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ふしぎなボジャビのき〜アフリカのむかしばなし

ホフマイア再話 フロブラー絵『ふしぎなボジャビのき』さくまゆみこ訳
『ふしぎなボジャビのき〜アフリカのむかしばなし』
ダイアン・ホフマイアー再話 ピート・フロブラー絵 さくまゆみこ訳
光村教育図書
2013.05

南アフリカの絵本。アフリカの平原に飢饉が来て、動物たちはみんなおなかをすかせています。おいしそうな実のなる木を見つけたのですが、なんとそこには大きなヘビが巻き付いていて、木の名前をあてないと実を食べさせてくれません。その名前を知っているのは、サバンナの王さまのライオンだけ。そこで動物の代表がライオンのところに出かけ、木の名前を聞いてくるのですが、いつも帰る途中でほかのことを考えたり、転んだりして、名前を忘れてしまいます。そこに登場するのは、小さくても賢いカメです。再話も絵も、南アフリカで生まれ育った人たちです。
(編集:吉崎麻有子さん 装丁・書き文字:森枝雄司さん)

*厚生労働省:社会保障審議会推薦 児童福祉文化財(子どもたちに読んでほしい本)選定

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<紹介記事>

・「女性のひろば」2013年11月号

 

・「朝日小学生新聞」2013年10月5日


炎の鎖をつないで〜南アフリカの子どもたち

『炎の鎖をつないで〜南アフリカの子どもたち』
ビヴァリー・ナイドゥー/著 さくまゆみこ/訳
偕成社
1997.07

南アフリカで行われていたアパルトヘイトの実態を15歳の少女の目を通して描いています。暮らしていた土地から不毛の地へ強制移住を命じられた村の人々の反応、抗議に立ち上がった子どもたちへの仕打ち……。南アフリカで生まれ育ち、学生時代にアパルトヘイトに抗議して亡命を余儀なくされた著者だけに、描写はリアルです。
アパルトヘイトの中で人々がどのように思い、行動し始めるようになったのか、その揺れる心持ちを知ることができる物語です。歴史的事実の裏には、必ず無名の多くの人の思いがあふれているのだということわかってきます。原書は古い(1989年)のですが、後書きでそれ以降の南アフリカの状況を補足しました。
著者のビヴァリー・ナイドゥーさんとは、南アフリカのケープタウンで「子どもの本の世界大会」があったとき、お目にかかってお話をすることができました。

(編集:家井雪子さん 挿絵:伏原納知子さん)


白いキリンを追って

ローレン・セントジョン『白いキリンを追って』さくまゆみこ訳
『白いキリンを追って』
ローレン・セントジョン著 デイヴィッド・ディーン絵 さくまゆみこ訳
あすなろ書房
2007.12

南アフリカを舞台にしたフィクション。火事で両親をなくして、祖母と暮らすため南アフリカの鳥獣保護区にやってきた11歳のマーティーンは、白いキリンにまつわる不思議な伝説を耳にします。白いキリンは本当にいるのでしょうか? 密猟者との戦いや、マーティーンの出生の秘密もからむ、ドキドキハラハラの冒険物語です。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:山浦真一さん)

*SLA夏休みの本(緑陰図書)選定


カマキリと月〜南アフリカの八つのお話

マーグリート・ポーランド『カマキリと月:南アフリカの八つのお話』さくまゆみこ訳
『カマキリと月〜南アフリカの八つのお話』
マーグリート・ポーランド著 さくまゆみこ訳
福音館書店(福音館文庫F-11)
2004.04

南アフリカのフィクション。南アフリカに古くから住んでいる人々の世界観や宇宙観をよりどころにして書かれた、八つの動物ものがたり。主人公の動物たちが、自然の中でいとなむ暮らしや冒険の物語には、私たちを深いところから元気にしてくれる優しい力があふれています。以前単行本で出ていた作品の、文庫での再刊です。
(絵:リー・ヴォイトさん 装丁:辻村益朗+大野隆介さん 編集:松本徹さん)

*パーシー・フィッツパトリック青少年文学賞(南アフリカ)受賞
*産経児童出版文化賞受賞


路上のストライカー

マイケル・ウィリアムズ『路上のストライカー』さくまゆみこ訳
『路上のストライカー』
マイケル・ウィリアムズ著 さくまゆみこ訳
岩波書店
2013.12

南アフリカのフィクション。故郷のジンバブエの村で家族や友人を虐殺されたデオは、障碍を持つ兄のイノセントと一緒に逃げて、なんとか南アフリカにたどりつきます。でも、そこで遭遇したのは、外国人憎悪に駆られた人たちのヘイトスピーチと暴力。失意の底にあってシンナーに溺れていたデオを救ったのは、ホームレスのためのサッカーでした。ホームレス・ワールドカップという国際大会があるのを、私はこの本で知りました。切ないけど、勇気をもらえる作品です。著者は南アフリカ人。
(編集:須藤建さん)

*カーカスレビュー・ベストブック、ALAベスト・フィクション・ブック
*青少年読書感想文全国コンクールの課題図書(高校生)


