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『帰れ野生のロボット』表紙

帰れ 野生のロボット

『帰れ 野生のロボット』をおすすめします。

ロボットのロズは、無人島までやってきた追っ手に破壊されて人間社会に連行され、工場で修理される。その後ロズは普通のロボットを装って農場で働きながら、仲間の野生動物たちのもとへ帰るチャンスをうかがう。人間の子どもたちや養子のガンにも助けられてなんとか農場を脱出してからも、次々と困難に襲われる。ロズは無人島に帰れるのか? 擬人化されたロボットの冒険譚としておもしろく、近未来の人間についても考えさせられる。『野生のロボット』の続篇だが、これ1冊でもじゅうぶん楽しめる。
小学校中学年から。

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年6月26日掲載)

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『クリスマスのあかり』表紙

クリスマスのあかり〜チェコのイブのできごと

『クリスマスのあかり〜チェコのイブのできごと』をおすすめします。

1年生のフランタは、ひとりでランプを持って教会に行き、あかりをもらって帰る途中、近所の貧しいおじいさんに会う。おじいさんが亡き妻のお墓に捧げようとした花束が盗まれたと知ったフランタは、なんとかしようと考えをめぐらせる。子どもの細やかな心の動きを伝える文章に、チェコ在住の画家のあたたかい絵がついている。(小学校低学年から)

(朝日新聞「子どもの本棚」2018年11月24日掲載)


クリスマスイブに、1 年生の男の子フランタは手提げランプを持って、ひとりで教会に明かりをもらいに行く。そして帰る途中、近所の貧しいおじいさんが妻の墓に供えようと買った花束が盗まれたことを知り、なんとかしようと考える。トラブルもあるが、やさしい人びとにも出会い、フランタは、しょんぼりしていたおじいさんに花束をわたすことができた。幼い子どもの細やかな心の動きを伝える文章に、チェコ在住の画家のあたたかい絵がついた絵物語。

原作:チェコ/6歳から/クリスマス あかり プレゼント

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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キャサリン・ランデル『オオカミを森へ』

オオカミを森へ

『オオカミを森へ』をおすすめします。

舞台は20世紀初頭のロシア。貴族のペットだったオオカミを野生にもどす仕事をしていたマリーナは、暴君の将軍に従わず、逮捕監禁されてしまう。マリーナの娘のフェオは、兵士イリヤや革命家のアレクセイ、そして子どもたちやオオカミたちと共に、母を取り戻しに都へと向かう。くっきりしたイメージを追いながら楽しめる冒険物語。

(朝日新聞「子どもの本棚」2017年10月28日掲載)


舞台は20世紀初頭のロシア。貴族たちが飼えなくなったオオカミを野生に戻す「オオカミ預かり人」の仕事をしていたマリーナは、将軍に言いがかりをつけられて逮捕され、サンクトベテルブルクに連れ去られてしまう。人間よりオオカミを友だちとして育った、マリーナの娘フェオは、将軍の支配に疑問を持ったイリヤや、革命家のアレクセイ、そして大勢の子どもたちやオオカミと一緒に、母を取り戻しに都へと向かう。人物造形がくっきりしていて、ストーリーもおもしろい冒険物語。

原作:イギリス/10歳から/オオカミ ロシア 革命 子どもの戦い

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2018」より)

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ローレン・セントジョン『白いキリンを追って』さくまゆみこ訳

白いキリンを追って

南アフリカを舞台にしたフィクション。火事で両親をなくして、祖母と暮らすため南アフリカの鳥獣保護区にやってきた11歳のマーティーンは、白いキリンにまつわる不思議な伝説を耳にします。白いキリンは本当にいるのでしょうか? 密猟者との戦いや、マーティーンの出生の秘密もからむ、ドキドキハラハラの冒険物語です。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:山浦真一さん)

*SLA夏休みの本(緑陰図書)選定


ローレン・セントジョン『砂の上のイルカ』さくまゆみこ訳

砂の上のイルカ

『白いキリンを追って』の続編です。舞台は南部アフリカ。大移動するイワシの群れを追って、鳥、イルカ、サメ、アザラシ、クジラが乱舞するサーディン・ラン。主人公の少女マーティーンは、心にわだかまりを抱えたまま、学校の旅行で、このスペクタクルを見に行くことになりました。ところが、大嵐に見舞われて大揺れに揺れた船から落ちてしまいます。助けてくれたのは、なんとイルカでした! マーティーンは何人かの子どもたちと一緒に、謎の多い島に流れ着きます。イルカと子どもたちの結びつきを描いた冒険物語。
著者は、南部アフリカのローデシア(今のジンバブウェ)で生まれ、16歳まで野生動物と接しながら農場で育った女性です。
(装丁・タカハシデザイン室 編集・山浦真一さん)

*SLA夏休みの本(緑陰図書)選定