月: 2023年10月

『パッチワーク』表紙

パッチワーク

編集部で考えてくれたオビの言葉は、「すべての子どもたちへのあたたかなエール」。

小さいときに、「男だから青が似合うよね」「ダンスをするためにうまれてきたんだね」「ボール競技が得意だね」「いつも上の空じゃないか」「やさしすぎるんじゃないの」なんて言われ続けたとしても、それにとらわれなくてもいいのです。この絵本は、「みんなと同じでなくてもいいんだよ。今のまんまが続くと思わなくてもいいんだよ」と、詩的な言葉とすてきな絵で語りかけています。

きみがもっている音は、ひとつじゃない。
きみは、いろいろな音をだせる。
きみは、シンフォニーなのだ。
きみが行った場所、出会った人たち、
感じてきたこと、
それがみんな、きみの音や色になる。
きみは、ブルーでピンクで、さびしくて、うれしい。
時とともに集まったさまざまなものが
ぬいあわさって、
きみというパッチワークができていく。

と、デ・ラ・ペーニャは言い、最後は

わたしたちは、みんな美しいのだから。

という言葉で終わります。

(編集:松原あやかさん 装丁:高橋デザイン事務所)

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『ギゾギゾ!』表紙

ギゾギゾ!〜ゾンゴぬまのものがたり

ガーナで出版された絵本です。

もともとはIBBYのオナーリスト(世界の優良図書リスト)でこの絵本を知って、「世界の子どもの本展」の出版クラブでのオープニングのときにお披露目し、その後も動画で紹介したりしたら、目をとめてくださった犀の工房の方から、翻訳を頼まれました。

カメとカニとクモが主人公の、環境汚染をなんとかしようとする物語です。ウィリアムソンさんが開いたワークショップの中で出てきた子どもたちのアイデアを活かしてお話ができ、子どもたちが作ったキャラクターをもとに絵が描かれています。近くに実際にあるゾンゴ沼をなんとかきれいにしたいという子どもたちの気持ちがよくあらわれています。巻末にはワークショップの写真も載っています。

犀の工房さんは、小さい会社のようですが、一所懸命に本づくりをなさっています。

(編集:賀来治さん)

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『ティーカップ』表紙

ティーカップ

オーストラリアの絵本で、移民・難民をテーマにしています。最後の文がないところがいちばん大事なところなので、そこをちゃんと見てもらえるとうれしいです。移民・難民の人たちは自分が生まれ育った場所の文化をもって新たな天地にやってくるということが象徴的に表現されています。移民が多く多様な文化を受容してきたオーストラリアならではの絵本でもあり、今の世界が直面している問題についても語っていると思います。

IBBYのオナーリストにオーストラリアから推薦されて掲載されていた絵本で、絵がとてもいいのです。ただ原著はマットコート紙なのに、日本語版は上質紙なので、ちょっとそこがもったいなかったかな。

(編集:田村由記子さん 装丁:神波みさとさん)

『ティーカップ』本文絵

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