月: 2022年2月

わたしたちもジャックもガイもみんなホームレス〜 ふたつでひとつのマザーグースえほん

ホームレス,病気,飢饉,エイズなどの社会問題に目を向け,マザーグースの詩にのせて展開する,不思議な魅力のファンタジー絵本。 (日本児童図書出版協会)

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ダチョウのくびはなぜながい? 〜 アフリカのむかしばなし

昔むかし,首の短いダチョウがワニに虫歯の治療をたのまれて……。ケニヤに伝わる昔話を,カルデコット賞に輝くコンビが絵本化。 (日本児童図書出版協会)

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白雪姫と七人の小人たち (改訂版)

有名なグリム童話の絵本決定版。画家のひたむきな努力が実をむすび,物語の雰囲気をよく伝えています。格調の高い作品です。 (日本児童図書出版協会)

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マーヤのやさいばたけ

自然とは親しい友だちのマーヤが,畑でいろいろな野菜をつくり,それを使って,お料理をしたり,パーティーを開いたりします。 (日本児童図書出版協会)

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せかいいち大きな女の子のものがたり

大きなアンジェリカは,村人を困らせていた大クマを退治します。木を削った薄い板にダイナッミックに描かれた,底抜けに愉快なお話。 (日本児童図書出版協会)

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マーヤの春・夏・秋・冬

マーヤは,四季それぞれに身の回りの鳥や木や花や虫を観察して,おもしろいことをたくさん発見する。絵も文も楽しい自然観察の本。 (日本児童図書出版協会)

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小さな魚(改訂版)

第2次大戦末期,荒れはてたイタリアを舞台に,孤児たちがたくましく生きていく姿を描く反戦文学の改訳新装版。 (日本児童図書出版協会)

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おじいちゃんとのクリスマス

祖母が死んでひとりになった祖父と、クリスマスをすごすためにプラハに来たトマス。ごちそうにするコイがかわいくなり「食べるのはイヤ」と思ったトマスを、祖父の温かい心がつつみます。(Bookデータベース)

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くまくんはなんでもしりたい!

1995-09好奇心いっぱいのかわいいくまくんと一緒に時間や数や色のことを勉強したり,まちがいさがしや反対さがしのクイズで遊ぶ絵本。 (日本児童図書出版協会)

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いちねんのりんご

丘の上のリンゴの木には,12色の実がなります。新しい月が来るたびに一つ実が落ちて割れ,雪だるま,お姫様へと変身します。 (日本児童図書出版協会)

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わたしのだいすきなふねは…

小さなボートから大きな海を渡っていく客船まで,様々な船を力強いダイナミックな絵で紹介。何度でも見たくなる楽しい絵本。 (日本児童図書出版協会)

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わたしのだいすきなどうぶつは…

犬,にわとり,馬,牛,ねこ,ぶた……。子どもたちがよく知っている動物たちを迫力満点のダイナミックな絵で表現した絵本。 (日本児童図書出版協会)

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顔のない男

女ばかりの家族の中で孤立し悩む14才の少年。夏の日,顔半分に火傷を負った男と出会い,現実を直視し愛を恐れずに生きることを知る。 (日本児童図書出版協会)

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もうおふろにはいるじかん?

おふろに入るのは,ちょっと苦手かな? でもオオカミの子が眠りにつくまでのお父さんとの楽しいやりとりを見れば,もう大丈夫! (日本児童図書出版協会)

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いいこってどんなこ?

小さなうさぎの男の子とお母さんとの間のやりとりで展開する絵本。不安を抱えた幼い子をあたたかく包みこむお母さんがすてき。 (日本児童図書出版協会)

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ラクソーとニムの家ねずみ

自分たちの巣をダムから守るため,ねずみたちはコンピュータを利用することに…。父の遺稿を娘が引き継いだ,シリーズ第2弾。 (日本児童図書出版協会)

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くつくつどんなくつ?

ボタンの靴,ひもの靴,ゴム長靴にスケート靴…。靴がいっぱい出てくる楽しい絵本。中でも一番いいのは何でしょう? (日本児童図書出版協会)

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やんちゃねこのセビー

やんちゃな子ねこのセビーが,初めてひとりで家の外に出て,いろいろな動物と出会いながら農場を見て回ります。穴あきミニ絵本。 (日本児童図書出版協会)

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セビーのぼうけん

遊び相手がほしい子ねこのセビーは,農場の動物たちを次々にたずね,そのたびにびっくりしたり怖くなったり。穴あきミニ絵本。 (日本児童図書出版協会)

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3びきのかわいいオオカミ

お話はちょうど『3びきのこぶた』の逆で,無邪気なオオカミが悪い大ブタにいじめられます。昔話をしのぐ,現代的な動物寓話。 (日本児童図書出版協会)

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パンはころころ〜ロシアのものがたり(改訂版)

ころんころんところがり出たパンは,いろいろな動物からねらわれますがうまく逃げるので大丈夫。得意になってキツネの鼻へ……。 (日本児童図書出版協会)

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星のふる夜に

国際的に名声の高い日本画家が,小鹿の一夜の冒険を美しく表現しました。文字のない,絵の力が強く語りかける絵本。 (日本児童図書出版協会)

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よるの森のひみつ 〜スイス南部の昔話より

南スイスの昔話をもとにした現代版「こぶとり」の物語絵本。動物や植物と仲良くすることの大切さを,美しい絵で表現しています。 (日本児童図書出版協会)

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氷河ねずみの毛皮

極北へ向かう夜汽車を舞台に,自然界における「とるもの,とられるもの」の関係を描いた物語。新進気鋭の画家による幻想的な絵本。 (日本児童図書出版協会)

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月の姫

竹から生まれ,天上界と地上界の間で揺れ動く姫の心情を,大胆な墨の色と勢いのある日本画で表現した,力強く美しい絵本。 (日本児童図書出版協会)

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ロージー、はがぬける

ロージーの歯が抜けました。でも,ロージーは,歯の妖精にあげたくありません。子どもの成長をあたたかくとらえたシリーズ2作目。 (日本児童図書出版協会)

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ロージー、いえでをする

うさぎのロージーはママとお菓子をつくりたいのに,ママは弟のマットをかまってばかり。ロージーは家出をすることにしました。 (日本児童図書出版協会)

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ごちそうさまのなつ

野菜畑にはごちそうがいっぱい。天真爛漫なウサギの一家と人間の夫婦の知恵くらべ。ユーモアあふれる楽しい絵本。 (日本児童図書出版協会)

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モグラのイーニーがみつけたもの

まっ暗な深い穴の底に住むモグラの三姉妹。末のイーニーは,地面の上にすてきなものがあると聞き,それを探す冒険にでかけます。 (日本児童図書出版協会)

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おじいちゃんのはたけ

おじいちゃんのはたけには,いつも野菜や果物がいっぱい。はたけの作物を通して四季の移り変わりを鮮やかに描いた絵本です。 (日本児童図書出版協会)

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イングリッド・メンネン&ニキ・ダリー文 ニコラース・マリッツ絵『ぼくのアフリカ』

ぼくのアフリカ

南アフリカの反アパルトヘイト出版社の出した絵本の翻訳。男の子が自分の住んでいる街を紹介する。力強い絵が素晴しい。 (日本児童図書出版協会)

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もりのともだち

春になり,氷の家がとけてしまうと,きつねは野うさぎの家を占領してしまいました。それを聞いた森の動物たちは……。 (日本児童図書出版協会)

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妖精事典

ケルト圏を含む英国諸島や西欧に伝わる妖精約400種が登場。妖精や妖怪との遭遇体験など読んでおもしろい話がいっぱい。超自然的存在に魅せられた詩人や作家や研究者の評伝も豊富。伝承にあらわれる妖精との交際法や妖怪を避ける方法を紹介。(Bookデータベース)

