLY VILLAGE by Cynthia Rylant, 1999(アメリカ)

<版元語録>人が死んで天国に行く時、少しの間暮らす村がある。天国に行く準備ができていない人々が住む小さな村の物語。ニューベリー賞作家の描く、愛にあふれたファンタジー。

ウォンバット:この本は、ものがなしい気持ちになってしまいました。癒してくれようとしてるのかなと思いながら読んでたんですけど、でも結局報われることなく、最後は意地悪しているのかな? と思っちゃった。

オカリナ:天国というものが存在するって信じてる人にとっては、癒されるし報われるんじゃないかな。

ウォンバット:ふだんから天国に行きたいって思って暮らしてる人っていないと思うし、もともと、何かやり残したことがなんにもないって状態で死ぬ人なんていないと思うんです。ここに登場する人はみんな、死んでもやり残したことを埋め合わせようとしてるわけだけど、「もうこれでOK。私の人生、これで納得しました」と思えるようになる人はいなさそう。なんだか虚しくなっちゃって、これって皮肉なのかなとも思っちゃった。

モモンガ:私もそんなにおもしろいとは思わなかったな。同じ作者の『ヴァン・ゴッホ・カフェ』と似てて、訪れる人のエピソードをいくつか読めば、ぜんぶ読まなくてもいいって感じ。これも、癒しの本って思われてるのかな。

ウォンバット:えー? これで癒されますか? 思わせぶりなのにはずされたって感じがするけどな。

オカリナ:でもこの作家はキリスト教徒だから、その観点で見れば、そうかと思えるんじゃないの?

モモンガ:人間の想像力っていうことで考えると、キリスト教の人たちがみんな天国を信じてるっていうのもすごいわね。

オイラ:相当キリシタンでないと、だめだな。

オカリナ:癒し本というのがあるけど、私は、そんなにお手軽に癒されたりしない方がいいんじゃないかな、と思ってるの。

ウォンバット:どうも癒されたいって人が多いんですよね。どうして人々は癒されたいんでしょうね? 私、そもそも「癒し」っていう言葉、好きじゃない。ちょっと前すごく流行ったけど、いやな風潮だと思ってた。

オカリナ:癒し本なんていっても、ほのぼのする、とか、しみじみするっていうくらいのレベルなのよね。

紙魚:癒しって、本当はきちんと存在しているんですよ。けど、今私たちがかんたんに言葉にする癒しは、商品化された癒しですよね。

ウォンバット:ナンシー関が、「アロマテラピーとかいって匂いかいだぐらいで癒されるのは、疲れてるんじゃないよ」って言ってました。

(2001年10月の「子どもの本で言いたい放題」の記録)