タグ: 動物

『この世界からサイがいなくなってしまう』表紙

この世界からサイがいなくなってしまう〜アフリカでサイを守る人たち

『この世界からサイがいなくなってしまう〜アフリカでサイを守る人たち』をおすすめします。

私はケニアの自然公園で、銃を持ったレンジャーがサイのグループから少し距離を保ってついて回っているのを見たことがある。密猟で角がねらわれるサイは、あと20年で絶滅してしまうかもしれないという。だから守る方も必死なのだ。本書は、南アフリカの人々がどんなふうにサイを保護しようとしているか、孤児になったサイの子どもたちをどう育てているか、なぜ密猟者がはびこるのか、女性だけのレンジャーの活躍ぶりなどを、生き生きとした文章でわかりやすく伝え、地球は人間だけのものではないこと、さまざまな種が支え合って生きていることに目を向けさせてくれる。アフリカを知るうえでも、おもしろく読めるノンフィクション。
小学4年生から。

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年8月28日掲載)

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スズキコージ『?あつさのせい?』表紙

?あつさのせい?

『?あつさのせい?』をおすすめします。

ここは、暑い盛りの動物の町。暑いと頭がきちんと働かないので、うっかりもぼんやりもしょっちゅう起こる。馬は駅のベンチに帽子を忘れ、その帽子を拾ったキツネは駅のトイレにかごを忘れ、そのかごを拾ったブタは銭湯でシャンプーを忘れ・・・と連鎖はずっと続いていく。暑さに負けていない力強い絵が、動物たちそれぞれのクスッと笑えるユーモラスな姿を伝えている。
5歳から。

(朝日新聞「子どもの本棚」2021年7月31日掲載)

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『バッタロボットのぼうけん』表紙

バッタロボットのぼうけん

『バッタロボットのぼうけん』をおすすめします。

主人公は犬の子どもたちで、バッタ型のロボットに乗って冒険に出かけるという設定。このロボットが、子どもの持つ知識の範囲内でなるほどと思えるように工夫されているのが楽しい。

ボルネオ、オーストラリア、ニュージーランドの陸地と海と川にすむ虫や動物たちが、生き生きと描かれ、吹き出しの中に簡単な説明も付されている。

ファンタジーの要素も取り入れた知識絵本だが、その土地に生息する動物をリアルに、主人公の犬たちをイラスト風に描くことによって、子どもが混乱しないよう配慮がされている。さらに最後の場面がストーリーに奥行きをもたせ、そこからもう一つの想像がふくらむよう工夫されている。

(産経新聞「産経児童出版文化賞・美術賞」選評 2019年5月5日掲載)

キーワード:ロボット、自然、絵本、動物

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『フラミンゴボーイ』表紙

フラミンゴボーイ

『フラミンゴボーイ』をおすすめします。

イギリスの青年ヴィンセントが旅先の南フランスで話を聞くという枠の中に、フラミンゴが大好きで動物と気持ちを通じ合えるロレンゾと、社会から排斥されてきたロマ人のケジアの物語がおさまっている。ナチスの脅威、戦争に翻弄される人間、差別、動物保護など様々なテーマを扱いながら、巧みなストーリー展開で読者をひきつけ、おもしろく読ませる。(小学校高学年から)

(朝日新聞「子どもの本棚・冬休み特集」2019年11月30日掲載)

キーワード:動物、差別、戦争

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『嵐をしずめたネコの歌』表紙

嵐をしずめたネコの歌

『嵐をしずめたネコの歌』をおすすめします。

イギリスのコーンウォール地方に伝わる伝説を基にした物語。大嵐が来て海が荒れ、漁師たちが船を出せずに村に食べるものがなくなったとき、年老いた漁師のトム・バーコックは飼い猫のモーザーと一緒に、命がけで海に出て行く。村人たちのために、なんとしても魚をとろうと決意したのだ。細かくていねいに描かれた絵がとてもいい。もともとは横書きの文章量の多い絵本だが、そのままの形では日本の子どもに読みにくいので、文字を縦書きにして絵童話風に仕立てている。(小学校中学年から)

(朝日新聞「子どもの本棚」2019年5月25日掲載)

キーワード:海、ネコ、嵐、伝説、絵物語

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ジョン・キラカ『なかよしの水』(さくまゆみこ訳 西村書店)表紙