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バタシー城の悪者たち

画学生サイモンの下宿先は,王の暗殺をたくらむ一味のすみかだった。大冒険のすえ,悪者たちをやっつけるゆかいな物語。 (日本児童図書出版協会)

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サンタのおまじない

けんちゃんに届いたプレゼントは,大嫌いな野菜のつめあわせ。でも,おまじないを唱えると,切り絵のマジックで野菜が変身! (日本児童図書出版協会)

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やさいをそだてよう

無農薬で生態系を大事にしながら野菜を作る,子供のための園芸書。生命をいつくしみ,身の回りの環境に目を向ける力を養います。 (日本児童図書出版協会)

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ねこのタビサ

猫から見ると,人間の暮らしはどんなふうに見えるでしょうか? 子猫のタビサが母猫になるまでを描く絵物語。猫好きの方へ。 (日本児童図書出版協会)

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じめんのしたのなかまたち

北風が吹きあれ,雪がふりしきる季節に,地面の下はどうなっているのでしょう? 冬ごもりする虫たちの暮らしを描いた美しい絵本。 (日本児童図書出版協会)

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ちいさなおうさま

浜辺のお城に小さな王様が住んでいました。王様はひとりぼっちでさびしかったが、猫がきたり、隣人がふえたりして楽しくなる。メルヘン的な絵。 (日本図書館協会) ブラティスラヴァ世界絵本原画展グランプリ( 1987)受賞作。

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ぬすまれた湖

ダイドーが、またもやふしぎな事件に遭遇。湖をとりもどしてほしいと依頼してきたのはなんと1300歳になるアーサー王の王妃さま。小学校高学年からおとなまで。(Bookデータベース)

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ケティのはるかな旅

アメリカの西部開拓時代に生きた一人の少女ケティ。新しい土地へ移住する旅の程で様々な事件に出会いながらケティは成長する。 (日本児童図書出版協会)

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からすのかーさんへびたいじ

かのハクスリーの書いた唯一の子どもの本。からすの夫婦が,いつも卵を盗みにくるへびを退治するまでの愉快な絵物語。 (日本児童図書出版協会)

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おいしいものつくろう

料理は初めてという小さなお子さまにもかんたんに作れます。火も包丁も使わないおやつやジュースまで。 (日本児童図書出版協会)

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『にげだしたまじょ』表紙

にげだしたまじょ

777歳になる魔女のペタンコアンヨは、呪文に失敗しては、そのたびに自分の足が大きくなって、くさっていました。少女二キとのお話。 (日本図書館協会)

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うっかりまじょとちちんぷい

どじな魔女の見習いとなった,ちちんぷいは子供たちの味方をして,やがて天使になります。 (日本児童図書出版協会)

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ふふふんへへへんぽん! 〜 もっといいこときっとある

むく犬ジェニーは,何不自由のない暮らしに退屈し,”もっといいこと”をさがして旅に出ました。さてジェニーが見つけたものは? (日本児童図書出版協会)

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びっくりどうぶつえん

子どもたちの大好きなクイズや数あて,まちがいさがしなどがいっぱい載った動物絵本。動物の生態や姿なども知ることができます。 (日本児童図書出版協会)

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かみとあそぼう

1枚の紙とハサミとのり,動物やお面かわいい箱やとび出すカード43種類の紙工作を,型紙つきで紹介します。 (日本児童図書出版協会)

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ノアの箱船に乗ったのは?

『旧約聖書』にでてくるノアの箱舟の話をもとにした長編小説。時代を古代エジプト第6王朝(約4000年前)の頃に設定し、ノアをはじめ登場人物は人間的に描かれている。 (日本図書館協会)

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遠い日の歌がきこえる

キャトリーナとトビー、ミランダはイギリス諸島の一つで休みをすごすことになった。島の中の冒険、浜辺に棲むアザラシたち等、自然を通して成長していく若者達を描く。 (日本図書館協会)

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サンゴしょうのひみつ

1982年にニュージーランド最優秀児童文学賞を受賞した小説。耳と口の不自由なジョナシはサンゴ礁で不思議な白い亀に出会う。少年と亀の間に芽生えた愛の物語。 (日本図書館協会)

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ふしぎなどうぶつえん

迷路,かくし絵,数あて,まちがいさがし……子どもたちの大好きな遊びやクイズがいっぱいの動物絵本です。 (日本児童図書出版協会)

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いい子になれっていわないで

ジャンは,勉強はできないし,お行儀も悪い。先生や親の期待する”いい子”からはほど遠い。でもジャンは,車が大好きだった。 (日本児童図書出版協会)

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セロひきのゴーシュ

おなじみの若き音楽家と動物たちの交流の物語を,「私もひとりのゴーシュだ」と言う司修が,思いをこめて描いた力作です。 (日本児童図書出版協会)

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ふしぎな子

ツヴェルガーのデビュー作。

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まよなかのパーティー〜ピアス短篇集

美しい自然を背景に,ゆれ動く子どもの心の情景を描き,現実と幻想の接点をさぐる,すばらしい短篇集。 (日本児童図書出版協会)

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鳴りひびく鐘の時代に

鐘の鳴りひびく北欧中世の暗い時代に,自分らしい生き方を探しもとめた若き王。生きることの意味を問いかけるファンタジー。 (日本児童図書出版協会)

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シュゼットとニコラ6〜あめふりつづき

一週間のお休みというのに、日曜日から土曜日まで雨ばかり。でも、オーケストラごっこをしたり、かくれんぼをしたり、かそうパーティをしたりします。 (日本図書館協会)

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七わのからす

かしこくて勇敢な女の子が,からすになった七人の兄さんたちを助けだすというグリムの有名な話に,美しい絵がつきました。 (日本児童図書出版協会)

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いっとうのいぎりすのおうし

にひきのにたものがえる、さんとうのさけのみとら、よんわのよくばりぺんぎん、ごひきのごきげんなわに、などで12までの数を数える。言葉遊びも含む。 (日本図書館協会)

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ことりのオデット

一羽の小鳥が、辻音楽師のおじいさんと仲よく一緒に暮らしていました。でも秋になると、小鳥は暖かい国へ飛んでいかなければなりません・・・。 (日本図書館協会)

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もしもまほうがつかえたら

ある日,屋根裏で見つかった本には,魔法の呪文が書いてありました。ジャックはこの本を使って大人への復讐を考えます。 (日本児童図書出版協会)

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なめとこ山のくま

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賢者のおくりもの

クリスマスのプレゼントを買いたくて,おたがいに自分のいちばん大切なものを手放してしまう若く貧しい夫婦の心を打つ愛の絵物語。 (日本児童図書出版協会)

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ウィルソン文 市川里美絵『メリークリスマス』さくまゆみこ訳 冨山房

メリークリスマス 〜 世界の子どものクリスマス

子どもたちが心待ちにしているクリスマスって一体何なのでしょう? 他の国では,どんなお祝いをしているのでしょう? (日本児童図書出版協会)

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ねずみのウーくん 〜いぬとねことねずみとくつやさんのおはなし

くつ屋さんのペットは,けんかばかりしている犬とネコ,それにネズミのウーくん。そこへネズミぎらいのおばさんがやってきた。 (日本児童図書出版協会)

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あかずきん

数々の絵本賞,美術賞にかがやくツヴェルガーが,グリムの世界の雰囲気をそのまま伝えます。赤ずきん絵本の決定版。 (日本児童図書出版協会)

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魔法の城

ジェラルド、ジミー、キャスリーンの3人の兄妹が道端のほら穴をみつけ、入って行くと、素晴らしい大庭園に出る。そしてそこでピンクの美しい服を着た少女をみつける・・・。 (日本図書館協会)

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わらべうた 下

「かごめ かごめ」「かってうれしい はないちもんめ」「ことしのぼたんはよいぼたん」「とおりゃんせ」など古くから人々に親しまれている歌に絵を添えて紹介。 (日本図書館協会)

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ばらになった王子

ドイツの古典的な物語に,数々の国際絵本賞に輝く新進画家が美しい絵をつけました。小学生から楽しめるファンタジックな物語絵本。 (日本児童図書出版協会)

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なにしてあそぶ?

