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『ダイエット幻想』表紙

ダイエット幻想~やせること、愛されること

『ダイエット幻想』(NF)をおすすめします。

やせるためのダイエット法はさまざまなものが喧伝されているが、本書は、それを非難したり批判したりするものではない。文化人類学者である著者は、女性が「やせた」とか「かわいい」とか思われたくてダイエットに励むという状況の裏側に何があるのかをさぐっていく。そこからは、女性に子どもっぽさを求める日本の社会、「選ばれる性」「愛される側」にとどまる女性、頭にためこんだ知識にとらわれて生きる力を失ってしまう現代人など、さまざまな問題点が浮き彫りになってくる。例も豊富でわかりやすい。

13歳から/ダイエット 愛 かわいさ 摂食障害

 

Diet Fantasies: Lose Weight, Be Loved

The world is full of diet methods that come and go. This book does not negate or critique them; rather, the author, a cultural anthropologist, considers why Japanese women are encouraged to diet, thinking that they want to “slim down” or “be cute.” What is behind this? Japanese society’s fixation on childlike women; the tendency to see women as passive, “chosen” (or not) or “loved” (or not); the loss of power to live when eating based on facts accumulated in one’s head. Many issues come up with plentiful examples, all presented in understandable text. (Sakuma)

  • text: Isono, Maho | illus. Harada, Arisa
  • Chikuma Shobo
  • 2019
  • 224 pages
  • 18×11
  • ISBN 9784480683618
  • Age 13 +

Diet, Love, Cuteness, Eating disorders

(JBBY「おすすめ!日本の子どもの本2021」より)

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ライナー・チムニク作・絵 上田真而子訳『熊とにんげん』徳間書店

熊とにんげん

『熊と人間』をおすすめします。

喜びと美しさと悲しみがたっぷりつまった絵物語。主人公は、踊る熊と、熊と一緒に旅をする「熊おじさん」。おじさんはお手玉の名手で、熊にお話を聞かせ、季節の変化を楽しみ、角笛で澄んだ音を奏でる。

心に響く名訳で、人間が生きるうえで必要なものは何かを考えさせてくれる。

(朝日新聞「子どもの本棚」2018年2月24日掲載)


旅芸人の「熊おじさん」はお手玉の名手で、手回しオルガンのメロディに合わせて熊が踊るのも見せながら、村から村へと旅をし続けていた。おじさんは相棒の熊をこよなく愛し、熊の言葉がわかり、季節の変化を楽しみ、澄んだ音を角笛で吹いた。心に響く名訳で、人間が生きるのに本当に必要なものは何かを読者に気づかせてくれる、喜びと美しさと愛と哀しみがたっぷりつまった絵物語。1982 年に翻訳出版されたチムニクのデビュー作が、出版社をかえて復刊された。

原作:ドイツ/10歳から/クマ 旅芸人 愛

(JBBY「おすすめ!世界の子どもの本 2019」より)

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ジョン・ウォレス文 ハリー・ホース絵『なんだってしてあげるよ』さくまゆみこ訳

なんだってしてあげるよ

小さなクマのチャーリーと大きなクマのジンジャーが登場する愛の物語。原書では両方ともheですが、この2匹はどういう関係なのでしょう。お父さんと息子? それともおじいちゃんと孫かな? それとも年の離れた友だち? もしかするとチャーリーはみなしご? いろいろに想像できます。おやすみなさいの絵本でもあります。
(装丁:田辺卓さん 編集:山浦真一さん)


バオバブの木と星の歌〜アフリカの少女の物語

アフリカ南部のナミビアに暮らす先住民サン人(昔はブッシュマンと呼ばれていた)の少女ビーが主人公です。サンの人たちはいつも自然と調和して暮らし、空の星の歌も、木のささやきも、小鳥の歌も聴き取ってきました。
著者のレスリー・ビークは、私も南アフリカのケープタウンでお目にかかり、親しくお話をさせていただきましたが、サンの人たちの文化を伝えるためのサポートをしていて、そのような物語もたくさん書いています。この作品は、カラハリ砂漠を舞台にした、死と愛と再生の物語です。主人公のビーは、一度は苦しい体験にうちのめされて自殺しようとしますが、やがてそれを乗り越えて生きていきます。ほかにも故郷を失った祖父、深い悲しみを抱える母、新しい未来を夢見るクー、貧しい白人の農場主や精神を病むその妻など、さまざまな人間模様を浮かび上がらせています。
サンの人たちの言葉の発音については、京都大学アフリカ地域研究センターの当時の所長田中二郎先生にご教示いただきました。
(編集:松木近司さん)

*産経児童出版文化賞推薦