なかよしの水〜タンザニアのおはなし

スイスのバオバブブックスの編集長が来日なさったとき、表参道のビーガンレストラでお昼を一緒に食べながら話をしました。その時「今はキラカさんにこんな本を描いてもらってるのよ」と聞いて、西村書店につないで出版してもらいました。

前作の『ごちそうの木』は、食べ物がなくなって動物たちが困るというお話でしたが、こちらは、日照りが続いて水がなくなり、動物たちが困っています。ようやく水が流れる川を見つけましたが、そこにはワニがいて、いえにえを差し出さないと水をくれません。この絵本でも、小さくて弱そうなノウサギの女の子が知恵を使って活躍します。キラカさんの絵は、ユーモラス。クスッと笑えるところがいくつもあります。

(編集:植村志保理さん 描き文字デザイン:ほんまちひろさん)

キーワード:絵本、タンザニア、動物、知恵

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<訳者あとがき>

ジョン・キラカさんは、タンザニアに生まれて今もタンザニアでくらし、村の人たちからいろいろなお話を聞いて書きとめ、それをもとに絵本をつくっています。本書は、そのキラカさんの新作ですが、前作『ごちそうの木』と同じように、日照りがつづいたせいで困っている動物たちが登場します。天候と結びついたくらしをしているアフリカの人々にとっては、水が手に入るかどうかは生死にかかわる大問題です。それで昔話にも、水をさがすとか、水を手に入れるために井戸をほる、というモチーフがよく出てくるのです。

また前作でも、かしこいノウサギが登場していましたが、この絵本でも、ノウサギが大活躍します。ノウサギは、アフリカ各地の昔話によく顔を出すキャラクターです。体が小さく、たたかうための牙も角も、するどい爪も持っていないので、生きのびるためには知恵を使うしかないのが、ノウサギです。力の強い、大きな動物たちに負けることなく、生きる方法を考え出すノウサギは、アフリカの昔話の中では、英雄ともみなされています。昔話をもとに再構成されたこの絵本では、かわいいスカートをはいた姿で登場していますが、そこには、女性や子どもを応援しようと思っているキラカさんの考えがあらわれているように思います。

キラカさんは、2017年夏に来日され、ストーリーテリングや、講演や、子ども向けのワークショップをしてくださいました。末っ子のおじょうさんヴィヴィアンちゃんのことが自慢で、何度も写真を見せてくださったり、何をおみやげにしたらいいかと迷ったりする姿からは、子煩悩なパパぶりを垣間見ることができましたし、講演からは、アフリカに伝わる口承文芸を絵本にして次の世代につなげていこうとする決意がうかがわれました。

さくまゆみこ

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『野生のロボット』表紙

野生のロボット

しじみ71個分:とてもおもしろく読みました。AI、ロボットの物語ということですが、お母さんの心を持って、ガンの子どもを育てる話を主軸として、最後は島の動物が一致団結してロボットを回収に来た戦闘用ロボットと対決する。ロボットの話というよりは、血のつながらない親子の物語や、文化の異なる移民がコミュニティに受け入れられていく物語など、いろんな読み方ができると思いました。ロボットがふわふわした梱包につつまれて箱の中にいたものがパカンと出てくる描写など、赤ちゃんが生まれた様子の表現の暗喩とも見え、赤ちゃんみたいな状態から、学習を経て賢く愛にあふれた大人の存在になっていくのも、人間の成長過程をトレースしたようにも読めます。物語の中で、ロボットは当初、インプットされた情報から声色を選んで、自然なしゃべり方になるように努めたことがきちんと書かれていますが、異質なもの同士が共生し、ガンの親として機能する中で、ロボットがあえて生き物らしく行動するという記述は減って、どんどん普通に感情を持った生き物のように自然に行動するように語られます。読んでおもしろいのですが、物語として、だんだん何を言いたいのか、わからなくなってしまいました。