幼い子どもたちの生活が描かれた絵本。なわとび,かけっこ,人形芝居…子どもたちの創造性豊かに生き生きと遊ぶ姿が楽しめます。 (日本児童図書出版協会)

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『シュゼットとニコラ〜ゆめのどうぶつえん』表紙

シュゼットとニコラ5〜ゆめのどうぶつえん

ジュゼットとニコラは動物園で見た動物たちそれぞれのふるさとを訪ね、そこで彼らがどんなふうにくらしているかを見る。 (日本図書館協会)

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キリスト物語

美しい絵と,ひびきの良い文章で,イエス・キリストの一生をわかりやすい物語にして紹介します。 (日本児童図書出版協会)

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わらべうた 上

日本の山河を背景にして生まれ,代々受けつがれてきた伝承わらべうたの中から,リズムと言葉のおもしろいものを選びました。 (日本児童図書出版協会)

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ひみつの白い石

黒い髪をひらひらさせている背の低いやせっぽちの少女フィアと、半年毎に引越す靴屋の甥のハンプス少年との間を行ったり来たりする不思議な石の物語。 (日本図書館協会)

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まよなかのだいどころ

真夜中に目をさましたミッキーは,パン焼き職人が働いている台所へ。そしてはじまるふしぎな世界…。センダック三大代表作の一つ。 (日本児童図書出版協会)

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りす女房

嵐で倒れた大木の下敷になったみどりの森の妖精を助けた豚飼いの男が、お礼にもらったリスの化身の女房と、意地悪な兄の妨害にもめげず幸せになる話。 (日本図書館協会)

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いちばんぼしみつけた〜こどものための詩集・2

フロスト、エリオットなどイギリスの詩人の、子ども向きの作品20編を、楽しい挿絵入りで収録。 (日本図書館協会)

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雪の下の巨人

悪の一味である大将軍と手下の革人間たちがイギリス東部を支配しようと襲って来た。ジョンクとビルとアーフの3人が魔法を使うエリザベスの助けを得て一味をやっつける話。 (日本図書館協会)

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しろひげパチリくろひげパチリ

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ちいさなちいさなえほんばこ

『ピエールとライオン』『アメリカワニです、こんにちわ』『チキンスープ・ライスいり』『ジョニーのかぞえうた』の豆本4冊セット

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ジョニーのかぞえうた

ゆうゆうとひとり暮らしをしていたジョニーのところへつぎつぎに招かれざるお客がやってくる。ゆかいなゆかいな数え歌絵本。 (日本児童図書出版協会)

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アメリカワニです、こんにちは〜 ABCのほん

アメリカワニの一家が,ABC…と順番にZまで,楽しくアルファベットを教える絵本。ワニの動作がゆかいで,ついひきこまれます。 (日本児童図書出版協会)

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くるみわり人形とねずみの王さま

有名なくるみわり人形の物語の全訳。クリスマスに贈られたくるみわり人形が,ねずみの軍勢と戦い,マリーをお菓子の国へと誘う。 (日本児童図書出版協会)

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森の子ヒューゴ ( 北国の虹ものがたり3)

規則にしばられるのが大きらいなヒューゴは,母の死や父の逮捕にも負けることなく,自由にのびのびと生きてゆきます。 (日本児童図書出版協会)

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ふたり

精密に描きこまれた石版画,リズミカルなことば,いろいろな工夫やしかけ……。ネコとネズミの”ふたり”の関係を描いた傑作。 (日本児童図書出版協会)

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『ママたちとパパたちと』表紙

ママたちとパパたちと

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アベラールどこへいく〜 ちょっとかわったカンガルーのおはなし2

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シュゼットとニコラ3〜きせつはめぐる

シュゼットと二コラの、春からクリスマスまでの生活や遊びの移りかわりを、写実的であたたかい絵によって描き出した絵本。 (日本図書館協会)

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シュゼットとニコラ4〜こどものサーカス

市川氏の考えた話の筋にもとづいて、矢川氏が新たに文を書いている。ジュゼットと二コラの住む村で「世界こどもサーカス」が合宿をする。サーカスの芸を紹介。 (日本図書館協会)

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チキンスープ・ライスいり 〜12のつきのほん

何よりもおいしいお米の入ったチキンスープを毎回登場させながら,1月から12月までの季節の移りかわりを表現した楽しい絵本。 (日本児童図書出版協会)

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ピエールとライオン〜 ためになるおはなし

誰のいうこともきかないへそ曲がりのピエールが,大きなライオンに食べられてしまう! こわくてゆかいで”ためになる”絵本。 (日本児童図書出版協会)

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ヒューゴとジョセフィーン (北国の虹ものがたり・2)

スウェーデンの少女ジョセフィーンの、小学校の入学式からクリスマスまでの生活を、不思議な少年ヒューゴとのかかわりで描く。 (日本図書館協会)

型やぶりの少年ヒューゴと多感な少女ジョセフィーン。二人の”規格外”の子どもが,小学校に通うようになりました。 (日本児童図書出版協会)

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やまわらしきえた(わが西山風土記・冬)

シリーズの4巻目。

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ティムとサンタクロース

ティムとヘレンにポリーとサイモンが生まれました。雪の日ケーキの飾りになるサンタクロースを助けた親子は、楽しいクリスマスをすごします。 (日本図書館協会)

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ティムのおよめさん

はつかねずみのティムは、ヘレンと結婚しました。でも、ヘレンは、教会からでてきた花よめさんの美しいドレスを見てから、自分もドレスばかり作り始めます。 (日本図書館協会)

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ティムとめうしのおおさわぎ

はつかねずみのティムと、はりねずみのブラウンさんは、ミルクをもらいに農家へいきます。ねずみを見ておどろいた牝牛たちは大さわぎ・・・。 (日本図書館協会)

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チキチキバンバン〜まほうのくるま 1 ・2・3

1)孤独な発明家カラクタカスが50ポンドで買った中古のパラゴンパンサーが空を飛ぶ話。2)みち潮のため海中に沈みそうになったチキチキバンバンは、危機一髪のところで助かります。 (日本図書館協会)

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なだれだ!行け そうさく犬

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小さなジョセフィーン(北国の虹ものがたり・1)

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あさなゆうなに〜こどものための詩集・1

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こんこんさまよめいりいつじゃ(わが西山風土記・秋)

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忘れ川をこえた子どもたち

100年以上も昔の、リンゴの花咲く平和な村や、「忘れ川」に囲まれた北国の不思議な館を舞台に、幼い2人の子をめぐってくりひろげられる幻想的な物語。 (日本図書館協会)

スウェーデンの児童文学

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ティムとひこうせん

ティムが、はりねずみや、こまどりと力を合わせ、ひこうせんで、かやねずみを麦畑から救い出すお話。 (日本図書館協会)

 

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ティムといかだのきゅうじょたい

イギリスの絵本。

どぶねずみに捕えられたかえるのウィリーを探しながらのティムの冒険旅行。 (日本図書館協会)

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やまわらしだれや(わが西山風土記・夏)

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シュゼットとニコラ 2〜おつかいに

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さくま編訳『キバラカと魔法の馬』表紙

キバラカと魔法の馬〜アフリカのふしぎばなし

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あまがえるどこさいった(わが西山風土記・春)