ネルソン・マンデラ

カディール・ネルソン作 さくまゆみこ訳 『ネルソン・マンデラ』
『ネルソン・マンデラ』
カディール・ネルソン文・絵 さくまゆみこ訳
鈴木出版
2014.02

アメリカのノンフィクション絵本。作者は、アフリカ系アメリカ人のカディール・ネルソンで、私が大好きな画家さんなのですが、文章を読んでみると、小アパルトヘイトの側面しか描かれていない(白人専用だった海岸に黒人も入れるようになったから解決したというような)ように思い、政治・経済の巧妙なシステムの一環だったという点も、できたらちゃんと示唆しておきたいと思いました。そこで、原著出版社に許可をもらって、後書きにその部分にも触れさせてもらいました。絵本を読むような子ども向けにアパルトヘイトについて語るのは、なかなか難しいことでした。

マンデラさんのもともとの名前はRolihlahla。ネルソンは、学校の先生につけられた呼び名です。もともとの名前はコーサ語なのでクリック音が入っているのでしょう。これをどう表記すればいいか、悩みました。自伝の『自由への長い道』には、ロリシュラシュラと書いてあるのですが、ウィキペディアなどではホリシャシャ。お葬式の時に孫息子が話しているのを聞くと、ホリシャシャのほうが近い。それで、私は最初ホリシャシャにしていたのですが、途中で南ア大使館にきいてみることを思いつきました。大使館からの返事は、ロリシュラシュラ。音で聞くとそうは聞こえないのですが、大使館の言うとおりに表記することになりました。また自伝の中に書いてあることと、マンデラ・ファウンデーションが述べている事実にも違いがあり、何が本当なのかつきとめるのは大変でした。

もちろん、アパルトヘイトでさんざんに歪められた南アフリカは、ひとりの英雄が簡単にひっくり返せるようなものではありません。2004年に私が訪れたときも、改善された部分より変わっていない部分のほうがまだまだ多いと思ったものです。それでも、マンデラさんが怨みではなく赦しを掲げて様々な肌の色の人たちが強調して生きていける国を目指したこと、自分の政治的な立場にこだわることなく、民衆の側に立って正しいと思えることは言おうとしていたこと(女性の問題、エイズの問題を含め)は、多くの人々に力をあたえました。マンデラさんのバトンを受けて、その先へと歩き続ける人たちが、これからも世界中に現れるはずです。
(編集:波賀稔さん)

*コレッタ・スコット・キング賞銀賞受賞

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<紹介記事>

・「読売新聞」2014年4月7日夕刊

 

・「月刊児童文学翻訳」No.157(2014年6月号)

 

●注目の本(邦訳絵本)●人種の融和を成し遂げた南アフリカの父
『ネルソン・マンデラ』 カディール・ネルソン文・絵/さくまゆみこ訳
鈴木出版 定価1,900円(本体) 2014.02 38ページ ISBN 978-4790252771
"Nelson Mandela" by Kadir Nelson
HarperCollins Children’s Books, 2013

南アフリカの黒人が入植者に奪われたものは土地と自由。本書は、すべての国民に自由を取り戻す闘いを続けたネルソン・マンデラの伝記絵本だ。
ネルソン・マンデラはクヌ村で幸せな子ども時代を過ごした。9歳で父が亡くなり、預けられた遠方の親戚のもとで、黒人が背負ってきた悲しい歴史を知る。そして、不当な扱いを受ける黒人を守るために、より一層勉学に励み弁護士となるも、法律だけではかなわぬことから、アパルトヘイト撤廃の活動へ身を投じる。抗議デモや集会を組織する彼を政府は逮捕した。獄中生活は長く厳しいものだった。しかし、政府は国際世論の非難を受けてアパルトヘイト撤廃へと方針を変え、投獄から27年を経てようやく彼を釈放した。そして彼は、全人種選挙で大統領に選ばれた。
不屈の精神で非凡な人生を送ったネルソン・マンデラを、作者は平易な言葉と力強い絵で描き出す。人物や背景に、太い線と艶を消した色を使うことで、絵はより本質に迫り、時代色まで描写する。私が特に心を引かれたのは、冒頭の場面だ。クヌ村の丘陵を、逆光と影の黒色を用いて描き、幸せな子ども時代が長く続かないことを予感させる。次のページでは、父の死を語る文章と、厳しい表情で見つめ合う母子の絵で、身を切るほどの悲しみを表す。父から受け継いだ民族の誇りと、「ゆうきを出すんだよ」と別れを告げた母の言葉が、彼の原点だと感じた。類いまれなる統率力と高潔な人格をもって信念を貫き、彼は、「アマンドラ(力を)」の合言葉で民衆の心を1つにまとめ、大統領に選ばれた。人種差別のない社会への幕開けだ。作者は晴れ渡る空を背にした彼を描き、天にいる先祖も国民も世界も南アフリカを祝福したと語る。その青天には、この日を待たずに命を落とした多くの仲間やその家族も、先祖として描かれているように思えた。
読み終えて、表紙いっぱいに描かれたネルソン・マンデラの肖像画に見入った。その背後にある彼の歴史。そして彼の視線の先に広がる未来。見つめられている私たちは彼にとっての未来だ。その瞳が読者に真っすぐに問いかけてくる。人間は平等だ、君は、差別を許さない勇気を持っているかと。長く読み継がれてほしい作品だ。(三好美香)
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