西山:それは例えば、p85の1行目、親鳥を死なせてしまったことをテレビショッピングみたいなしゃべり方で「なあんと、この子だけが生き残りましたあ!」なんて言っているところでしょうか。あそこは、笑いました。ハリネズミの針が刺さってしまったキツネのカットとか、絵も好きでした。先が気になってどんどん読み進めたわけですが、最終的には釈然としない思いが残っています。これは、野生化したロボットの話なのかな? 文明化された野生動物たちの話なのでは? と思うんです。動物たちが火を操るということがどうしてもすとんと来ない。レコたちは、暴力をふるうことがプログラミングされているらしいし、作中唯一の完全な悪役ですが、なんの躊躇もなく破壊する=殺すことに抵抗を感じました。初めのほう(p43)で、「ロズは、プログラムのせいで暴力をふるうことはできない。でも、相手をいらいらさせることならできる」と松ぼっくりをしつこくクマに落とすところが好きだったんですが、そのくらいのゆるい闘いならよかったのに、と思います。ロズがキラリの母親となると、言葉づかいが「わ」「よ」で女言葉を強調しますが、原文でいかにも女性の台詞であるように表現されているのかどうか気になります。

マリンゴ: 非常に興味深い物語で、読めてよかったと思っています。変化が多くて、次はどうなるのかと、ストーリーに引きこまれました。一般的に、ロボットと人間を描くと、人工知能が人間の知能を超えるか、敵対してきたらどうするのか、といったあたりが焦点になりがちですよね。でも、このロボットのように、人間に害をおよぼさない範囲で、自由を求める、ということがあるかもしれません。こういう素朴なロボットに対しても、人間は、「人の命令に背いて自分の意志を持つ危険なやつ」と判断するのでしょうか。そんなことを考えさせてくれる作品でした。それからp141「うちは変わった家族だね。でも、ぼくはけっこう気に入ってる」というフレーズ、アメリカのYAなんかでよくありそうなセリフですけれど、この小説のなかだと新鮮でした。ほんとに変わった家族ですものね。また、ガンのクビナガが目の前で倒れて死んじゃったり、冬の寒さで凍死した森の動物たちも多かったり、と死をためらいなく書いているのがいいな、と思いました。児童書だと、そのあたりを匙加減して、みんななんとか冬を乗り切りましたぁ! とハッピーエンドになりがちなので。ただ、1つだけ気になるのは、ロボットのスペックがどの程度なのかよくわからないということ。たとえばp132 では、見たものを脳で検索して「あれは船」と言っています。でも、p76では見たものを検索できず、「あなたはオポッサム・・・・・・」と名前を知ってから情報を検索しています。何ができて何ができないのか、わかりづらいなと思いました。

リック:AIなのに、母親らしくなっていくのがおもしろいですね。子育てするママが成長していくお話でもあります。ロボットゆえに、いかなる困難も乗り越えるスーパーウーマンなのが痛快だけど、なんでも解決できちゃうのはおもしろみにかけます。ロボットでは対応できない問題点に突き当たるような展開があったら、もっとおもしろかったのではと思いました。

カピバラ:1章1章が短く、次の章を読みたくなるような書き方がしてあり、絵もたくさんあって、この厚さでも読みやすくする工夫がみられます。小学5~6年生から読める本になっているのが、うれしいです。今の子にとってAIは身近な存在になっていますが、人間社会でどう共存していくか、といったよくある設定ではなく、逆にロボットが野生に入っていくというところがユニークですね。作者は、プログラミングされたロボットと、本能によって動く野生動物は似ているといっていますが、おもしろい着眼点です。たくさんの動物たちが登場しますが、名前のつけ方がその動物に合っていておもしろいし、イタチのチョロリとか、アナホリーとか、翻訳も工夫していますね。セリフもうまく訳し分けていると思います。子どもたちにすすめたい物語です。

イバラ:とてもおもしろく読みました。この本の動物たちはお互いに会話したりして擬人化されていますが、ロズも単純に擬人化されたロボットという位置づけでしょうか? それともSF的に未来のロボットとしてここまで人間化が進んだということなのでしょうか? 物語世界の設定としてそのどっちなのかが、よくわかりませんでした。今のところロボットには感情がなくてプログラミングされたことしかできないはずなのですが、このロボットは人間世界に触れていないので人間らしい会話はできないはず。でも、人間世界の人間らしい口調で話します。さっき原書を見せてもらったのですが、原書はフラットな言い方ですね。訳者が、子どもに読みやすいようにということで、こうなさったのでしょうか? いったいどこまでが科学で、どこからがファンタジーなのか、知りたいです。ロズは、『オズの魔法使い』に出て来るブリキの木こりと同じようなファンタジーの産物なのか、それともサイエンスフィクションの住民なのか、興味があります。著者はどのような物語世界を作っているのか、続刊があるとのことなので、期待して待ちたいと思います。