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その他

◆1970年4月から1973年1月まで文化出版局編集部書籍編集課で、絵本の編集を担当していました。課長は『ヘビのクリクター』を訳された中野完二さんで、ちょうど文化出版局で絵本の出版を始めようとしていた頃。
H.A.レイの「じぶんでひらく絵本』シリーズ、長新太さんの「らいおん」シリーズや『ぼうし』や『しっぽ』、アーノルド・ローベルの絵本、太田大八さんの『のぼっちゃう』、石川重遠さんの『だれのぼーる』『かくれんぼ』『にじのくに』などの編集にかかわりました。

◆1979年5月から1998年9月までは冨山房編集部で、子どもの本を編集していました。
翻訳絵本、読み物、辞典などさまざまな子どもの本を担当していました。忘れないうちに思い出したものを書き出しました。若い人と一緒に作った本もあります。

 

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「2023年IBBYバリアフリー児童書」に日本から推薦した本

2月13日に「2023年IBBYバリアフリー図書」に日本から推薦する本を選ぶ選考会がありました。選考委員は、梨屋アリエさん(児童文学作家)、林左和子さん(静岡文化芸術大学教授)、村中李衣さん(児童文学者/ノートルダム清心女子大学教授)、山田真さん(小児科医)、そして私です。進行はいつも撹上久子さんがやってくださいます。
前は候補の本を並べて、一つずつ見ながら話し合っていたのですが、コロナでそれができなくなり、事前にそれぞれ見ておいてからオンラインで話し合うというかたちになりました。
この選考会は、いつもほかの委員の方々の意見をうかがって、なるほどと思うことが多々あるのですが、今回も「軽度障碍者を派遣で雇うことがいいことであるかのような書き方でいいのか」「パラリンピックの選手をこういうふうに描くと、障碍者にもっと努力しろというようなものではないか」「こういうふうに間の動きを描いてもらうと発達障碍の人たちにもわかりやすい」「これだと命を粗末にしているようにとられる」などなど、いろいろな意見が出てきました。
3時間の話し合いの結果、日本から推薦することにしたのは、次の作品です。
◆カテゴリー1:誰もがアクセスできる本
・『音にさわる-はるなつあきふゆをたのしむ「手」』広瀬浩二郎作  日比野尚子絵 偕成社
・『かける』はらぺこめがね作 佼成出版社
・『仕事に行ってきます① クッキーづくりの仕事 洋美さんの1日』(LLブック)季刊『コトノネ』編集部作 加藤友美子写真他 埼玉福祉会
・『どちらがおおい? かぞえるえほん』村山純子作 小学館
・『ふーってして』松田奈那子作 KADOKAWA
・『まどのむこうの くだもの なあに?』荒井真紀作 福音館書店
・『りんごだんだん』小川忠博作 あすなろ書房
◆カテゴリー2:障害がある子どもや人物を描いた本
・『全身マヒのALS議員 車いすで国会へ』舩後靖彦、加藤悦子、堀切リエ著 子どもの未来社
・『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン』多屋光孫作 合同出版
・『わたしが障害者じゃなくなる日』海老原宏美著 旬報社
2023バリアフリー児童書へJBBYが推薦した図書
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『スティーブン・ホーキング』(化学同人)表紙

スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語

好奇心をもつことに焦点を当てた伝記絵本。体の自由が失われていっても、「どうして?」「なぜ?」と問いつづけた宇宙物理学者の誕生から死までを、すてきな絵と簡潔な文章で描いています。絵がとてもおもしろいです。

先日JBBYの「ノンフィクションの子どもの本を考える会」では、最近出版されている伝記について話し合いました。

かつては子どものための偉人伝がたくさん出て、よく売れていました。そのほとんどは偉さや、人並みはずれた頑張りや、克己心などを描いたものでした。なので、私はどうしても「わざとらしい」と思ってしまっていました。最近の伝記は少し違ってきているように思います(日本では旧態然とした偉人伝がまだたくさん出ていますが)。いわゆる「偉人」ではない人にも焦点を当てた伝記が出るようになりました。それに、偉さではなく弱点ももった人間として描こうとするようになってきたと思います。

ホーキングは「偉人」ではありますが、この絵本では、好奇心を中心にすえ、ホーキングのユーモアやお茶目な側面も描いています。そういう意味では「新しい伝記」の一冊かもしれません。

同名の伝記絵本を私はもう一冊約していて、それはこちらです。

(編集:浅井歩さん 装丁:吉田考宏さん)

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『スティーブン・ホーキング』(ほるぷ)表紙

スティーブン・ホーキング

小学校低学年から読めるようにと工夫された伝記絵本で、車椅子の宇宙物理学者として有名なホーキング博士の子ども時代から、難病にかかって絶望の縁においつめられたこと、そこから気を取り直して好奇心旺盛に何にでも挑戦するようになっていったこと、そして現代で最もすぐれた宇宙物理学者になったところまでを、親しみやすい絵で描いています。

このシリーズのコンセプトは、幼い頃に抱いた夢がどんなふうに将来につながっていったかを絵本で表現するということ。ほかには、マザー・テレサ(なかがわちひろ訳)、オードリー・ヘップバーン(三辺律子訳)、ココ・シャネル(実川元子訳)、キング牧師(原田勝訳)、マリー・キュリー(河野万里子訳)、ガンディー(竹中千春訳)、リンドグレーン(菱木晃子訳)、エメリン・パンクハースト(上野千鶴子訳)、マリア・モンテッソーリ(清水玲奈訳)があり、小学校の図書館に入れたらよさそうです。

本の翻訳は、つながっていることがあって、「ホーキング博士のスペースアドベンチャー」シリーズ(岩崎書店)を翻訳したことから、ホーキングの伝記絵本の翻訳依頼をいただいたのですが、ホーキングさんの伝記はもう1冊(『スティーブン・ホーキング〜ブラックホールの謎に挑んだ科学者の物語』キャスリーン・クラル&ポール・ブルワー文 ボリス・クリコフ絵 化学同人 2021.06)を訳しています。
(編集:細江幸世さん 装丁:森枝雄司さん)
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エミリー・ロッダ『彼の名はウォルター』表紙

彼の名はウォルター

ロッダさんの、シリーズではない単発の作品で、オーストラリア児童図書賞を(またもや!)受賞しています。テーマは歴史、多様性、ミステリー、権力に翻弄される若者といったところでしょうか。

学校の遠足で歴史的な町を訪れるはずだったのに、途中でバスが故障します。ほかの生徒たちはそこから歩いて目的地に向かいますが、コリン(転校生)、グレース(足の怪我で松葉杖をついている)、ルーカス(コンピュータ好き)、タラ(バスの中で鼻血を出した)の4人は、フィオーリ先生(イタリア系、遠足の責任者)と共に、その場でタクシーが来るのを待つことになります。

今にも嵐が来そうな天候です。バスを回収に来たレッカー車の運転手に、丘の上の古い館で待つといいと助言され、5人はひとまずその館に避難します。ところがタクシーは現れず、5人はその古い館で夜を明かすことに。コリンは、キッチンにおいてあった書き物机の秘密の引き出しに手作りの美しい本が入っていたのを見つけ、タラと一緒に読み始めます。その本の書名は『彼の名はウォルター』。

ところが、何者かがその本を読ませないようにしているらしく、不気味な館では不気味な現象が次々に起こります。この館では過去に何があったのか、その本にはどんな真実が書かれていたのか──見た目も性格もバラバラで友だちでさえなかった4人の子どもたちが、その謎を解き明かしていきます。

現在と過去を1冊の本で結びつけるロッダさんのストーリーテリングが、すばらしい! 館の不気味さと謎でグイグイ引っ張っていきます。

自分で持ち込んで出してもらった本ですが、原書が276ページ、日本語版が350ページ。ページ数が多いので、訳者あとがきはありません。

(編集:山浦真一さん 表紙イラスト:都築まゆ美さん 装丁:城所潤さん+大谷浩介さん)

 

