『なっちゃんのなつ』をおすすめします。

なっちゃんという女の子が、河原や野原を歩いて、クズのつる、ひまわり、アオサギ、セイタカアワダチソウ、サルビア、オシロイバナ、雷雨、ガマの穂、ハンミョウなどの自然の生きものや現象に触れあいながら、夏を感じていく絵本。

夏独特の旺盛なエネルギーを感じさせる要素も多いが、セミの死骸、お盆のお墓参り、お供え流しなど、死や、あの世とのつながりを思わせる要素も入っている。

写実的ではないが、動植物の特徴をよく観察して活かしている絵がいい。会えなかった友だちと最後に会って一緒に遊ぶという流れも納得できる。

おもて表紙と裏表紙のつながりにも読者の想像力がふくらむ。

(産経新聞「産経児童出版文化賞・美術賞選評」2020年5月5日掲載)

キーワード:夏、自然、生と死