コアラ:ロボットものは好きでよく読んでいましたが、ロボットが野生化するという物語は初めてで、おもしろかったです。絵がいいですね。p176~p177の見開きの絵とか、飛んでいくキラリを見送るp190~p191の絵とか。あと、シカのキャラメルとか、名前がいいですよね。ロズとキラリの親子関係もいい。キラリが、母親がロボットだということを受け入れていくのがいいし、お互いに支えあっているのがいいですね。最後、ロズが島に戻れる見込みは、私はほとんどないと思っていて、ロボットだから初期化されれば終わりですよね。でも、続編があると聞いて、希望が持てました。続編も読んでみたいと思います。

アンヌ:動物たちの描かれ方が、夜明け前の協定とかなんとなく宮沢賢治的な世界を感じたので、SFというよりファンタジーなんだと思いながら読みました。けれども、動物が火を使うのにはびっくりしました。あげくにライフル銃を使って戦ってしまうし、なんだか受け入れがたい設定です。ロボットのほうは自己保存の法則を生かして言葉を習得し、動物社会の中で生き残っていくというストーリーには納得しましたが、なぜ女性で母親という設定なのか疑問を持ちました。でも、あとがきを読むと作者は最初から女性のロボットを書くつもりだったのですね。ガンの渡りの中で島の外の社会を見せ、他のロボットの働く様子を見せるところなど実にうまいと思いましたが、最後にレコが死にかけながらいろいろ忠告するところは、急に仲間意識を持つロボットに変身したようで、矛盾を感じました。すべてのロボットはロズも含めて実に人間的な存在なんだという落ちを予感させます。続巻があるようなので、そこで解き明かされるのかもしれません。

すあま:読みやすかったです。設定については疑問に思わず、楽しく読みました。ロボット版『ロビンソン・クルーソー』かな。知らない島に漂流した人間の話はあるけれど、ロボットだとこうなるのか、とおもしろく読みました。本をあまり読まない子にもすすめられるのではないかと思います。

ハル:読んでいてとっても癒されました。動物たちの様子が生き生きとしていて楽しかったです。お話も書けて、絵も描けて、多才な著者ですね。でも、これは動物たちにとっては無害なロボットだから、この世界に入っていけたんですよね。捕食・被食の関係にある動物たちが、この時間だけは交流できるという「夜明け前の協定」はおもしろかったのですが、後半、魚たちがクマを助けたところで、クマが「ありがとう! もう魚は食べないことにするわ!」って言うんですよ。これはいただけません。野生の動物同士、食う、食われるというのは、胸が痛むことではありますが、生きていくための手段で、憎しみとか、和解とか、仲直りとか、そういう話じゃないんだから、そこは一緒にしちゃいけないんじゃないかと思います。せめて「魚は今日から3日は食べないわ!」とか、そのくらいじゃだめですかね(笑)。ラストで急に殺伐とした戦いが始まってしまったのも、ちょっと残念でした。私は、ロボットが女性という発想がなかったので、他の方もおっしゃっていましたが、ロズがキラリのお母さんになったとたんに、急に女性的な話し方に変わったように思い、母親役だからって女性にならなくてもいいのに、と違和感を覚えたのですが、あとがきによると、著者は最初からロボットに女性的なものを感じていたのですね。母親になったからと話し言葉を変えたわけではなさそうですが、私は気になりました。

鏡文字:厚い本だったので、時間がかかると思ったら、絵もとても多く、以外と文字数もなかったので、すぐに読むことができました。絵がいいですね。

イバラ:著者は絵と文の両方で表現したかったんでしょうね。日本語版のレイアウトがきっと大変だったと思います。

鏡文字:野生と対極にあるロボットという取り合わせがおもしろかったです。「~んだ」という語尾がちょっと気になって、それで、よけいにだれかに語っているという印象を与えます。だれが、だれに向かって語っているのかと、ちょっと思ってしまいました。それから、無人島でインターネットに接続できるのかな、とかエネルギーは? なんて言うのは野暮というものでしょうか。