***

<紹介記事>

・「朝日新聞」(子どもの本棚)2022年03月26日掲載

週末の遠足でグロルステンという歴史的な町へ出かけた子どもたち。乗っていたミニバスが途中で故障し、フィオーリ先生と4人の生徒は田舎道で立ち往生し、丘のてっぺんにある2階建ての古い屋敷で一晩を過ごすことにした。屋敷の中にあった書き物机から、コリンは表紙に『彼の名はウォルター』と書かれた手書きの本を見つける。不安な夜をその本を読み合うことで切り抜けようとするが、物語の世界が現実に侵食してきて、いいようのない恐怖感に包まれていく。スリル満点のストーリー展開に身がすくむ思いがした。(エミリー・ロッダ著、さくまゆみこ訳、あすなろ書房、税込み1760円、小学校高学年から)【ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん】

 

<紹介映像>

・大阪国際児童文学振興財団 「本の海大冒険」土居安子さんによる紹介

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2021年12月 テーマ:非日常の経験

日付 2021年12月16日
参加者 ネズミ、ハル、シア、アカシア、アンヌ、さららん、マリトッツォ、雪割草、まめじか、西山、サークルK、(しじみ71個分、ニャニャンガ)
テーマ 非日常の経験

読んだ本:

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『海を見た日』表紙

海を見た日

ハル:ここ何回か、里親と里子の家族のお話を読みましたが、今回はだめな里親というか、里親自身も成長していった点が新鮮でした。理想的ではないのかもしれませんが、それでいいようにも思うんですよね。「だめ」の程度にもよるとは思いますが、心が成熟した素晴らしい大人しか里親になれないというんじゃなくてね。p184の観覧車から海を見るシーンが印象的でした。「きっと世界は、そんなにひどいところじゃない」という1行には、励まされもするし、この子たちのこれまでの日々を思ってつらくもなります。

ネズミ:それぞれの声で語りながら、4人の里子や里親の様子がだんだんと見えていく構成、物語としての盛り上がりなど、非常によくできていて、おもしろく読みました。ただ、声をかえての一人称語りは、すぐには状況がつかみにくく、特に日本では、読者を選ぶだろうとも思いました。父親だけ国にかえされてしまった、エルサルバドルからきたヴィク。言葉が出ない、スペイン語圏出身のマーラの状況など、外国から来たということも、よくわからないかも。とてもいい作品だけれど難しそうだなと。

アンヌ:以前読んだ同じ著者の『変化球男子』(杉田七重訳 鈴木出版)では、作者が読者に伝えたい知識──ホルモン剤とか支援団体の存在とか──がかなり盛り込まれた作品でしたが、今回はあとがきに作者の「里親制度」についての思いが書かれてはいるのですが、表立ってはいません。物語も登場人物もおもしろくて、その中で、絶望させない、偏見を持たせないような感じで、里子のことを分からせてくれます。なんと言ってもヴィクの持つスパイ妄想がおもしろくて、夢中で読んでいると話がクエンティンをママに合わせようという「作戦遂行」に移っていき、気がつけば子どもたちがみんな揃って旅に出ていました。ナヴェイアの視点でイライラしながら進んでいく道中の途中で、子どもたちが思いがけず遊園地や海で「楽しむ」ということを知ったり、大声で笑いあったりする場面に行きつきます。クエンティンに母親の死という重要なことを知らせるのに、海辺で砂遊びをしながら話すというところでは、海の持つ力が見事に生かされていると思いました。家に帰った後、ヴィクもナヴェイアもミセス・Kもそれまでと変わっていて、気づかないまま肩の力が抜けている。家族として互いに肩を貸しあって、少しずつ楽になっているという終わり方には感心しました。

マリトッツォ: 読み終わってから、『変化球男子』の著者の方か、とびっくりしました。作風がまったく結びつかなかったです。この本は今回、課題本にしてもらってよかったと思っています。もし自分でたまたま手に取って読み始めていたら、途中、かなりしんどくてやめてしまっていたかもしれないからです。終盤で、ぱっと未来が開かれていくような、なかなか他の本では味わえない満足感があります。これは中盤までの閉塞感があってこそですね。里親を称賛するわけでもなく否定するわけでもない、このリアルさは、著者がこういう活動をしている方だからか、とあとがきを読んで深くうなずきました。クエンティンのような自閉症の子の一人称は、掴みづらいことが多いのですが、他の二人のパートで状況が説明されているのでわかりやすく、バランスが絶妙だと思いました。いろいろ好きな表現があります。たとえば細かいところですが、「足にまだ砂がついていて、シーツにも砂がこぼれてるのがうれしい。ビーチもぼくたちのことが好きになって、それで家までついてきたみたいだった」(p260)という部分、素敵ですよね。一つだけ戸惑ったのは、観覧車の部分です。え、安全バーが必要で何周もするの? と、驚きました。

さららん:里親のミセス・Kのもとで暮らす年齢も境遇も異なる4人の子どもが、1つの家族になっていくまでのお話です。数か月ぶりに読み直してみたのですが、いいものを読んだという印象は変わらず、4人それぞれの在り方がずっと心に残っています。自分も「お姉ちゃん」として育ったので、特にナヴェイアに心を寄せて読みました。しっかり者のいい子に見えますが、自分の未来の夢をかなえるために、ある意味打算的に手の焼ける年下の子たちの世話をしています。でも、クエンティンのママの病院へみんなで行くという1日の冒険を通して、ナヴェイアは大きく変わり、他の子の在り方をまるごと受け入れていくのです。みんなで観覧車に乗って初めて海を見る場面、そのあともう1度病院を抜け出して海にいく場面が、ほんとに効果的で、象徴的です。会話のなかで、4人の関係が少しずつ変化するのがわかり、互いにいたわりあえるようになっていきます。(最後はミセス・Kに対してまで!)自分のことで頭がいっぱいのクエンティンが、英語がほとんど話せないマーラと心を通わす場面など、とてもよかったです。ロードムービーのような展開のため、刻々と場所が移るにつれて感情や考えもゆれ動く、いってみれば「目に見える」物語なので、読者の記憶に深く残るような気がします。それまで英語をほとんど話さなかったマーラが、最後のほうで「まったくうちの家族ときたら」(p277)と首をふりふり言うところ、そこが実に自然で、マーラを抱きしめたくなりました。

雪割草:この作品は、里子の子どもたちを通して新しい家族のかたちを描いているのかなと、読んでみたいと思っていました。最初の印象は、ヴィクがうるさくて口調が老けているように感じました。でも、口調は父親を尊敬しているからでは、と言われて納得しましたし、2回目に読んだときは、ADHDの特徴がよく描かれていると思いました。作品全体を通じては、厳しい状況にある子どもたちが、海の美しさに圧倒されるシーンのように、世界を肯定できるような、希望をもてるような体験をすることや、仲間の存在が生きる力につながるということを、改めて感じることができました。また、原題にある「漂流者」や、「わたしたちは、ひとりでやっていかないといけないの……。」(p161)にあるように、子どもたちの心情もよく描かれていると思いました。私の友人や友人の親が里子を育てていますが、そういった家庭は日本では少ないと思うので、里親制度や、子どもを社会やコミュニティで育てるといった考え方が広まっていくといいなと思いました。「オナカスッキリ! ナヤミスッキリ!」(p180)は子どものセリフとして違和感がありました。

アカシア:これは、吊り広告の言葉をそのまま繰り返してるんじゃないですか?

