タグ: 幼年童話

「草のふえをならしたら』表紙

草のふえをならしたら

『草のふえをならしたら』をおすすめします。

まこちゃんがブイブイッとネギのふえを鳴らしたら、ブタがひょっこり顔を出す。ともくんが笹の葉をビブーッと鳴らすと、タヌキがおしょうゆの注文をとりにくる。すみれ組の子どもたちは桜の花びらでぴーっぴーっ、たえちゃんはカラスノエンドウのさやでプピッ、あっちゃんはドングリのふえをほーっ……野原や森でつんだ草や実や葉っぱを鳴らすと何かが起こって、子どもたちはウサギやキツネやアオバズクやカエルたちと不思議な世界に入り込む。
草笛をじょうずに鳴らすには練習も必要。自然とうまく付き合うのも同じ。でも、こんなに楽しいことが起こるならやってみたいな、と思わせてくれる八つのお話に、ゆかいな絵もいっぱい入っているよ。小学校低学年から(さくまゆみこ)

(朝日新聞「子どもの本棚」2022年5月28日掲載)

Comment

ジェフ・ブラウン文 トミー・ウンゲラー絵『ぺちゃんこスタンレー』さくまゆみこ訳

ぺちゃんこスタンレー

ユーモアたっぷりの物語。ある日、目が覚めるとスタンレーは厚さ1.3センチのぺちゃんこになってしまっていました。さあ、どうする? でも、スタンレーはその薄さでなければできないことを次々にやっていくのです。そのあたりが、とても楽しい。昔イギリスにいたとき、下宿先の子どもたち3人に読んであげると、年齢もちがう3人が3人ともげらげら笑いながら大喜びした絵物語。ウンゲラーの絵もとっても味があっておもしろいんです。いくつか出版社に持ち込んだけど断られて、やっとあすなろで出してくれました。でも、もう何度も刷を重ねています。
(編集:山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『クツカタッポと三つのねがいごと』さくまゆみこ訳

クツカタッポと三つのねがいごと

オーストラリアの絵物語。ハツカネズミを主人公にしたシリーズの2巻目で、チュウチュウ通り2番地に住む古道具屋のクツカタッポが主人公です。クツカタッポというのは、仕事に夢中になるとぼうっとなってしまい、靴の片方をいつもなくしているからです。さて、クツカタッポは旅先で不思議な青いビンを見つけます。このビンを持ち帰って洗ってきれいにしていると、ビンの中からはなんと太ったネズミがあらわれて、願いをかなえてくれるというのです。ストーリーは、昔話の「三つの願い」を下敷きにしていますが、クツカタッポが願ったのは、お金でも物でもありませんでした。ユーモアたっぷりのお話です。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『スタンプに来た手紙』さくまゆみこ訳

スタンプに来た手紙

オーストラリアの絵物語。いよいよ「チュウチュウ通りのゆかいななかまたち」シリーズの最終刊! 10番地に住んでいる郵便屋さんのスタンプが主人公です。ほかのネズミたちにいつも郵便を配達しているスタンプは、ある日、自分にはちっとも手紙が来ないことに気づいて、ペンフレンドがほしいと思います。ところが・・・。ストーリーがおもしろいだけでなく、生きる喜びについても作者は子どもたちに伝えようとしているようです。
(装丁・タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『セーラと宝の地図』さくまゆみこ訳

セーラと宝の地図

オーストラリアの絵物語。チュウチュウ通り9番地に住んでいるのは船をつくる仕事をしているセーラ。ある日、郵便屋さんのスタンプが宝の島の地図を発見し、セーラといっしょに宝探しに出かけていきます。でも、海賊につかまってしまい、もう少しで海に沈められそうになりますが・・・。いつも思いますが、ロッダさんはすばらしいストーリーテラーですね。幼年童話をこんなにおもしろく書けるなんて、みごとです。
(装丁・タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『マージともう一ぴきのマージ』さくまゆみこ訳

マージともう一ぴきのマージ

オーストラリアの絵物語。チュウチュウ通りの8番地には、ちょっとドジな魔術師のマージが住んでいます。ある日、ふたごの呪文を唱えると分身があらわれて、マージが2匹に! でも、後から出てきたマージ2号は何をやってもうまくできるのです。落ちこんだマージは家出をしようと思ったのですが・・・。またまた意外な展開になっていきます。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『チャイブとしあわせのおかし』さくまゆみこ訳