イバラ:きっとソーラー・エネルギーを使ってるんじゃないですか。

鏡文字:ソーラーかな、とは思いましたが・・・・・・。動物が火を使うことへの抵抗、という話が出ましたが、そもそもここの動物って、どういう存在なんでしょうか。

イバラ:野生の環境、野生のロボットと言ってるのに、擬人化されている。

鏡文字:それぞれの動物同士は、会話が可能。でもロボットは学習が必要で・・・・・・と考えだすとちょっとわからなくなってくるのですが、まあ、あんまりこだわらずに、物語を楽しめばいいのかもしれません。イワヤマが、突如、温暖化の影響について言及するところが、やや唐突で、「語ってる」感があったのですが、これは作者の文明批評なのでしょう。ラストは思いがけない展開で、ちょっとびっくりしました。

しじみ71個分:そもそもの設定で気になってしまうのが、工場で似たようなロボットがたくさん製造されているのであれば、そんな量産型のロボットを回収する必要はないんじゃないか、と思います。そこに矛盾を感じてしまう。

さららん:字の組み方、改行が読みやすく、文字の見せ方も工夫していますね。たとえばp279「どさっと/ロズのわきに/たおれた」と、ワンフレーズずつ改行してあって、レコ(敵のロボット)がガクリと倒れていく時間を感じました。全体に絵と文のレイアウトのバランスが見事です。小さな事件が次々に起こり、お話の展開が早い。絵も多く、子どもは早い展開が大好きなので、小学生の読者もどんどん読める作品になっていると思います。ただ、ロズと動物たちが暮らす島が、一種のパラダイスなのかと思ったら、終わりのほうで雲行きが変わり、ディストピアのようにも思えてきました。オープンエンディングであるものの、レコたちの追跡が執拗だったので、人間から絶対に逃れられないロボットの宿命をロズが変えることができるようには思えず、疑問が残りました。人間の世界で必要な修理をしてもらい、ロズが島に帰る方法を見つけたとしても、待っているのは、「正義」のために敵を葬り去ることのできる動物たちです。作者にとって「野生」とはなんなのか? 論理の矛盾をどう解決するのか、続編に期待しています。

まめじか:『トラさん、あばれる』(青山南/訳 光村教育図書)の絵本で有名なピーター・ブラウンが児童書を書いたというので、アメリカでたいへん注目を集めていた本で、私は出版後、わりとすぐに読みました。移民も、血のつながらない家族も、いまアメリカの児童書界が手渡そうとしているテーマなので、広く受け入れられたのも納得です。絵と文がよく合っていて、物語の運びに勢いがありますね。ビーバーが義足を作ってくれる場面ではじんとなりました。少し気になったのは、ロズが小屋を作り、動物たちを迎えるところです。異常気象で例年になく寒い冬だったとしても、厳しい自然の中で生きる動物の生き死にを、人工的なもので変えてしまっていいのか。ファンタジーだからそれでいいのかもしれませんが、だとしても、その世界の中でのルールは必要ですよね。あるいは、そういうことは気にせずに楽しいお話として読めばいいのか。どうなのでしょう。

アンヌ:自分の足を直せないところとか、変ですよね。木で直してもらうなんて。ある程度の修理能力を持っていないなんて、おかしい。

鏡文字:木で足を直すのは、私はおもしろかったです。絵的にもいいな、と。ただ、ほかのロボットの部品を使えないのかな、とちょっと思いました。

しじみ71個分:ロボットが動物の言葉を理解するまでは設定として認め得るとしても、動物同士は異なる言語を話すはずなので、意思疎通できないはずじゃないかと思うのですが、その辺はさらりと流してある感じがします。

カピバラ:楽しい動物物語として読めばいいんじゃないかな。

イバラ:それだったら、なにもロボットにする必要はないと思うんだけど。

しじみ71個分:そうなんです。まさに思ったところはそれで、タフな血のつながらないお母さんの話でもまったくよくて、あえてロボットである必要性がなくなっていると思うんです。ロボットでなければならない必然性が物語にない。なので、ロボットがただ素材にしかなってないように感じられました。

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エーデルワイス(メール参加):同じ作者なので、絵と文がよく合っていた。主人公のロボットは、ジブリ映画「天空のラピュタ」に出てくる巨人ロボットのイメージかなと思いました。ばりばりのAIの話かと思って読み始めたら、ばりばりの生身の物語でした。自然素材の足をつけるなんて、ね。

(2019年11月の「子どもの本で言いたい放題」)

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