まめじか:いい作品なんだろうな、とは思ったのですが……。シビアなテーマの作品なのに、今ふうの軽い言葉がいっぱい入ってるのが浮いてるようで、二次元のキャラみたいに感じてしまいました。たとえばヴィクのせりふで、「当ててみ?」(p6)、「オタク、ちょっとヘンタイ趣味入ってます?」(p8)、「タルい」(p30)、「マジ、こわいんですけど」(p155)。一方で「世を忍ぶ」(p11)、「迷惑をこうむる」(p179)など、11歳にしては大人っぽい言葉づかいをするのが、どうもしっくりこなくて。そんな感じで読み進めたので、訳者あとがきの「この世界には、こんなにも、こんなにも素晴らしい子どもたちがいる」という最後の一文でひっかかってしまいました。もちろん、この本に出てくる子たちの状況はとても大変なものですが、そうした子はほかの本の中にも、現実にもいっぱいいるし。あと些末なことですが、マーラがホームレスの男の犬にチョコレートをやっていますが、チョコレートって、犬に絶対食べさせちゃいけないものの1つですよね。p3のクエンティンの語りで、「女の人はこまった顔になって」とあるのですが、アスペルガーのクエンティンは人の気持ちを読みとるのが難しいと思うので、どんな表情が悲しい顔なのか習ったからわかったということですよね。

アカシア:普通は、学習を経てわかるようになると言われていますよね。これまでの多くの作品は、ハンデを持っている子どもが1人という作品が多かったのですが、この作品は、ADHDとアスペルガーの子が登場し、マーラという小さな女の子も何らかの発達の遅れを抱えているのかもしれません。なので、書くのが難しいかと思ったのですが、年齢や性別や障碍も違うのでちゃんと書き分けられ、ひとりひとりが独立した存在に描かれているのがすごい、と思いました。ナヴェイアは、成績のいい子で、ハンデを持っているわけではないと思いますが、黒人なので生きにくさはやっぱり感じています。ナヴェイアがクェンティンを連れていこうとしたときに、白人の女の人に疑念をもたれる場面もありました。生きにくさをそれぞれ抱えている子どもたちだからこそ、お互いとを自分のことのように感じてわかり合えるのだと思いました。ナヴェイアが優等生の自分の殻を脱ぎ捨てて海辺でみんなで楽しもう、という場面は、とても印象的でした。この作品には助ける大人が出てこないので、子どもがお互いに助け合います。しかも、やっぱり問題を抱えている大人のミセスKに子どもたちが保護者的な視線を送っているのもおもしろいと思いました。4人でクエンティンのお母さんを探しにいこうというあたりからは、展開も速くなるのでハラハラしましたし、子どもたちの関係がだんだん密になっていくのもわかって、おもしろく読みました。わからなかったのは、さっきまめじかさんもおっしゃった犬にチョコレートをやるところ。それからp15にミセスKが「養母」として出てきますが、養子ではないので「里親」なのでは?

西山:一気に読みました。作者のあとがきで、現実のことがくわしく書かれてて、これがロサンゼルスの里親制度の抱える問題ということは明示されているわけですが、日本の読者が読んだときに、日本の里親制度にネガティブな印象をもたないかな、とちょっと危うく思いました。海を見た幸せな1日を経て、子どもたちの関係が親密に変化してからの様子に、『かさねちゃんにきいてみな』(有沢佳映作 講談社)を思い出しました。抱えている背景の深刻さは違うとはいえ、異年齢の子どもたちのその年齢らしさや、互いへの気遣いが重なって、状況が違っても普遍性を持っている子どもの本質的な部分を見せてもらえた気がします。(以下、言いそびれとその後考えたことです。クエンティンが他者の中でなんとかやっていけるように、お母さんがたくさんのアドバイスをして、クエンティンがことあるごとに、その言葉を思い出すことでパニックを回避している姿がとても印象的でした。読書会が終わって、つらつら思い返していて、こんなに彼を導いていたお母さんなのに、どうして自分の死を受け入れられるようにする手立てをしていなかったのかとふいに思い至りました。癌を予期できないとしても、いきなりの事故死ではないし、病気にならなくても、いずれ自分の方が先に死ぬのだという現実を、クエンティンが受け入れられるように用意することは最大のミッションなのではと。そう思うと、ちょっと冷めました。)

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ニャニャンガ(メール参加):クエンティン、ヴィクの視点ではじまるため、物語に入るのに少し時間がかかりましたが、ナヴェイアが登場して全体像が見えはじめ、さらにクエンティンのために旅に出たところかにはすっかり引き込まれていました。ミセスKが心を閉ざして子どもたちの世話をしないせいで、ナヴェイアが年下の子たちの面倒を引き受ける姿には胸をしめつけられます。ほかの3人の面倒をひとりでしていたナヴェイアが限界に達したとき、ヴィクが頼りになる存在になり、子どもたちの絆が強くなって、ほんとうによかったです。しらこさんによる表紙も、とてもいいと思いました。ロサンゼルスの里親制度をよく知る作者だからこそ書けた作品です。

しじみ71個分(メール参加): ロサンゼルスの里親制度の実態をリアルに描写していて、子どもたちの切実な実情を伝える本だと思いました。養育に欠ける子どもたちがたくさんいるために、里親にあまり向かないような状況の人のところにも里子が引き取られることがあるというのは、ロサンゼルスに特徴的な事象なのか、全米的な問題なのでしょうか。いずれにしても大変な状況だとまず思いました。最年長のナヴェイアが我慢を重ねて小さい里子たちの面倒を見て、大学に進学して自立することを願う姿はいじらしく、特にp95で、突然「涙が目に盛り上がってきた」という場面には共感して、こちらもウルウルしてしまいました。いろんなことに疲れてるんだろうなぁって思い……。ADHDのヴィクは頭の中に言葉があふれていて、うるさいですが、私には可愛らしく見えて、とても好きなキャラクターです。新入りのクエンティンがアスペルガーで、小さいマーラはスペイン語しか話さないという、それぞれ異なる難しさを抱えた子どもたちがどうなっていくのか、興味に引っ張られて最後まで読み通しました。海を初めて見たシーンは特に印象的で、困難にある子どもたちには子どもらしい家族とのあたたかな思い出や楽しい経験がない、あるいは奪われたりかもしれないということに気付かされて、胸がつまりました。クエンティンの母を探して旅をして、海と出合ったことが、4人の共通の喜びの経験となり、家族として結びついていくきっかけになっていて、そこはとてもうまい装置になっているなと思いました。失意のために、養母としての役目が果たせてこなかったミセスKが、最後に子どもたちのおかげで気力を取り戻し、立ち直るという結末も読後感がよかったです。

(2021年12月の「子どもの本で言いたい放題」より)

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岩瀬成子『もうひとつの曲がり角』表紙

もうひとつの曲がり角

まめじか:英語を習わせるのも家を買うのも、子どものためだと言いながら、実は親の自己満足なんですよね。そうした大人の一方的な思いや、遠いのに自転車通学を許されない不条理な学校の仕組みの中で、朋もお兄ちゃんも窮屈な思いをしています。そして子どもの自我が目覚め、そういう大人の押しつけに反発すると、やれ反抗期だとかなんだとか言われてしまう。そんな中で言いたいことを言えない朋の気持ちが、「先生はいっぱい言葉をもっているのに、こっちにはなにもない」(p88)という語りにこめられていると感じました。朋はひとりの時間に日常のすき間にはいりこんで、そこで不思議なできごとを体験するわけですが、秘密をもつことが成長につながるのは、E.L.カニングズバーグの『クローディアの秘密』(松永ふみ子訳 岩波書店)にも通じます。曲がり角の先は別の道がつづいてる、ここ以外の世界もきっとあるというのを、こういう形で描けるなんて。作者の力量を感じる作品でした。

雪割草:今回の選書係だったのですが、最近読んだなかでとてもよかったので、選びました。まず、私は兄がいるのですが、兄とのやりとりの描写にリアリティがあり、親しみを感じました。しれっと妹に洗いものをさせたり、中学になって変わっていったり、兄も案外考えているんだなと感心させられたり、なんでも兄には話せたり。それから、この作品のように、日常の中でふと、異空間や異次元といった非日常にいくことのできる物語が好きで、子どもの頃から憧れていました。「心って、いつおとなになるの?」(p183)や「ついこのあいだ、わたしもあなたみたいな子どもだったの……。」(p239)とあるように、オワリさんとその子ども時代のみっちゃんを通して、一人の人間のなかに子ども時代が生きつづけていることを感じることができました。また、このふたりをつなぐ存在として、センダンの木を登場させているのもいいなと思いました。ネギを背負った人など、ところどころユーモアがあるのも楽しかったです。ただ、表紙の女の子の絵は、私の想像とは違うと感じました。

アカシア:どんなふうに違ったんですか?