チャイブとしあわせのおかし

オーストラリアの絵物語。チュウチュウ通りの5番地には、ケーキ屋さんのチャイブが住んでいて、ネコイラン町いちばんのおいしいケーキをつくっています。ところが、ある日出世した昔の友だちに出会ったことから、チャイブは、自分も生き方を変えてもっとおもしろいネズミにならなくては、と思いつめてしまいます。そして、慣れない仕事に挑戦してみるのですが、どれもうまくいきません。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『レインボーとふしぎな絵』さくまゆみこ訳

レインボーとふしぎな絵

オーストラリアの絵物語。チュウチュウ通り4番地に住むレインボーは、売れっ子ではないけれど、絵を描くのが大好きな画家です。ある日、レインボーのところに老ネズミホームの経営者から手紙が届きます。その手紙には、ホームに飾るための、大きくて楽しい絵を持ってきてほしいと書いてありました。でも、行ってみると、有名な画家たちも自分の絵を持ってきていました。エミリー・ロッダの楽しいお話です。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『フィーフィーのすてきな夏休み』さくまゆみこ訳

フィーフィーのすてきな夏休み

オーストラリアの絵物語。大好評の「チュウチュウ通りのゆかいななかまたち」シリーズの第3作。今度は子だくさんのお母さんネズミが主人公。なにしろ子どもが14匹もいて、フィーフィーは毎日大忙し。え、お父さんはって? お父さんは船乗りでたいてい海に出ているのです。そんなお母さんのために、子どもたちは夏休みをプレゼントしようと考えるのですが・・・たしろさんの絵もかわいいし、ロッダさんはほんとにお話を作るのがじょうずですね。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『レトロと謎のボロ車』さくまゆみこ訳

レトロと謎のボロ車

オーストラリアの絵物語。チュウチュウ通り7番地のレトロは、車の修理屋さん。夢の車サンダーバードを手に入れようとチーズをためています。ある日、そのレトロに助けを求める手紙が届きます。行ってみたレトロは、ボロ車をおしつけられたあげくに、盗難にあうというさんざんな目に。この巻も、チュウチュウ通りのあったかい仲間たちがすてきです。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『クイックと魔法のスティック』さくまゆみこ訳

クイックと魔法のスティック

オーストラリアの絵物語。チュウチュウ通りの6番地で暮らすのはクイック。「チーチーチックス」というガールズ・バンドのドラマーです。森の中で穴に落ちたおばあさんを助けたところ、おばあさんはドラムスティックに魔法をかけてくれます。すると、前よりずっとうまくドラムがたたけるようになったクイックは一躍スターに! でも、金もうけしか考えないやつが、ネズミの世界にもいるんですよね。ある日、レックス・サギシーというネズミがあわわれて・・・。最後のお話のまとめ方に、ロッダさんの価値観がきっちりあらわれています。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)


エミリー・ロッダ『ゴインキョとチーズどろぼう』さくまゆみこ訳

ゴインキョとチーズどろぼう

オーストラリアの絵物語。といっても絵のほうは日本人のたしろさんに描いていただいています。原書の絵がイマイチだったからです。ロッダさんが来日なさったとき、このシリーズのことを聞いて、出るのを楽しみにしていました。
チュウチュウ通りは、ハツカネズミたちの住むネコイラン町にあります。そこには1番地から10番地まで、10軒の家が建っていて、気のいい仲間が住んでいます。シリーズは、このチュウチュウ通りの住民たちを1匹ずつフィーチャーしていきます。
この1作目は1番地に住む老ネズミの「ゴインキョ」が主人公。ゴインキョは黄金にかがやくチーズをいっぱい持っています。でも、そのチーズをねらう泥棒がやってくるのです。
ストーリーテラーとしてのロッダさんの技量ががすばらしいと思います。ストーリーがおもしろいだけじゃなくて、ちょっと考えさせられるし。どの見開きにもかわいい絵がついているので、小学校低学年の子どもたちから読んでもらえます。
(装丁:タカハシデザイン室 編集:吉田亮子さん、山浦真一さん)

*厚労省児童福祉文化財選定