雪割草:本では、もうちょっとおてんばなイメージでした。

まめじか:私も、この子はもっとはっきりものを言える子だと思うので、イメージとは違いました。絵はおしとやかな感じがします。

アカシア:酒井さんの絵は、静的で内容から受ける印象より少し幼い感じがいつもしますね。だから人気があるのかもしれませんけど。

シア:私もイメージと異なって、酒井駒子さんの絵は大人好みになりすぎると思っています。YA辺りならいいのかもしれませんが。表紙から抑えめなのもあって、描写はていねいで良かったんですけれど、心は打たれませんでしたね。将来役に立つから、という言葉がそのとき限りの大人の言葉として扱われていて、悲しく思いました。みっちゃんがそろばん塾を辞めたその後がわかったりすると、大人の方便にも聞こえるような“将来役に立つ”という言葉の意味が生きてくると思うんです。お母さんに隠れて読んだ漫画はどうだったかとか、ダンスはどうなったのかとか、全然わからなくて。大人の言うなりになることと、自分で決めることの本当の違いがオワリさんの人生を通して見えなかったので、このタイムリープで学べるものや成長がなかった気がします。英語にしても、同音異義語の不思議とかいい視点を持っているのに、笑われるからと委縮して言えなくなっていてもったいないと思います。フォローしてくれない人たちがたまたまいただけで。アメリカ人なのに鷹揚に接しない先生も珍しいけど。心を開いたり勇気を出せば、耳を傾けたり足りない言葉をくみ取ってくれる大人もいるという役割をオワリさんがやってくれていないので、見えない将来に時間をかけたくない、で話が終わってしまっていて、結局オワリさんがロールモデルにならず、今回の経験は気持ちが若返ったオワリさんにしかメリットがなかったと思います。子どもが読んだらおもしろいんじゃないかな。「うん、でも、たぶん、わかってないと思うけど」(p250)と最後まで周りと壁を作って、大人と子どもの境界線をはっきりつけてしまう子どもの視点で書かれているので、「だよねぇ!」「わかるぅ!」と今を見ている子どもたちが共感できる作品にはなっていると思います。保護者が読めば気づきみたいなのは得られるかもしれません。気になったのは、なぜ主人公が元の時代に戻れなくなるとか、昔の時代に行けなくなったとかがわかるのかということです。つるバラが決め手なのでしょうか?

まめじか:私は、オワリさんの人生とか、習いごとが将来役にたったかどうかなんていうのは、この本にはなくていいのではないかと。主人公の朋が、今ここだけじゃない世界を知るというのが、この本のキモなので。

さららん:ふつうの家族、絵空事じゃない家族の中にある無数の違和感を、岩瀬さんはいつもうまくとらえています。大人も子どもも、そしてその関係も、ありきたりではありません。いま生きている人間が感じられるところ、そして子どもの反骨心が、岩瀬作品の魅力です。新しい家に引っ越したあと、願いをかなえたママはやけに張りきっているけれど、空回り気味。「わたし」やお兄ちゃんとの関係はもちろん、パパとの微妙にすれちがう関係も会話の中に巧みにとらえていて、「うちとおなじだ……」と驚きました。中学生になったばかりのお兄ちゃんは、コーヒーフロートを勝手に作ってひとりで飲んでいるのですが、そんなエピソードにも妙なリアリティがあります。でも現実の話だけで終わらず、オワリさんというおばあさんが朗読する物語の世界や、時間を超えて主人公が迷いこむ世界など、重層的にいろんな要素が入っていて、かなり凝った造りになってますね。「英語でなにかいおうとすると、普段自分の中にある日本語のいろんな言葉の意味がすうっとうすくなっていくような気がした」(p12)など、英語を学び始めたときのもどかしさを表現する言葉には膝を打ちました。「よりよいって、それはだれがきめるの? 人によって、それはちがうんじゃないの。そんなあいまいなもののために、いまの時間をただがまんして無駄にしろっていうの」(p221)と、主人公がパパにいうところでは大喝采。これが言えないがために、今の子どもたちは炸裂するくらい苦しんでいるんじゃないかと思うのです。「わたし」はほんとに頑張った! オワリさんとの出会い、まったく違う時間、違う角度から自分を見られことが、主人公の力になったのだと思いました。

マリトッツォ:安定の岩瀬成子さん作品という感じで、引き込まれて最後まで読みました。児童文学は、「続ける」「頑張る」「達成する」というテーマがどうしても多くなるので、大人から見て正当な理由がなくやめる状況に寄り添っているこの本は、子どもの味方だなと思います。また、一般的なタイムトラベルものだったら、なぜそこに行ってしまうのか、というロジックが明確でないと入り込めないのですが、この作品は描写がていねいなので、明確な説明がなくてもそんなに気になりませんでした。あと、主人公の「わたし」の一人称と、おばあさんの創作の文章がはっきりと違うので、そういうところにもリアルさを感じました。「わたし」の文章は、同じ言葉を重ねることが多くて、たとえば、「わたしはリモコンで部屋の明かりを消した。リモコンで部屋の明かりを消すのも、この家に来ておぼえたことの一つだった。」(p24)というふうに、重複が多いんですよね。この年頃の子の思考、表現を忠実に再現していると思います。なお先ほど、そろばん教室を辞めて、その結果どうなったのかが書かれてない、という話題が出ましたが、「そろばん塾を辞めても喫茶店の経営はちゃんとできた」ことが、もしかしたらひとつの答えなのかもと思いました。

アンヌ:今回はテーマが「非日常の経験」だったので、てっきりファンタジーだと思っていたのですが、p60まで読んでやっと異世界が現れるので、もしかすると異世界より現実界に比重がある物語なのかと気づきました。なんとなく『トムは真夜中の庭で』(フィリッパ・ピアス作 高杉一郎訳 岩波書店)を思わせるタイムスリップ物なのですが、ファンタジーにある謎とき的要素は全然ないまま終わります。異世界で、犬を連れた男の子やいじめっ子をやっつけることができて自由にふるまえる自分に気づいて、そこで現実世界でも家族に自己主張できるようになるという話がていねいに語られていくのは魅力的でしたが、やはり私としては異世界の方に興味があったので、せっかく、みっちゃんに現実世界で会えても、主人公は相手が自分に気づくかとドキドキしたりしないし、みっちゃんであるオワリさんの方も気づかないままでいるのが、なんだか不思議な気がしました。どちらかというと、朗読している庭に入っていくときの方が、過去にタイムスリップするときよりドキドキ度が高かったり、オワリさんが作る話がおもしろくて謎があったりするので、この現実世界の方がおもしろい気もしました。最後は、主人公がこれからも、またオワリさんに会いに行こうと思っているところで終わるから、いつか、二人がお互いに気づくというか名乗りあう時が来るかもしれません。そんな風に、読者がいろいろ考えて、この物語が続いていく感じで終わるところがこの作品の魅力なのかもしれません。でも、ファンタジー好きの私にとっては、少々不満がある物語でした。

ネズミ:私はとてもおもしろかったです。英語塾をやめたいと言えるまでというのがストーリーの中心だと思います。こうなって、こうなったから、こうなったというふうに結果が差し出されて「はい、終わり」となる本もありますが、岩瀬さんの本は、この物語の前にも後にもお話が続いているのを、ここだけふっと切り取ったような印象があって、そこがほかの書き手と違うなと。曲がり角の向こうに、思いがけない世界があるすてきさ。p8で、マークス先生の言う「エイプウィル」が「四月」のことなんだとわかったあとに、「なんだあ、と思った。それから、疲れる、と思った。」とか、p250のお風呂に入りなさいと母親に言われたおにいちゃんが、「おれはあとで」と答えて、「わたしも」と、わたしがいうところなど、何気ない表現に日常や人となりが透けてみえます。こういう表現が物語を支えているのだと思います。

さららん:会話を「作ろう」とは思っていないのかも。登場人物が頭の中で、いつのまにか動き出して、勝手に話しているんでしょう。

ネズミ:この子が、大人にグサッとささるようなことを言うのも、そういうことなのかも。最後に、英語塾に行かないというのを言えてよかったです。

ハル:作家は皆さんそうだと思いますが、岩瀬さんの小説は、岩瀬さんにしか書けないものだということを特に強く感じます。なんてことなさそうな表現のひとつひとつが素晴らしい。p54で描かれている、お父さんとお母さんのけんかの、端で聞くとうんざりな感じとか、p100で犬をけしかけてきた高校生くらいの男の子に「YTっていうのはおぼえたからね!」とか。いかにもちょっと大人になりはじめた時期の子どもという感じ。p157は、朋がみっちゃんのいる世界は自分がいてはいけない世界だと気づきはじめる場面ですが、p156では「ばいばーい」って無邪気に手を振り合って、p157の3行目でいきなり「後ろはふりむかなかった。ふりむけなかった。ふりむいちゃいけない気がしていた」とくる。そこで読者は朋も気づいていたことを知ってぞっとするわけです。この1行が効いているなぁと思います。そして初読のときから何げに強く印象に残ったのは、作中作までおもしろい! というふうに、あげたらきりがないんですけど、子どもは将来のためでなく「今」を精一杯生きているんだと改めて思い出させてくれるところとか、物語の構成もテーマももちろんなのですが、技巧を楽しむという意味でも繰り返し読みたい1冊です。それから、先ほど、朋がタイムスリップした意味についてのご意見がありましたが、たとえば、みっちゃんが習わされていた「そろばん」だって、今の世界の朋にとったら、学校でちょっと習うくらいのもの。こんなこと言ったら反対意見もいただきそうですが(笑)、朋が習わされている「英語」だって、そのうち同時通訳機みたいなのがもっと優秀になって、いやいや勉強する必要なんてなくなるかもしれない。大人のいう「将来役にたつ」は案外あてにならないぞということを知っただけでも、タイプスリップさせた価値はあるんじゃないでしょうか。

アカシア:岩瀬さんは、言葉の使い方がほかの作家と質的に違いますよね。梨屋アリエさんの『エリーゼさんを探して』(講談社)という作品も、親にものが言えない子どもというテーマですが、梨屋さんのほうは、主人公がお母さんとはすべて「です・ます調」で会話しているという設定で、抑圧された状態を表しています。岩瀬さんの方は、子どもの気持ちをそのまま描いていくという書き方。岩瀬さんは、自分が子どもの時の気持ちを忘れてないんですね。このテーマは、思春期の子どもにとってはとても大きいのでしょうね。嫌なことはしなくてもいいというふうに子どもの背中を押してくれる本なんですね。岩瀬さんは今アンデルセン賞候補になっていますが、このおもしろさを100%楽しめるのは、日本の現代に生きている人たちかもしれないと思ったりもします。岩瀬さんの作品はストーリーラインだけで読ませるものとは違うので、翻訳するのはそう簡単じゃないでしょうね。日本語の堪能なとてもじょうずな翻訳者が岩瀬さんに乗り移ったみたいになって翻訳してくれるといいな。

まめじか:前提となる生活のこまごました背景を知らないと、ね。

サークルK(後から参加):とってもおもしろかったです、主人公と曲がり角の先にいるみつほさん/みっちゃんの関係が、まるで『トムは真夜中の庭で』のトムとハティの関係に似ているのかな、と思ったので。初めての環境に慣れていく子どものドキドキ感が伝わってきました。現代的な両親の期待に(違和感を感じながらも)応えようとしてもがく主人公の姿や、一足先に思春期になってあまり自分の気持ちを話さなくなっていくお兄ちゃんとの関係に、読者は共感できるのではないでしょうか。p30で、お母さんが(賃貸住宅ではない)初めての持ち家に愛着があって、たとえ不在であってもきれいにしておかないと「(台所が)ママに告げ口をするような気がした」という文章にハッとさせられました。人間が不在でも、その人が大事にしているものがその人本人に代わって、人間を見張っていると感じてしまうことは時々あるような気がするから、そういう表現はとても興味深かったです。大人が子どもの先回りをしてどんどんことを進めていくことへの批判――子どもが間違えたり傷ついたりする自由が奪われるべきではない――をこめた主人公の成長物語になっているように思いました。

西山(後から参加):以前読んだんですけど、再読しはじめて、ああこの路地の雰囲気知ってる、この景色見覚えある、この登場人物たちも知ってる・・・と思うのですが、初読時の感想も、ストーリーも思い出せません。自分の記憶の情けなさを棚に上げてなんですけれど、岩瀬成子の作品は、一言一言をおいしく味わう、そういう経験になっている気がします。たとえば、「わたしは塾に行く途中で、急に気が変わる予定だった。」(p30)などという一節がたまらなくおもしろい。そうやっておもしろく読んだのに、覚えていないと……。

アカシア:大テーマのある作品じゃないからですかね?

西山:岩瀬作品は、読書の快を感じる作品ですね。

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しじみ91個分(メール参加):新しい家に越してきて環境に慣れない主人公の朋が、ふと思い立って英語塾に行かずに小道の先の曲がり角を曲がったら過去の空間に行ってしまい、一人の女の子と出会うというお話ですが、嫌なことがあったり、くさくさしたりしたときに、ふっと「どこかに行っちゃいたいな」と思ってしまうときの、「どこか」の感じをありありと体験させられるような物語でした。読んで、子どもの頃、マンションの一室の自宅に帰るとき、いつもと違うの入口から入ったら、角度の加減で廊下の突き当りにあるはずの自宅が見えず、家がなくなったんじゃないかと怖くなった小学生のときの経験を思い出しました。朋が、朗読をするオワリさんと仲良くなって異空間に入り込み、みっちゃんという女の子と仲良くなりながらも、帰れなくなるんじゃないかとこわくなり、こちらの世界に戻ってくる感じは、日常の裂け目に入り込んでしまったときの、空恐ろしい不安をリアルに感じさせてくれ、ちょっと背中がぞわぞわしてしまいました。でも、朋が感じたその恐怖感は、逃避を選ばず、きちんと日常に向き合って行こうとする生命力の裏返しでもあるのかなと思って読みました。また、ほかの方もおっしゃっていることですが、全編を通して、『トムは真夜中の庭で』へのオマージュを感じました。モチーフになるのは双方1本の木で、あちらはイチイの木で、こちらはセンダンの木などと、さまざま両作品間の違いはありますが。過去の異空間にタイムスリップして、おばあさんの若い頃に出会うというしかけには共通するものを感じます。岩瀬さんの物語は、子どもの日常に生じたちょっとしたズレや断層から、日常がゆらいでいく様子を描いているように思うのですが、それを読むと心がざわざわします。でも、それが気持ちよくて、岩瀬さんの物語が好きなんだなぁと自分で思います。お兄ちゃんの晴太の思春期の親離れが進行していく様子も好ましく読みましたが、同時に賢いお兄ちゃんだなとも思いました。岩瀬さんのリアルな描写と、タイムスリップファンタジーとの組み合わせが大変におもしろかったです。

(2021年12月の「子どもの本で言いたい放題」より)

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